植松智則日本電気株式会社Corporate SVP兼海洋システム事業部門長

2026年5月14日・第221回国会 衆議院 内閣委員会 第11号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 8 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 95 発言)

委員の皆様、おはようございます。本日は、このような貴重な機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。

NECから参りました植松と申します。

本日は、サプライヤーの立場から、事業継続あるいは安定供給のための課題とその取組に絞って述べさせていただきます。事業の現場の生の声として、委員の皆様の法案検討の一助になれば幸いでございます。

それでは、お手元の資料に沿って御説明申し上げます。

既に御承知かもしれませんけれども、海底ケーブル市場は、主にハイパースケーラーが牽引して、年間三千億円から五千億円規模に伸長すると予想しております。

これに対して、弊社では、様々な施策を講じて、市場シェアの拡大であったり経済効果を目指しております。しかしながら、変動幅が大きくて不均一な市場の伸長ということもありまして、企業単独での大型の投資というのは慎重にならざるを得ないということもあります。成長期待だけではなくて、大きな波、市場の波に耐え得る供給力と持続力、こういったものを持つことも必要と考えております。

経済安全保障の観点からも、海底ケーブルは単なる通信設備ではなくて国家や社会を支える重要なインフラですから、企業の収益事業にとどまらず、日本の産業基盤と安全保障に資する重要分野であると考えております。

次のページから、課題について御説明いたします。

まず、課題一の敷設船の保有と海洋工事ナレッジの増強でございます。

弊社の海底ケーブル事業は、実は二年連続の赤字という厳しい状況にあります。その原因を分析すると、実に海洋工事に起因するものが七割を占めています。将来にわたって持続可能な収益事業とするためには、まずはこの点を克服しなければなりません。

競合と比較してみますと、決定的に違うのは、敷設船を自社で保有していないという点でございます。競合は二社とも自社船を保有しておりますし、業績好調な米国サブコムに関しては、船を使う米軍の仕事で船の稼働を上げているというのも特徴的な点かと思います。

弊社は、長期チャーターとスポットの契約で数隻使っておりますが、配船計画やコストやあるいは工期のコントロールというのも必ずしも弊社の意図するとおりにはいっておりません。業界全体では、敷設船の老朽化が確実に進んでおります。このままチャーター依存では、敷設能力が危うくなるというふうに見ております。当面は伸長する市場、敷設船の老朽化、そして造船所の生産能力も考えると、自社船保有に踏み切るというのはまさに今がベストなタイミングかなというふうに考えています。

保有する船舶は、新造船ですので、最新技術で工事効率を上げるような、そういう改善も考えていきたいと思っております。さらには、高度なスキルでリスクマネジメントする工事技術者というものの育成も計画しております。海底ケーブルの安定供給には、船舶とナレッジ、すなわち人になりますけれども、これが最優先の課題と考えております。

次に、課題の二で、生産設備と技能者の拡充です。

生産拠点はいずれも国内にあって管理はしやすいのですが、ケーブルと海底装置の生産拠点がそれぞれ北九州と山梨県の大月の一か所ずつしかございません。災害などがあれば生産がストップしてしまう、そういった懸念もございます。

北九州では敷設船への積込みまで行うんですが、積込み経路が、今、二本なんですね。そのうち一本が破損している関係で、今、一本での運用になっています。さらには、岸壁なんですが、これは公共施設ですので一定の制約がございます。

弊社の取組としては、まず、技術競争力の源泉となる大容量ケーブル、多芯・マルチコアと称しております大容量ケーブルの生産設備の増強です。従来のケーブルであれば生産能力にまだ余裕はあるんですが、勝ち筋を描くためには、やはり大容量ケーブルの生産ラインの構築、さらには技能者、こういったものが必要になってきます。そして、設備の脆弱性の解消のためには、防護はもちろんですし、遠隔地でケーブルを備蓄するような、こういったデポも検討し始めようと考えております。

次のページで、課題の三、原材料の仕入れと許認可の短縮です。

原材料については、現時点では、価格高騰はあるんですけれども、何とか入手はできています。ですが、この先の社会情勢、既に今がそうかもしれませんけれども、深刻な問題となるような懸念は当然持っております。

もう一つの許認可の方が、実は材料よりも深刻な問題です。国によって違いはあるんですけれども、主には海洋工事と陸上工事に関する許認可の取得が物すごく複雑で、かなり長期化してしまっています。この許認可の遅れというのは、当該の契約だけでなく、全体の生産計画、敷設計画を乱しますので、実はこれだけでも億単位の原価悪化というものが発生しております。これは競合にとっても同じ条件ですので、許認可の短縮というのは業界全体の課題というふうに考えています。もしこれが解消すれば、工事の定時性が高まりますから、安定供給はもちろんですが、海底ケーブル産業そのものも更に伸長する可能性ももしかしたらあるのではなかろうかというふうに思います。

海底ケーブルの業界の商慣習といえば商慣習なんですけれども、原材料の高騰とか許認可の遅れ、そういった外的要因のリスクというのは、多くは契約者側が負うようになっています。施主、ケーブルのオーナー様とのリスクシェアの交渉であるとか、原材料については国内の業者との交渉を進めているところでございます。許認可については、社内には専任も配置しておりまして、海外各国については専門の許認可のエージェントを活用しています。

次に、課題の四、これが最後ですけれども、付加価値技術の研究開発を挙げさせていただきました。付加価値がないと、価格競争に陥って体力がもたないんですね。

技術戦略の一つは、先ほども少し触れた大容量の技術というふうに考えています。これはマルチコアファイバーという技術で、資料中はペタビットという言葉を使っていますけれども、これは通信容量を示す単位です。従来の海底ケーブルの、何と比較するかにもよりますけれども、二倍以上、そういった大容量で、実は太さが変わらないものですから工事効率も変わらずと。技術的にはかなり高度なもので、髪の毛ほどのファイバーの中に光の通り道が二本入るというようなものです。最近は、工事のコストというものはかなり高騰していますので、大容量のケーブルを一回の工事で敷けるというのは、ケーブルの主な施主にとっても大きなメリットかなというふうに思います。

海底ケーブルは、この長い歴史の中で、あえて存在を知らせることで、切られないように注意してくださいという、そういう考えの下普及してきたようにも思います。ですが、昨今ケーブル切断の事例も多くなっておりますし、こういった第三者のケーブル切断に関しては、早急に防護あるいは抑止のための打ち手が必要と考えています。弊社では金属で保護したケーブルも生産しておりますし、さらには、抑止力につなげるために、仮に切っても必ず見つけるぞ、捕まえるぞと、そういった抑止力のために切断箇所を正確に短時間で特定するような技術開発にも取り組んでおります。

最後に、政府への支援要望をまとめさせていただきました。私どもは、海底ケーブル事業を、日本経済を支えるデジタルインフラ事業であると認識しております。日本の緻密で繊細な物づくりというものを生かせる、国として守り育てるべき産業の一つであるというふうにも考えております。その上で、御支援いただきたい内容を、こちらのページの四つに分類してまとめております。既に技術開発については多大なる御支援を賜っております、引き続きお願いいたします。

今般、特にお願いしたいのは、左上にあります安定供給のための設備投資です。敷設船を筆頭に、設備に関する御支援を賜りたいと存じます。さらには、下段になりますけれども、定時性確保のための陸揚げする国との協調であったり、高度人材育成のための産官学の連携、こういったものについても、民間企業ではできることには限界がございますので、是非とも御支援を賜りたいと思います。

この海底ケーブルの事業を持続可能なものとするためには、様々な御支援の下、当然、自社での努力もいたします。我が国の産業競争力とレジリエンスを高めることにも直結すると考えております。是非御理解と御支援を賜れればと思います。

私からは以上になります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

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