出川桃子 (自由民主党)

2026年7月14日・第221回国会 参議院 総務委員会 第13号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 15 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 146 発言)

井上会長、ありがとうございました。

人々の生きる力となる放送を目指していくという大変心強い言葉を聞かせていただきました。

今、情報空間の参照点、その中身について詳しくお聞かせいただきました。私もその理念には大変共感するところでございますが、情報空間の参照点であるためには、今おっしゃっていただいたように、正確な情報発信、それだけでは実現できないのではないか、そのようにも考えております。情報が正確であることはもちろん当然のことでございますが、社会をできるだけ多面的に映し出し、多様な立場の声を伝えることによって初めて国民から信頼される情報空間の参照点になれるのではないかと思います。

例えば、NHKの放送ガイドラインにおきましては、視聴者にできる限り幅広い視点から情報を提供することを目指すと書かれております。また、国内番組基準におきましても、意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱うと定められております。私は、この幅広い視点、そして、多くの角度から論点を明らかにする、こうした考え方こそ公共放送の土台だと考えております。

放送番組の編集、これは自主自律が原則でございまして、放送内容そのものについて国会が介入すべきではない、そのことは十分承知しておりますが、多角的な視点が求められる公共放送の報道に時に違和感を覚えることもございました。そのことについて、少し率直に意見を述べさせていただけたらと思います。

例えば、昨年のいわゆる令和の米騒動、このときの報道を例に挙げさせていただきますと、スーパーの店頭では、米価高騰に対する消費者の悲鳴、これが連日のように報じられておりました。もちろん、それは大切な視点であると思います。一方で、生産現場では、農業資材などあらゆるコストが近年上昇している中、長年にわたり価格転嫁も十分にできず、厳しい経営を続けてこられた農家の皆さんがおられます。こうした生産現場の実情や悲鳴、これまで十分に伝えてきたと言えるでしょうか。地元の生産者の皆さんからも、テレビでは毎日のように米が高い高いという話ばかりで、生産現場の実情は分かってもらえていない、そうした声を何度も伺いました。

公共放送が、消費者の立場だけでなく、生産現場がどのような課題を抱え、どのような思いで農業を続けているのか丁寧に伝えることがなければ、消費者と生産者がお互いを理解することは難しくなります。

米価の問題は食料安全保障にも関わる国民全体で考えるべき課題であり、民主主義の基盤を支える公共放送には、多様な価値観に対する相互理解を促進する役割をしっかりと果たしていただきたいと考えます。

公共放送には公平公正な報道が求められるところでありますが、しかし、時にこの公平さ、公正さ、これはそれぞれの置かれた立場によって受け止め方が異なることもございます。今回の事情も、私から見れば少し足りないのではないかと見えますけれども、立場によっては十分公平であると感じられる方がおられるのも当然だと思います。だからこそ、この公平さ、公正さを担保していくためには、重要になってくるのは、我々は公平に報道していますと説明するだけではなく、多角的な視点が実際の報道の中で担保をされていること、そして、それを自ら検証し、改善につなげていく、ガバナンスが機能しているかどうか、そのことに尽きるのではないでしょうか。

さらに、率直に申し上げさせていただきますと、NHKを始めマスコミの多くは、そのほとんどが東京に本社を置いております。自らは公平公正に報道しているつもりでも、知らず知らずのうちに、東京で生活し、都市目線を基準とした公平性に陥ってはいないだろうか、そうしたことに自覚的であってほしいと思います。

私自身も、自戒を込めて申し上げますと、東京で生まれ育ち、島根に移り住むまでは、中山間地域の営み、実情、こうしたもの、ほとんど知りませんでした。そして今、国会に来まして、平日の多くはこの永田町で過ごすようになり、物理的な距離というものは時として心理的な距離も生んでしまう、そうした危うさも感じているところであります。

そこで、伺います。

令和六年度決算業務報告書、これによりますと、総合テレビの放送時間は一日平均二十三時間五十分、教育テレビは二十時間十三分放送されております。そのうち地方向け放送番組は、総合テレビと教育テレビ、Eテレを合わせても、一日平均二時間五分にとどまっております。

当然、全国向け番組の中でも地域の話題は取り上げられており、単純に放送時間だけで比較できるものではありませんが、こうした現状について、NHKとしてどのように評価されておりますでしょうか。

また、NHKが放送ガイドラインで掲げる幅広い視点や、国内番組基準で示すできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、こうした考え方が実際の報道や番組の中でどのように担保されているのでしょうか。中央審議会などの仕組みが設けられていることも承知しておりますが、客観的に検証する仕組みはあるのでしょうか。

NHKでは、どのような考え方や指標によって検証し、その結果をどのように改善へ結び付けているのか、井上会長にお伺いいたします。

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