大津力 (参政党)

2026年5月8日・第221回国会 参議院 本会議 第11号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 21 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 25 発言)

参政党の大津力です。

参政党を代表し、国家情報会議設置法案について、高市総理並びに関係閣僚に質問いたします。

本法案は、政府の情報機能を束ね、国家として必要な情報を集約、分析し、政策判断に生かすための司令塔を設けるものであります。私は、この方向性を否定しません。むしろ、厳しさを増す国際情勢の中で、我が国にも情報を国家戦略の中核に据える体制が必要であると考えます。

しかし、本法案だけで本当に足りるでしょうか。会議体をつくること、司令塔を置くことだけで、国と国民を守ることができるでしょうか。今、世界では、軍事力だけではなく、世論、選挙、経済、技術、さらには企業活動、地方自治、そして国民一人一人の認識そのものが国家間の競争と工作の対象となっております。武力によらず、相手国の意思決定をゆがめる。目に見えない形で社会の分断を深める。秘密を盗み、制度を利用し、人を取り込み、世論を誘導する。これが現代の情報戦の実相であります。

これらを背景に、以下、政府の認識と具体策を伺います。

初めに、過去の教訓についてお尋ねいたします。

さきの大戦において、日本も敵方の情報収集に努力をし、一定の成果を上げていたことは事実であります。しかし一方で、例えば、日本側の暗号が米国に解読されたことが、ミッドウェー海戦における敗北、山本五十六連合艦隊司令長官の搭乗機撃墜につながったことも指摘されております。また、ゾルゲ事件に見られるように、当時のソ連の情報機関による諜報活動も、世界大戦の帰趨に重大な影響を及ぼすものでありました。

政府は、こうした歴史を単なる過去のこととしてではなく、現代日本への警鐘としてどのように受け止めているでしょうか。情報力や技術力の不足により重要な情報を奪われることが国家の命運を左右するという認識を政府はどこまで共有しているのか、総理の御所見を伺います。

二つ目に、現代の情報戦における防諜面の課題についてお尋ねいたします。

我が国は、米国との同盟を安全保障の基軸としております。しかし、同盟国であっても、武力行使への対処はともかく、情報や世論の保護までを頼るものではありません。サイバー攻撃、偽情報の流布、影響力工作、経済安全保障上の技術の流出、研究機関や先端企業への接近、政治家や公務員への働きかけ、こうした活動への対処は、もはや一部の専門機関だけが扱う特殊な問題ではありません。

総理に伺います。現代の情報戦において、日本は狙われる側であるという認識を政府はどの程度持っているのでしょうか。また、日本の弱点は、情報収集力なのか、分析力なのか、摘発力なのか、あるいは国民全体の情報リテラシーなのか、政府としての課題認識を伺います。

三つ目に、国会議員が外国の工作対象となる場合への対応についてお尋ねいたします。

外国情報機関の活動は、映画の中だけの話ではありません。政治家、秘書、公務員やOB、研究者、企業人、メディア関係者など、政策や世論に影響を与え得る者に巧みに接近し、情報や便宜、名誉、資金、人間関係を通じて、時間を掛けて取り組んでいく、取り込んでいく。こうした活動は、表に出にくく、立証も困難であります。仮に、外国の情報工作により日本の国会議員が攻略され、その議員が、意図的に、又は結果的に我が国の国益を損ね、外国の利益に沿う活動を行った場合、現代の我が国の法制度はどこまで対応できるのか。

官房長官にお伺いいたします。現行法上、外国政府又は外国情報機関の指示、資金提供、便宜供与、働きかけを受けて我が国の政治過程に影響を及ぼす活動を行う者に対し、どのような規制、処罰、届出、公開の仕組みが存在するのでしょうか。特に、国会議員、秘書、政党関係者が外国の影響工作の対象となる場合について、現行制度で十分と考えるのか、お伺いをいたします。

四つ目に、外国影響工作を透明化する制度についてお尋ねいたします。

米国には、FARA、外国代理人登録法があります。外国主体のために一定の政治活動等を行う者に登録と情報開示を求め、政府と国民がその活動の背景を評価できるようにする制度であります。英国、フランス、豪州でも、最近、同様の制度が整備をされました。これらは、外国人の排斥や言論を禁止する制度ではありません。外国政府等の利益のために誰がどのような立場で政治や世論に働きかけているのかを透明化する制度であります。

総理に伺います。我が国においても、外国の政府や政党、情報機関等からの依頼や指示、資金提供を受けて政策決定、選挙、世論形成に影響を及ぼす活動を行う者について、登録又は届出を求める制度を検討すべきではないでしょうか。外国代理人登録制度について、政府の検討状況と今後の方針を伺います。

五つ目に、包括的、網羅的なスパイ防止法制についてお尋ねをいたします。

司令塔を設けるだけでは、現場の情報収集、防諜、摘発の能力は高まりません。秘密の不正取得、外国情報機関への協力、重要インフラや先端技術に関する情報流出、外国政府のための秘密活動、こうした行為に対し実効的な取締りを担保する法制度を持つことが不可欠です。

我が参政党は、こうした課題を解決すべく、既に先進国並みの包括的かつ網羅的なスパイ防止法案を国会に提出しております。

総理に伺います。政府は、外国情報機関等による秘密の不正取得、協力者の獲得、重要情報の国外流出を抑止するため、我が党が提案するような抜本的なスパイ防止法制を検討する考えがあるでしょうか。また、あるのであれば、いつまでにその方向性を示すのか、お伺いをいたします。

六つ目に、防諜に関する国民の理解と啓発についてお尋ねをいたします。

情報戦への備えは、政府機関の中だけで完結をいたしません。SNS上の偽情報に惑わされないこと、外国情報機関員やその協力者による接近に気付くこと、議員、研究者、企業人、自治体職員、メディア関係者が自身の持つ情報やネットワークの価値を理解すること、これらは国民全体のリテラシーの問題であります。

官房長官に伺います。防諜、偽情報対策、外国からの影響力工作への備えについて、義務教育から企業研修、政府広報に至るまで、国民の理解と関心を高める取組を進める考えはあるでしょうか。また、情報機関が有する知見を適切に秘匿性を落とした形で社会へ還元する仕組みをどう構築するのか、お伺いをいたします。

七番目に、防諜施策の適正性を担保するチェック体制についてお尋ねをいたします。

情報機能の強化には、その活動が適正であることを確認する仕組みが不可欠でございます。しかし、情報活動の特殊性に鑑みれば、専門知識を持たない国会が直接詳細な実務までを監視することには、実効性の面で限界があるとの指摘もあります。

今後、政府が防諜に関する施策を強化し、具体的な取組を講じていくのであれば、高度な秘匿性を維持しつつ、その活動状況や情報保全の在り方を専門的見地から厳格にチェックをする独立した第三者機関を設けるべきではないでしょうか。あわせて、国家の秘密を保護しつつも、国会の適切な場にその状況を報告しチェックを受ける仕組みについても、同時に検討を進めるべきだと考えますが、総理の御見解をお伺いします。

最後に申し上げます。

情報戦は見えない戦いであります。国家情報会議を設けることは出発点にすぎません。情報を集める力、分析する力、秘密を守る力、偽情報を見抜く力、人材を育てる力、そして外国からの影響を透明化する制度、これらを総合的に整えなければ、日本を生き抜かせることはできません。高市総理や関係閣僚には、国家の独立と民主主義、そして国民の安全を守るため、より力強い取組を進める決意をお示しいただきたい。

以上、政府の明快な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)

〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

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