佐々木雅文 (公明党)

2026年7月9日・第221回国会 参議院 法務委員会 第19号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 139 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 269 発言)

この調査手続を設けることによって、再審手続のそもそも間口が狭まるようなことだけはあってはならないことだと思いますので、その点も含めた今後の運用体制をしっかりと構築をしていただきたいなということを申し上げたいと思います。

その上で、次の質問をさせていただきますけれども、午前中も各委員の先生方からお話がありましたし、やはりこの証拠開示の状況というところが大きな問題だというふうに思います。

先日の本会議でも、総理は、関連する証拠の範囲は相当の広がりを持って、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されること、また、法律案成立後には、制度の趣旨や内容を十分に周知し、適正な運用確保に努めるというふうに述べていらっしゃるんですけれども、実際どの程度開示が進んでいくのかというところは、これは大変大いに懸念を持っているところであります。

これまでの歴史を少し振り返ると、刑事訴訟法は、この証拠開示手続を整理して充実した公判審理を行う、そうした目的を踏まえまして、午前中もお話ありましたとおり、公判前整理手続が導入される、こうした改正も行われてきたわけでありますが、そうした経緯も含めてお聞きをしたいと思います。

これで開示が進んだというふうにおっしゃるんだけれども、公判整理手続に付された後も、弁護人が証拠開示請求を行ったとしても検察官が積極的に開示に応じるとは限らない、こうした状況が今まで起こっています。例えば、類型証拠や主張関連証拠が提出されていないと認める場合には、この場合は刑訴法の現行の三百十六条の二十六で裁判所が開示をさせる権限を持たせているわけですが、この裁定請求に至ることによってようやく検察官が開示への対応をされるということも指摘をされているのが今の現状でもあります。なので、公判整理手続があったとしても、結局のところ、証拠不開示の姿勢に変化が乏しくて、弁護人側にはそれに対応することを余儀なくされているというのが今の刑事弁護の現状だと思います。

お手元に今日は季刊「刑事弁護」の百二十三号を配付をさせていただいておりまして、その例を幾つか取り上げたいというふうに思います。

一つは、資料にもございますが、そのうちの事例一であります。これは、概要を申し上げますと、一審が有罪で、控訴審で破棄差戻し、差戻し後の一審で無罪確定となった事案です。検察側証人と被害者とされる人との間におけるLINE等の通信交換の状況が重要な証拠として考えられた事案であります。

その年の五月に、第一審で弁護人が類型証拠開示請求を行いましたら、不存在という回答をされたと。検察側証人に公務所照会を掛けると、存否も明確にされずに無視をされてしまった。そのまま手続は進んで尋問も行われて、同じ年の八月に有罪判決が出されたというふうな事案です。控訴審で改めて弁護人がLINE履歴等を証拠開示請求をしたところ、検察がこれにそこのタイミングで応じて、開示された履歴が一つの決め手となって破棄差戻しとなった、こういう事案が事例一です。

もう一つが、少し飛ばしますが、事例の四に、④になりますが、これは、警察官の有形力行使が違法となって、その後の強制採尿手続を経た鑑定結果が違法収集証拠であることが争点となったという事例です。

当初からそれが争点であることを明示の上で弁護人が公判前整理手続に付すことを請求したところ、検察側は、任意開示請求に柔軟な対応をするから整理手続は不要、不相当との意見がその時点では述べられた。結局、最終的には公判前整理手続に付されたわけですけれども、その上で、弁護人が類型証拠として捜査書類に貼付された写真の電子データ等を全て開示するよう求めたら、一度は検察官は開示に応じたと。ただ、弁護人が確認すると、一部であって全てではなかったことから、未開示分のデータを改めて請求したら、検察側では既にデータは消去されているとして不存在と回答をされた。その後の求釈明や再度の請求をしても合理的な説明はされなかったので、裁定請求をし、事実取調べとして関係警察官の証人尋問実施も求めたら、検察側から、再捜査の結果、データが発見されたとして開示されたという内容です。検察は、開示したから裁定請求棄却や尋問不要という意見書を出したんですけど、裁判所は尋問を実施して、警察のデータ管理が不適切であると考えられて、開示されたデータの中で欠落しているデータがあったことからその開示も求めたが、その点は裁定請求は棄却をされて、即時抗告も棄却された。この証拠開示のやり取りだけで起訴から約一年半が経過していた、こういう事例があります。

そのほかにも幾つかこの季刊「刑事弁護」の中に事例が複数紹介をされているわけですが、こうしたことは氷山の一角ではないかというふうに考えざるを得ないと思っています。これらの事例は、かつ、弁護人の努力で開示に至ったものを中心に紹介されているわけなんですけれども、他方で、開示されないままだったり裁定請求も棄却されてしまう事例も、そのほかにも多くあるのではないかというふうに思うんです。

こうした事例は、検察におかれても認識されたり共有されたりしていますか。

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