初鹿野裕樹 (参政党)

2026年7月8日・第221回国会 参議院 本会議 第26号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 15 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 54 発言)

参政党の初鹿野裕樹です。

会派を代表して、ただいま議題となりました下水道法等の一部を改正する法律案について質問いたします。

質問は、全て金子恭之国土交通大臣に伺います。金子大臣、どうぞよろしくお願いします。

まず、八潮市の道路陥没事故で亡くなられた方に改めて哀悼の意を表します。また、今なお復旧工事や生活への影響を受けている皆様に心からお見舞い申し上げます。

今回の改正案は、施設の老朽化や担い手不足を踏まえ、強靱で持続可能な下水道の実現に向けて維持管理の強化などを図るものとされています。

こうした取組は必要です。しかし、大規模な道路陥没によって人命が失われる事故を経験してなお、人材と財源の不足という根本的な問題に十分踏み込んでいるとは言えません。

点検を強化しても、それを担う職員がいなければ事故は防げません。異常を見付けても、その危険性を見極め、必要な工事につなげる人がいない。危険が分かっても、直すための財源がない。今、多くの自治体がこうした問題を抱えています。

下水道に関わる職員は、ピーク時から約四割も減少しています。小規模な自治体では、僅か数人の職員で点検や修繕計画、災害対応に至る下水道事業全体を支えている例もあります。これでは、日々の維持管理だけで手いっぱいです。人を育て、技術を次の世代へ引き継ぐ余裕はありません。

下水道は、採算が合うかどうかで、なくしてよいものではありません。人が暮らす限り、どの地域にも必要です。公衆衛生を支え、事故や災害から命と暮らしを守る基幹インフラです。現場の頑張りだけに下水道の安全を委ねる、そんなやり方はもう終わりにしなければなりません。

そこで、下水道行政における国の責任について伺います。

本改正案では、国が下水道の整備と基盤強化に関する施策を策定、推進し、都道府県や下水道管理者に必要な技術的、財政的援助を行うよう努めるとの責務規定が新たに設けられます。

まず、この責務規定は、安全確保を自治体任せにせず、国が責任を持って支える趣旨と理解していいのか、伺います。

あわせて、都道府県や下水道管理者に、広域連携の推進を始め、下水道の基盤強化に向けた新たな取組を求めるのであれば、それを担う職員と財源も必要です。広域連携を進めても、自治体の人員不足そのものが解消するわけではありません。国は、この責務規定を自治体の人材確保と財政支援にどのようにつなげていくのか、答弁を求めます。

次に、国の基本方針について伺います。

本改正案では、下水道の基盤強化に関する国の基本方針を新たに定めることとしています。

高市政権は、責任ある積極財政を掲げ、国土強靱化を始め、リスクに先手を打つ危機管理投資を進めるとしています。老朽化した下水道管の更新や耐震化は、道路陥没や災害を未然に防ぎ、国民の命と暮らしを守るための、まさに典型的な危機管理投資です。

事故が起きてから復旧するのではなく、壊れる前に直す。下水道こそ、国が長期的な視点に立って、計画的に取り組むべきインフラ投資ではありませんか。技術職員の確保、育成と老朽管の計画的な改築に必要な財源を安定的に確保する方針を、国の基本方針の柱に明確に位置付けるべきではありませんか。答弁を求めます。

次に、ウォーターPPPと国費支援について伺います。

政府は、令和九年度以降、汚水管の改築に対する一定の国費支援について、ウォーターPPPの導入を決定することを条件としています。しかし、その導入は自治体の義務ではありません。政府はこれまでも、官民連携は自治体が自主的に判断する選択肢の一つだと説明してきました。それにもかかわらず、ウォーターPPPの導入を国費支援の条件とすれば、財政事情の厳しい自治体に、事実上、導入を迫ることになるのではありませんか。

国が必要な技術的、財政的援助を行う責務を負いながら、なぜ汚水管の改築に対する支援を特定の事業手法の導入と結び付けるのですか。

ウォーターPPPを選ばなかったことを理由に、老朽管の改築が遅れてはなりません。導入しない自治体にも、施設の安全性や改築の緊急性に応じて国費支援を行い、地域の実情に応じた選択を保障するべきではありませんか。

以上、三点について答弁を求めます。

次に、ウォーターPPPによる自治体の技術力の空洞化について伺います。

政府は、ウォーターPPPを導入しても、下水道管理の最終的な責任は地方公共団体に残るため、民営化ではないと説明しています。しかし、維持管理や更新を長く民間に委ねれば、自治体の役割は実務を担うことから事業者を監督することへと変わっていき、その結果、自治体に蓄積されてきた現場の知識と経験が失われていくのではありませんか。

私自身、警視庁で柔道指導者として長年訓練と人材育成に携わってきました。技術や判断力は、日々の訓練と経験を通じて受け継いでこそ、いざというときの力になると実感しています。下水道の分野でも、現場を知る自治体職員の力を細らせるような官民連携では、事故や災害に対応できません。

加えて、国交省のガイドラインでも、特定の事業者に過度に依存する、いわゆるベンダーロックインの懸念が示されています。データや技術、現場の知識が特定の事業者に集中すれば、自治体が事業をコントロールする力も弱まるのではありませんか。最終責任を自治体に負わせながら、その責任を果たすための人員や技術を失わせることがあってはなりません。

政府は、自治体の技術やノウハウの空洞化と特定事業者への過度な依存をどう防ぐのか、また、自治体職員が自ら異常を見抜き、事故や災害の際に判断し対応できる力をどう確保するのか、答弁を求めます。

次に、公共下水道の区域の廃止について伺います。

本改正案では、地方公共団体が公共下水道に代わる措置を講ずる場合、利用者全員の同意がなくても排水区域や処理区域を廃止できるとしています。

本改正案では、新たに国が必要な技術的、財政的援助を行う責務が定められています。この責務は区域廃止後の代替措置についても及ぶと理解してよいのか、伺います。

区域の廃止によって、これまで公費で賄ってきた下水処理の費用が浄化槽の設置費や維持管理費として各世帯に転嫁されることがあってはなりません。区域を廃止した後も住民に新たな負担を負わせることなく地域の汚水処理を維持するため、国はどのような財政支援を行うのか、答弁を求めます。

最後に、下水道使用料について伺います。

本改正案では、将来の改築に必要な費用も下水道使用料に反映できることになります。老朽化対策や施設の改築をこれ以上先送りすることはできません。しかし、人口減少が進む地域では、利用者が減るほど一人一人の負担は重くなります。改築費を利用者の負担に頼れば、使用料の引上げにつながり、住民の暮らしを圧迫しかねません。

必要な対策を進めながら、住民に過大な負担を負わせないために、国はどのような財政支援を行うのか、また、人口減少による急激な負担増や地域間の著しい使用料格差をどのように抑えるのか、答弁を求めます。

参政党は、国民の命と暮らしを支える基幹インフラを市場原理に委ねることに反対します。こうしたインフラを守ることは、政治の最も基本的な責任です。その責任を現場や住民に押し付けてはなりません。

国が必要な体制と財源を確保することを強く求め、質問を終わります。(拍手)

〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕

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