佐藤淳法務省刑事局長

2026年6月3日・第221回国会 衆議院 法務委員会 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 15 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 163 発言)

お答えいたします。

平成十六年の刑事訴訟法改正以前における通常審での証拠開示の制度及び運用について申し上げますと、証拠開示に関する明文の規定はございませんでした。

最高裁決定の下で、裁判所が個別の事案におきまして証拠調べの段階に入った後、弁護人から、具体的必要性を示して一定の証拠を弁護人に閲覧させるよう申出がなされた場合、被告人の防御のため特に重要であり、弊害を招来するおそれがなく、相当と認めるときは、裁判所の訴訟指揮権に基づき、検察官に対し手持ち証拠の開示を命ずることができることとされておりました。その上で、実務運用におきましては、過去の検察当局における証拠開示の対応を網羅的に把握しているものではございませんけれども、検察当局は、基本的に、この最高裁決定の下で、裁判所から証拠開示命令や勧告を受けた場合に証拠開示に応ずるといった対応をしていたものと理解しているところでございます。

これに対しまして、司法制度改革審議会の意見書で、公判審理の充実、迅速化のための新たな準備手続の創設が提言されるなどいたしまして、証拠開示の必要性が指摘されたことも踏まえまして、平成十六年の刑訴法改正では、通常審において公判前整理手続の一部を構成するものとして、通常審における証拠開示制度が導入されたところでございます。

この証拠開示制度の下では、検察官が証明予定事実を証明するために取調べを請求した証拠に加えまして、検察官が取調べを請求した特定の証拠の証明力を判断するために重要なものとして被告人側が請求した一定の類型の証拠、これは類型証拠と呼んでおります、それから、被告人、弁護人が明らかにした予定主張に関連する証拠、これが主張関連証拠と呼ばれるものでございます、これについても開示の必要性及び弊害を勘案して開示するものとされ、通常審における証拠開示が大幅に開示されたところでございます。

この証拠開示制度の下で、検察当局の運用におきましては、その後、事件が公判前整理手続に付されているか否かを問わず、類型証拠や主張関連証拠に該当すると思われる証拠を中心といたしまして、弁護人が開示対象となる証拠を特定することや、裁判所による証拠開示勧告を待たずして任意に広範な証拠を開示するといった柔軟な対応も取られるようになっているものと承知しているところでございます。

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