和田春樹東京大学名誉教授

2026年5月13日・第221回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第3号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 62 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 69 発言)

今、石井先生の方からちょっとお叱りをいただきましたが、私は、拉致問題につきましても、長年日本の中で運動を続けてこられたことのやっぱり御努力というものに対しては敬意を表しております。しかしながら、交渉の仕方というものがあるはずだと私は思います。

ですから、交渉に当たっては、要するに、北朝鮮が拉致を認めて、そして生存している人を返して、そして死亡したという人については謝罪をして、賠償を払うということが目標だと思いますが、ところが、ある時期からこの拉致問題の主張は、とにかく北朝鮮が五人生存、八人死亡、そのほかは不入境というようなことを言った段階で、北朝鮮の言っている、挙げている資料が曖昧だから、要するに、全員生きていると考えて、全員即時返せというような主張になっていって、それで、それではもう、それを答えを出さないんであれば事実上制裁を加えて、そして対決するというような方向に行ったように私には思われます、政府がですね。それでは交渉にならないということですね。

北朝鮮の回答は、死亡した八人について言うと、北朝鮮は八人を殺害したのかもしれないし、あるいは、それは何か自然死で、事故死であるのかも、病死であるかもしれませんが、しかし、いずれにしても、北朝鮮が拉致を認めたというところが非常な前進であって、本当にそうした人たち、連れてきた人をどうしたかということについて全部を本当にありのままに日本に対して言うかどうかということは分からないわけですね。

ですから、しかし、それを言わないからといって、じゃ、北朝鮮とは断交したままにして、なっていくということはできないわけですよ。謝罪、北朝鮮が謝罪をして、それなりの努力をした人ということであれば、北朝鮮の回答が不十分であっても、あるところが来たらそれを認めた上で解決を図らなきゃならないと、そういうものだと思います、外交交渉というものは。

北朝鮮は日本が敵として対峙している、対決するというだけでは困るわけですから、日本は北朝鮮と平和的に生きなきゃならないわけですから、だから、そういう意味でいうと、進め方についてこの際よく考えて、拉致問題をどういうふうにして解決に持っていくかということは、よくこれまでの過去の経験を踏まえた上で考えなきゃならない、私は少し私の話の中で提案をいたしました。

以上でございます。

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