佐藤淳法務省刑事局長

2026年6月3日・第221回国会 衆議院 法務委員会 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 21 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 163 発言)

お答えいたします。

一般に、刑事手続の過程で収集される証拠は、関係者の名誉、プライバシーに深く立ち入って作成され得るものでございまして、捜査上の秘密も含み得るものでございます。

上谷参考人御指摘のように、性被害の事案などでは、関係者の名誉、プライバシーを含む証拠が一たびインターネット上に流出すると回復困難な被害が生じるおそれがあり、そうした事態が起こると、被害者を含む国民の捜査への協力確保も困難となりかねないということでございます。

これは性犯罪に限らないところでございまして、例えば被害者を取り調べるときには、被害者に対して、捜査の現状であるとか裁判の見通しであるとか、そういったことを当然御説明するわけでありますけれども、そういう中で、検察に何度も呼ばれて、例えば公判で証人に立たなければいけないといったことを想定するだけで、もはや、犯人、相手方を処罰しなくていいといった判断に至る被害者は多数おります。そういう被害者というのは、そういうことを望まないこと自体も検察官に公表してほしくないと思うのが通常でございますので、このような事実は世の中に知られることはないわけでありますが、一般にそのようなことが多々起きているのは事実であります。

そのような中で、裁判の目的ではないのに、その準備の目的でもないのに、その被害者のプライバシー情報が、ネット媒体を含め、そのまま第三者等に渡ってしまう、知られて掲載されたりすることも考えられるというふうに説明すれば、恐らく更に多くの被害者が尻込みして、被疑者、加害者の処罰をしなくていいという判断に至ることは容易に想定できるのではないかというふうに考えているところでございます。

したがいまして、証拠の目的外使用については様々な御指摘があることは承知しておりますが、これを確実に抑止して弊害の発生を未然に防ぐことが重要であります。そのためには、証拠の複製等の目的外使用を一般的に禁止した上で、その実効を確保するために罰則を設けることも必要かつ相当であると考えております。

本法律案におきましては、このような観点から、関係者の名誉、プライバシー等の保護等を図るとともに、証拠提出命令制度の適正な運用、幅広い提出の運用を確保するために、再審請求審において謄写した証拠の複製等について目的外使用を一般的に禁止するとともに、その実効性を担保するために、一定の違反行為に対し罰則を設けることとしているところでございます。

そのような中には、目的外使用の意味というのはここで限られるであるとか、加工したものであれば証拠そのままの交付に当たらないであるとか、一定のルールがあるわけであります。そういう中で、その懸念は払拭していかなきゃいけないとは思っておりますが、その意味では、上谷参考人の御懸念に応えるものになっているのではないかと我々としては考えているところでございます。

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