2026年7月8日・第221回国会 参議院 デジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会 第8号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 7 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 147 発言)

沖縄の風の伊波洋一です。

会派を代表して、閣法五四号修正案に賛成、閣法五四号政府原案に反対、閣法五三号に反対の討論をいたします。

閣法五四号政府原案、個人情報保護法案改正案は、統計特例という、統計作成やAI開発のために病歴や犯罪歴など要配慮個人情報を、EUのGDPRのような匿名化等の措置すら求めず、氏名、住所と結び付いた生の個人データのまま、本人の同意なしに取得、第三者提供を可能とするものです。この点、閣法五四号修正案は、現に公開されているものを除く要配慮個人情報を統計特例の対象から除くものであり、必要な修正であると考えます。

さらに、閣法五四号政府原案で新たに導入される課徴金制度も、課徴金命令に極めて厳しい数々の要件が課されており、それらを調査、立証する個人情報保護委員会の監視・監督室の人員や権限も非常に限られています。個人情報保護委員会を補完するものとして団体による訴訟制度なども導入されず、違反行為に対する事前防止や、あるいは事後救済のリスクを全て本人側に負わせるものです。

また、閣法五三号デジタル行政推進法改正案については、閣法五四号政府原案、個人情報保護法改正案と連動して、行政が保有する個人データをAI開発などのために民間ビジネスに提供することを可能とするものです。行政が保有するいかなる個人情報が対象となるか、またその運用も極めて曖昧です。現行のガバメントクラウドは、国産一社を除き全て米国のテック企業のサービスであり、データ主権の観点からも大きなリスクを抱えることになります。総じてテック企業の利益が優先されており、民間の利便性の向上は明らかではありません。

松本大臣を始め個人情報保護委員会の皆さんも、本二法案について多くの懸念や課題の認識を共有されていることと推察します。しかし、そうであるならば、規則やガイドラインに丸投げするのではなく、法案において改善策を示し、国会で議論することこそ必要ではないでしょうか。

二つの政府原案について、我が国の個人情報の保護を大きく後退させるものです。データ利活用の大前提は、個人情報保護に対する国民の信頼です。政府原案のように、入口における個人情報の取得や提供を緩和して利活用を促進する一方で、出口における個人の救済策や自己コントロール権を後退させるような制度設計は、AIやビッグデータなどデジタル技術により個人の行動履歴や属性が本人の知らない間に収集、分析されるなど、深刻な監視社会化の不安を招き、国民の信頼を根底から揺るがすものになりかねません。

テック企業など産業界の要望に偏った二つの政府原案に反対し、個人の権利利益の保護に資する個人情報保護制度への見直しを強く求め、閣法五四号修正案に賛成、閣法五四号原案に反対、閣法五三号に反対の討論といたします。

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