おはようございます。株式会社国際社会経済研究所の布施でございます。
本日は、このような貴重な意見陳述の機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。
私は、企業のシンクタンクにおいて、経済安全保障と防衛問題の調査研究を担当しております。本日は、企業のシンクタンクにおける経験に基づきまして、経済安全保障推進法等の改正について、賛成の立場から意見を申し述べさせていただきたいというふうに思っております。
大きく分けて二つの論点、一つ目は、本改正法案の意義について戦略的不可欠性の文脈に引きつけて触れさせていただいた後に、二つ目の論点として、経済安保シンクタンクに期待される役割について申し述べたいというふうに思っております。
過去数年間の日本の経済安全保障の取組を振り返ってみますと、日本の戦略的自律性を高める、いわば守りの充実が目につきます。基幹インフラ事業者の審査制度を始めとして、特定重要物資の制度、研究セキュリティー、サプライチェーンの強靱化、リスク点検、技術情報の流出防止策といったものはその最たる例だというふうに言えると思います。リスク対応やリスク管理といった守りの充実、言い換えますと守りの経済安全保障の充実が図られてきたのが過去数年間の日本の経済安保の歩みだったと私は理解をしております。
こうして日本が守りの経済安保の充実を図る一方で、世界の方の動きに目を転じますと、経済の武器化、先ほども鈴木参考人からお話がありましたように経済の武器化が、いわば、はばかられることなく展開されるような動きが顕著になってきています。経済的な相互依存、本来であればウィン・ウィンの関係ですけれども、これが逆手に取られる形で自国の国益追求の武器や手段に使われてしまう、そういう時代になっているというふうに言えると思います。
日本にとっては、そうした経済的な威圧によって望まない不利益を強要されたり、あるいは健全な意思決定をゆがめられる、そういった事態をいかに回避していくかというのがこれまで以上に求められているというふうに考えています。こうした状況下においては、残念ながら、従来の守り一辺倒だけの経済安保では、日本の国益を確保することはますます難しくなっていくのではないかというふうに私は認識しております。
求められるのは、より能動的に、日本が世界の中で必要とされる存在になっていくこと、日本が持つ技術や製品、サービス抜きには世界のエコシステムが回っていかない状況をつくっていく、そうしたいわば積極姿勢、私は攻めの姿勢というふうに言っているんですけれども、攻めの経済安保、こういった発想が求められているのではないかというふうに考えます。
言い換えますと、リスクや状況が起きて初めて対応するのではなく、一歩進めて、あらかじめ自分たちの戦略的不可欠性や強みを伸ばすことで、必要とされる存在になり、そもそもリスクを顕在化させない、日本に好ましい状況を自らつくり出そうとしていく。こういった攻めの経済安保が次の日本の経済安保には求められているというのが、今日申し上げたい私の趣旨でございます。
そうした視点に立ったとき、本改正法案はまさに、状況に対応するだけではなく、状況を自らつくり出していこうとする、攻めの姿勢に必要なツールあるいは基盤が盛り込まれている内容になっていると考えます。
具体的には、経済安保シンクタンクと官民協議会、重要な海外事業の展開支援、Kプロの拡充、こういった施策は、いずれも戦略的不可欠性の強化を目指すものであって、攻めの経済安保の基盤になり得る。そういう意味では、政策的な意義が非常に高いというふうに私は考えております。
次に、二つ目の論点として、経済安保シンクタンクに期待する役割について申し上げます。
戦略的不可欠性を発揮して経済的威圧を抑止する、あるいはそれに伴う不利益を回避するには、重要技術やサービス、それらを開発、育成するだけでは十分ではありません。日本に対してちょっかいを出すのはやめておこうという抑止効果が生まれるのは、日本の強みが相手に認識されて初めて発揮されるからです。抑止効果は相手が認識して初めて生まれるもの。つまり、相手に日本の戦略的不可欠性を認識してもらって初めて、じゃ、日本は大事にしなきゃいけないな、あるいは日本にちょっかいを出すのはやめておこうという抑止効果が生まれるわけです。
つまり、重要技術や製品を作るだけではなく、それがいかに相手のエコシステムにとって欠かすことができない重要なピースなのか、これを我々でまず特定し、伝えていく、それを認識してもらう、そういう戦略的コミュニケーションが必要になってくるというふうに考えます。そうした戦略的コミュニケーションやシグナリングがあって初めて、戦略的不可欠性による抑止効果が生まれるということを付言しておきたいというふうに思います。
その意味においては、経済安保シンクタンクには、政策テーマの調査研究だけではなくて、海外における研究成果の発表あるいは対外発信、こういったものを通じて、世界に日本の戦略的不可欠性を認識してもらう戦略的コミュニケーションの役割も期待したいというふうに考えております。
また、もう一つ、経済安保シンクタンクに期待するものがあるとすれば、シナリオベースの議論、これを展開してくれることを期待申し上げたいと思います。
日本として、そもそも目指したい状況は一体何なのか、あるいは避けたいシナリオは何なのか、こういうイメージを持った上で、では、そうした好ましい状況をつくり出すには、どんな技術やどんな経済的手段が必要になるのか、あるいはそれをどう使っていけばいいのかという議論がこのシンクタンクを起点に活発になれば、日本の経済安全保障の議論というのは更に厚みを増すのではないかというふうに期待をしているところでございます。
また、もう一つ、シナリオベースの効用のところで指摘をさせていただきますと、本改正法案に盛り込まれている各種の施策、これの相互連携が進む推進剤にもなるんじゃないかという期待を持っております。
どういうことかといいますと、例えば、経済安保シンクタンク発で、日本が備えるべきワーストシナリオや戦略的不可欠性を発揮するシナリオ、こういったものを考えて提案してもらい、そうしたシナリオに基づいて、官民協議会やシンクタンクにおいて官民が同じ場所で集まって議論をする、場合によっては、机上演習、テーブルトップエクササイズというものを一緒に行って、同じ空間で実際のリスクシナリオを体感することで、課題や目指すべき方向感、場合によっては対策の手がかりなんかを一緒に見つけることができるかもしれません。
また、Kプログラムについても同様です。そもそも、どんな技術を育成すべきかという命題に取り組むのがKプロではありますけれども、日本にとって望ましい状況をつくり出すために役立つ技術というのは一体何なんだろう、こういうシナリオを起点に考えれば、おのずとKプロで育成すべき技術という、解像度についてもより上がってくるのではないかということが考えられるわけです。
そうしてKプロで育成された重要技術を、今度は海外事業の展開支援の枠組みを使って海外展開を支援していく、こういった連携があってもいいというふうに思います。
このように、経済安保シンクタンクを起点に、シナリオベースの戦略思考を推進剤にして、シンクタンク、官民協議会、Kプロ、海外事業の展開支援、こういった取組は、個別個別ではなくて相互に有機的に体系的に連携していく動き、こうしたものを今後私は期待申し上げたいというふうに思っております。
最後になりますが、改めまして、本改正法案は、日本の経済安保をこれから攻めの経済安保へとバージョンアップしていく上での必要な基盤、ツールを盛り込んでいるという意味において、非常にその政策的意義は高いということを申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
3
山下貴司(自民)
ありがとうございました。
次に、鈴木参考人にお願いいたします。
この発言のページ
4鈴鈴木一人東京大学公共政策大学院教授/国際文化会館地経学研究所長
ありがとうございます。御指名いただきました東京大学並びに地経学研究所の鈴木と申します。
私は、国際政治経済学というのを専門にしておりまして、日本が二〇二二年に経済安全保障推進法を成立して以来、世界から経済安全保障に対する日本の取組というのが極めて高く注目されていて、その評価について、またこの内容について説明を求められることが多々ございます。そうした観点から、今回こうした改正が行われるということで、更なる進展をされるということを大変望ましい、また、国際社会においても胸を張る経済安全保障の制度ができるんだろうということを期待できるというふうに考えております…
この発言のページ
5
山下貴司(自民)
ありがとうございました。
次に、布施参考人にお願いいたします。
この発言のページ
- (上の発言)
6布布施哲国際社会経済研究所特別研究主幹
おはようございます。株式会社国際社会経済研究所の布施でございます。
本日は、このような貴重な意見陳述の機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。
私は、企業のシンクタンクにおいて、経済安全保障と防衛問題の調査研究を担当しております。本日は、企業のシンクタンクにおける経験に基づきまして、経済安全保障推進法等の改正について、賛成の立場から意見を申し述べさせていただきたいというふうに思っております。
大きく分けて二つの論点、一つ目は、本改正法案の意義について戦略的不可欠性の文脈に引きつけて触れさせていただいた後に、二つ目の論点として、経済安保シンクタンクに期待される役割について申し述べたいというふうに思っております。
過去数年間の日本の経済安全保障の取組を振り返ってみますと、日本の戦略的自律性を高める、いわば守りの充実が目につきます。基幹インフラ事業者の審査制度を始めとして、特定重要物資の制度、研究セキュリティー、サプライチェーンの強靱化、リスク点検、技術情報の流出防止策といったものはその最たる例だというふうに言えると思います。リスク対応やリスク管理といった守りの充実、言い換えますと守りの経済安全保障の充実が図られてきたのが過去数年間の日本の経済安保の歩みだったと私は理解をしております。
こうして日本が守りの経済安保の充実を図る一方で、世界の方の動きに目を転じますと、経済の武器化、先ほども鈴木参考人からお話がありましたように経済の武器化が、いわば、はばかられることなく展開されるような動きが顕著になってきています。経済的な相互依存、本来であればウィン・ウィンの関係ですけれども、これが逆手に取られる形で自国の国益追求の武器や手段に使われてしまう、そういう時代になっているというふうに言えると思います。
日本にとっては、そうした経済的な威圧によって望まない不利益を強要されたり、あるいは健全な意思決定をゆがめられる、そういった事態をいかに回避していくかというのがこれまで以上に求められているというふうに考えています。こうした状況下においては、残念ながら、従来の守り一辺倒だけの経済安保では、日本の国益を確保することはますます難しくなっていくのではないかというふうに私は認識しております。
求められるのは、より能動的に、日本が世界の中で必要とされる存在になっていくこと、日本が持つ技術や製品、サービス抜きには世界のエコシステムが回っていかない状況をつくっていく、そうしたいわば積極姿勢、私は攻めの姿勢というふうに言っているんですけれども、攻めの経済安保、こういった発想が求められているのではないかというふうに考えます。
言い換えますと、リスクや状況が起きて初めて対応するのではなく、一歩進めて、あらかじめ自分たちの戦略的不可欠性や強みを伸ばすことで、必要とされる存在になり、そもそもリスクを顕在化させない、日本に好ましい状況を自らつくり出そうとしていく。こういった攻めの経済安保が次の日本の経済安保には求められているというのが、今日申し上げたい私の趣旨でございます。
そうした視点に立ったとき、本改正法案はまさに、状況に対応するだけではなく、状況を自らつくり出していこうとする、攻めの姿勢に必要なツールあるいは基盤が盛り込まれている内容になっていると考えます。
具体的には、経済安保シンクタンクと官民協議会、重要な海外事業の展開支援、Kプロの拡充、こういった施策は、いずれも戦略的不可欠性の強化を目指すものであって、攻めの経済安保の基盤になり得る。そういう意味では、政策的な意義が非常に高いというふうに私は考えております。
次に、二つ目の論点として、経済安保シンクタンクに期待する役割について申し上げます。
戦略的不可欠性を発揮して経済的威圧を抑止する、あるいはそれに伴う不利益を回避するには、重要技術やサービス、それらを開発、育成するだけでは十分ではありません。日本に対してちょっかいを出すのはやめておこうという抑止効果が生まれるのは、日本の強みが相手に認識されて初めて発揮されるからです。抑止効果は相手が認識して初めて生まれるもの。つまり、相手に日本の戦略的不可欠性を認識してもらって初めて、じゃ、日本は大事にしなきゃいけないな、あるいは日本にちょっかいを出すのはやめておこうという抑止効果が生まれるわけです。
つまり、重要技術や製品を作るだけではなく、それがいかに相手のエコシステムにとって欠かすことができない重要なピースなのか、これを我々でまず特定し、伝えていく、それを認識してもらう、そういう戦略的コミュニケーションが必要になってくるというふうに考えます。そうした戦略的コミュニケーションやシグナリングがあって初めて、戦略的不可欠性による抑止効果が生まれるということを付言しておきたいというふうに思います。
その意味においては、経済安保シンクタンクには、政策テーマの調査研究だけではなくて、海外における研究成果の発表あるいは対外発信、こういったものを通じて、世界に日本の戦略的不可欠性を認識してもらう戦略的コミュニケーションの役割も期待したいというふうに考えております。
また、もう一つ、経済安保シンクタンクに期待するものがあるとすれば、シナリオベースの議論、これを展開してくれることを期待申し上げたいと思います。
日本として、そもそも目指したい状況は一体何なのか、あるいは避けたいシナリオは何なのか、こういうイメージを持った上で、では、そうした好ましい状況をつくり出すには、どんな技術やどんな経済的手段が必要になるのか、あるいはそれをどう使っていけばいいのかという議論がこのシンクタンクを起点に活発になれば、日本の経済安全保障の議論というのは更に厚みを増すのではないかというふうに期待をしているところでございます。
また、もう一つ、シナリオベースの効用のところで指摘をさせていただきますと、本改正法案に盛り込まれている各種の施策、これの相互連携が進む推進剤にもなるんじゃないかという期待を持っております。
どういうことかといいますと、例えば、経済安保シンクタンク発で、日本が備えるべきワーストシナリオや戦略的不可欠性を発揮するシナリオ、こういったものを考えて提案してもらい、そうしたシナリオに基づいて、官民協議会やシンクタンクにおいて官民が同じ場所で集まって議論をする、場合によっては、机上演習、テーブルトップエクササイズというものを一緒に行って、同じ空間で実際のリスクシナリオを体感することで、課題や目指すべき方向感、場合によっては対策の手がかりなんかを一緒に見つけることができるかもしれません。
また、Kプログラムについても同様です。そもそも、どんな技術を育成すべきかという命題に取り組むのがKプロではありますけれども、日本にとって望ましい状況をつくり出すために役立つ技術というのは一体何なんだろう、こういうシナリオを起点に考えれば、おのずとKプロで育成すべき技術という、解像度についてもより上がってくるのではないかということが考えられるわけです。
そうしてKプロで育成された重要技術を、今度は海外事業の展開支援の枠組みを使って海外展開を支援していく、こういった連携があってもいいというふうに思います。
このように、経済安保シンクタンクを起点に、シナリオベースの戦略思考を推進剤にして、シンクタンク、官民協議会、Kプロ、海外事業の展開支援、こういった取組は、個別個別ではなくて相互に有機的に体系的に連携していく動き、こうしたものを今後私は期待申し上げたいというふうに思っております。
最後になりますが、改めまして、本改正法案は、日本の経済安保をこれから攻めの経済安保へとバージョンアップしていく上での必要な基盤、ツールを盛り込んでいるという意味において、非常にその政策的意義は高いということを申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
7
山下貴司(自民)
ありがとうございました。
次に、植松参考人にお願いいたします。
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8植植松智則日本電気株式会社Corporate SVP兼海洋システム事業部門長
委員の皆様、おはようございます。本日は、このような貴重な機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。
NECから参りました植松と申します。
本日は、サプライヤーの立場から、事業継続あるいは安定供給のための課題とその取組に絞って述べさせていただきます。事業の現場の生の声として、委員の皆様の法案検討の一助になれば幸いでございます。
それでは、お手元の資料に沿って御説明申し上げます。
既に御承知かもしれませんけれども、海底ケーブル市場は、主にハイパースケーラーが牽引して、年間三千億円から五千億円規模に伸長すると予想しております。
これに対して、弊社…
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9
山下貴司(自民)
ありがとうございました。
以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。
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