伊勢崎賢治 (れいわ新選組)

2026年7月16日・第221回国会 参議院 皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会 第3号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 8 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 21 発言)

れいわ新選組を代表し、皇室典範等改正案原案、修正案に対し、反対の立場から討論を行います。

我が国は、憲法第九十八条で、批准した条約の誠実な遵守を定めております。すなわち、自ら当事者となった、自ら当事者となった国際ルールを守ることは、我が国の最高法規である日本国憲法が国に命じている憲法上の義務であります。しかし、国連から皇位継承における男女平等を確保せよと勧告された最中に提出された本法案は、国際規範との間に埋め難い溝を残したままであります。

本法案は、女性皇族に皇籍は残すが継承権を与えず、旧宮家の男系男子を養子に迎えるが、こちらにも継承権は与えないとしています。つまり、女性にも新しく入る男性にも、どちらにも権利を与えないのだから平等だという理屈でありましょうか。しかし、このような説明が国際社会に通用するとは思えません。

政府は、目的を皇族の数の確保と説明していますが、それならば、なぜ旧宮家の男系男子に限定して養子を迎える必要があるのでしょうか。表向きは誰にも継承権を与えないという建前で批判をかわしつつ、その裏で男系男子の血統を温存しようとしている、この建前と実質の乖離こそが本法案の最大の懸念点であります。

伝統は伝統だ、日本は違うという反論もあるでしょう。しかし、日本国憲法第二条にはこう明記されております。皇位は、世襲のものであって、議会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。つまり、この条文が示すとおり、現在の皇室典範は、憲法よりも下位に位置し、議会が議決する一介の国内法にすぎません。

そして、国際条約の基本原則を定めるウィーン条約は、その二十七条で次のように定めております。当事国は、条約の不履行を正当化する理由として自国の国内法の規定を援用することはできない。すなわち、国際法は、当事国が自国の国内法を理由にして、加入した条約を履行しないことを正当化する行為を明確に禁じているのであります。

国際法上、どうしても自国の事情や制度と合わない条約の規定がある場合、国には、加入、批准の際に、その条項の適用を除外する留保という正当な手続が認められております。しかし、ここで極めて重要な事実は、我が国は、ウィーン条約に対しても、また男女平等を定める関連条約に対しても、皇位継承を例外とするような留保を一切行っていないということです。

日本は、国内法を理由に条約の義務を免れることは一切しないというルールを、自ら何ら条件を付けずに完全に受け入れているはずなんです。正当な手続である留保を行わずに、条約の恩恵だけを享受しておきながら、いざ都合が悪くなると、国内法である皇室典範や独自の伝統を盾にして義務をほごにする、このような後出しの言い訳は、自ら合意した国際規範に対する重大なじゅうりんであり、決して許されるものではありません。かつて男子優先の伝統を誇っていた欧米の多くの王室も、男女平等という国際規範を受け入れ、長子先継へと次々に制度を改めてきました。

国際法において独自の伝統が国際規範に優先して認められるのは、軍事占領期における被占領地の権利保護など、極めて限定的な場合と時期に限られます。都合の悪いときだけ伝統を盾に国際ルールを拒絶することは、国際社会における法の支配を自ら損なう行為であります。国連からの勧告に正面から向き合わず本法案を成立させれば、国際規範との乖離は将来にわたって決定的なものとなり、我が国は未来永劫、国際社会からの批判を受け続けることになります。

私たち、私を含む私たち日本国民が深く敬愛する皇室を、国際社会から継続的に疑問を呈され続けるような立場に置くことは忍びないことであります。問題は皇室にあるのではございません。国際規範との不整合を解消しないまま、小手先の制度設計でやり過ごそうとする政府の姿勢にこそあります。よって、本法案に反対いたします。

議員各位の良識ある御判断を求め、私の討論といたします。

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