小池晃 (日本共産党)

2026年7月16日・第221回国会 参議院 皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会 第3号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 6 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 21 発言)

私は、日本共産党を代表して、政府提出の皇室典範改定案に反対の討論を行います。

天皇の制度の議論は、憲法の条項と精神に基づいて行い、国民の合意と納得を得て進めていくべきものです。女性天皇、女系天皇を認めるべきという圧倒的な世論を無視して、三時間余りの質疑で採決することは許されません。

そもそも、日本国憲法第一条では、天皇の地位は主権の存する国民の総意に基づくとされています。昨日の質疑で木原稔官房長官は、国民の理解はいまだ得られていないことを事実上認めました。国民の総意に反するやり方は、将来に大きな禍根を残すものです。

反対理由の第一は、男系男子の皇位継承に固執し、更に強化することが、日本社会における女性差別を助長するからであります。

官房長官は、本法案は日本社会における女性差別を助長することになるのではないかとの私の質問に、女性差別とは関係ないとごまかしました。しかし、女性だというだけで国民統合の象徴の地位に就けないとなれば、社会における女性差別を助長することになるのは明らかです。

政府は、男系男子での継承が我が国の歴史と伝統と繰り返しますが、この歴史と伝統は明治時代につくられたものです。一八八九年に制定された大日本帝国憲法は、万世一系の天皇これを統治す、天皇は神聖にして侵すべからずとして、天皇主権を確立し、同時に旧皇室典範に男系男子継承を明文化したのです。

この間の議論で自民党が強調している、皇位の男系継承は二千六百年以上にわたる皇統の伝統、今年は皇紀二千六百八十六年などと言うのは歴史の事実ではありません。明治時代に天皇を現人神と描き出すためにつくられた皇国神話そのものであります。いまだにこうした歴史観に立って男系男子継承にしがみついていることは驚くべきことであります。

戦後、日本国憲法は、国民主権を確立し、皇国史観に基づく天皇主権を明確に否定したのであります。天皇は主権の存する国民の総意に基づく象徴とされ、憲法第二条は、皇位を世襲のものとし、戦前の皇男子孫による継承は削除されました。この日本国憲法の下で、多様な性を持つ人々によって構成されている日本国民の統合の象徴である天皇を男性に限定する合理的理由はどこにもありません。天皇の制度は、憲法の条項と精神に基づき、主権者国民の総意の下に置くことが何よりも大切だと強調するものです。

反対理由の第二は、皇族の養子縁組を禁止する現行の皇室典範の規定を覆し、旧十一宮家の男系男子を将来にわたって皇族の養子候補とし、養子の子の男子に皇位継承権を与えることにしたからであります。

旧十一宮家と今の天皇との共通の祖先は約六百年前の室町時代まで遡ります。今の天皇と三十六から三十八親等もの隔たりがある、ほとんど赤の他人に等しいとも言われるはるかはるか遠い血筋からの養子まで持ち出して、女性、女系天皇の道を閉ざし、男系男子継承に固執する政府の姿勢は、時代錯誤の男尊女卑そのものです。

私が質問で指摘したように、養子は皇室の伝統になかったものです。旧十一宮家は、八十年前、現典範十一条一項の規定に基づき自らの意思で皇籍を離れた人々であり、その子孫は一般国民として生まれ育ってきた人たちです。旧宮家だからといって特別な身分である皇族とすることは、憲法十四条一項が禁止する門地による差別にも抵触します。さらに、将来にわたって皇族の養子候補に位置付けられた旧宮家の男系男子の子孫とその家族を準皇族ともいうべき特殊な身分に置くものであり、これらの人々の人権を不当に制約することにもつながりかねません。

さらに、実際の養子縁組において、政治家などが縁組に関与し、天皇の制度の政治利用を引き起こすことが危惧されることも強調しておきます。

反対理由の第三は、女性皇族とその子が天皇になる道を閉ざしながら、皇族数の確保のために皇室行事を担う要員たれと結婚後も皇室に残ることを原則としているからであります。

婚姻後の女性皇族に住民基本台帳を適用しながら国民としての権利を認めないというのは、矛盾も甚だしいものです。女性皇族を都合よく扱おうというものにほかなりません。しかも、配偶者や子に皇族の身分を与えないことは、徹底して女系天皇の芽を摘もうという意図をあからさまに示すものです。

なお、昨日の質疑で官房長官は、女性皇族の配偶者や子は皇族にならないという本案は、家族との一体性との間で整合性がないのではとの問いに、日本人と外国人の夫婦を例に挙げて、そういう夫婦において国籍や参政権、戸籍の有無等によって違いが生じるが、家族の一体性ということでは不整合は生じていないと答えました。この答弁は、選択的夫婦別姓を否定する際の家族の一体性が失われるという論拠を政府自身が否定したものであることも指摘しておきます。

反対理由の第四は、政府は、今回の法案は立法府の総意に基づくといいますが、昨日の質疑でも反対意見が相次ぐなど、立法府の総意なるものが完全に崩壊しているからであります。

政府は、皇位継承の問題とは切り離した皇族数の確保策を議論するといいながら、法案提出の段階で、養子の子の男子が皇位継承資格を持つとする規定を突然盛り込みました。国会と国民を愚弄するものであり、断じて許されません。

政府は、立法府の将来の検討を縛らないなどといいますが、女性天皇への道を完全に塞ぎ、男系男子のみによる皇位継承を固定化しようというのですから、将来の在り方まで縛ってしまうものにほかなりません。

以上、本法案は、日本国憲法の精神と条項に反し、主権の存する国民の総意に基づくべき天皇の制度を根本から変質させることにつながるものです。

日本共産党は、断固反対し、廃案とすることを強く求めて、反対討論といたします。

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