岸本武史厚生労働省労働基準局長

2026年5月29日・第221回国会 衆議院 厚生労働委員会 第13号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 61 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 211 発言)

お答えいたします。

まず、現行の労災保険制度におきましては、療養補償給付などにつきましては消滅時効期間を二年としております。

この考え方としましては、一つは、早期請求が行われることによって、事業主による迅速な再発防止措置、労働者の早期回復による迅速な職場復帰が可能となるということもございますが、また、もう一つは、労災保険の場合に、負傷や疾病の診断がつくかどうかという問題と、もう一つ、労災保険から給付いたします際には、業務起因性と申しますが、会社の業務が原因となって発生した負傷である、疾病であるということの認定が必要でございまして、これには、様々な実態確認を行って認定をしていく必要がございます。こうしたことから、時間がたてばたちますほど、一般的にこの業務起因性の立証に必要な材料が散逸していくなどして認定が難しくなってまいりますので、労働者救済をしっかりする観点からも、消滅時効期間は原則は二年としているところでございます。

一方で、今回の改正におきましては、一定の政令で定める条文を置かせていただくことによりまして、業務上災害であるか否かの判断が難しい疾病については時効期間を五年に延長するというふうにしております。

これは、従来からの御議論としまして、具体的には、脳・心臓疾患や精神疾患、石綿関連疾病が指摘をされておりましたが、業務上災害であるか否かの判断が難しく、二年の時効期間が徒過してしまうケースも少なくないといった御指摘もありまして、業務起因性の確認のために必要な実務上の要請と、一方で、二年の時効期間が徒過することもなかなかやむを得ないといいますか、そういったケースが少なくない疾病があるという両面を考慮いたしまして、そういった疾病について五年とする、こういう制度改正にしているところでございます。

政令で何を定めるかにつきましては、この法案について御議論いただきました審議会の審議の中では、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病、この三つが挙げられておりましたが、これについては、実態を踏まえて、政令ですので、何か必要が出てくればそれについてまた議論をするということになろうかと考えております。

こうした制度を設けることによりまして、一方で、過去の事実の立証困難を回避するといった消滅時効の趣旨を生かしながらも、疾病の性格上、二年ではきついというような場合について、より多くの保険給付の可能性が高まる、労働者保護にも資するというふうに考えております。

仮に、一律に五年とするようなことをいたしました場合には、やはり懸念といたしまして、過去の事実の立証が困難な事案が政令定めの疾病以外でどうしても増えてこようかと思います。そういたしますと、労災保険制度の適正な運営、被災労働者の迅速な救済という観点から支障が生じることが懸念されるのではないかというふうに考えているところでございます。

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