電磁的記録提供命令を行うためには、裁判官の事前の令状審査を経る必要があります。そして、裁判官は、警察官から出された疎明資料に基づいて被疑事実に関連するというふうに判断したデータのみを提供させるべき電磁的記録として定めて令状を発付するというふうな仕組みが取られておりますので、元々今回の法案の中では、その被疑事実と関連性を有しない個人情報等を取得しないような仕組みが設けられていたと言うことができます。
その上で、今回、衆議院の修正案において新たに附則四十条というものが設けられたわけですけれども、この点は国会議員の先生方の問題意識を踏まえた修正であるというふうに認識しておりまして、このような附則が定められた以上は、その元々の法案以上に、捜査機関は本当に被疑事実に関連するデータであるのかということを事前によく考えた上で疎明資料を作成し、さらに裁判官も、その被疑事実に関連するデータにきちんと限定できているのかというところを、先ほど申し上げたように、データの作成された時期とかあるいはそのファイルの形式等で十分に限定した形で令状を発付すると。その意味で、本法案以上に、この附則を踏まえてより慎重な手続を経てデータが取得されることになると思いますので、この附則は非常にいい附則だというふうに考えております。
91河河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長
秘密保持命令に期間が定められたことにつきましては、先ほども申し上げましたが、日本弁護士連合会の意見書の内容を採用していただいたものですので積極的な評価をしております。
ただ、今この秘密保持命令に注目が集まっておりますが、不服申立ての機会の保障という観点からは、秘密保持命令以前に、情報主体への通知制度こそが必要なのではないかと私は考えております。それはなぜかといいますと、多くの事業者は、この秘密保持命令を受けようが受けまいが、あるいは秘密保持命令の効力が失われようが、本人に通知しない可能性が高いからです。
本人の権利を守るという観点からは、やはりこの本…
この発言のページ
92渕渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授
私も、本人への通知ということが非常に重要だと思います。
それは、今、河津参考人がお答えになった、その本来収集されるべきではないデータが収集されたことに対して不服申立てをする機会を保障するということだけではなくて、特にこの本人が被疑者である場合に、その被疑者として嫌疑を掛けられている事件に関して、その提供されたデータが何であるか、捜査機関がどういうデータを持っているのかということを知ることによって自らのその刑事事件の防御に使うと、つまり、証拠開示を受けてその捜査機関が収集したデータを被疑者側が自己のその刑事事件の弁護のために使うということができなくなって…
この発言のページ
93
鈴木宗男政府参考人など
ありがとうございました。
同じくこれ、衆議院の方で附則第四十条での修正があるんですけれども、この電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させ、又は電磁的記録に係る記録媒体を押収するに当たっては、デジタル社会において個人情報の保護がより重要となっていることに鑑み、できる限り被告事件又は被疑事件と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意しなければならないというのが入っていますが、プライバシーの保護の観点や個人情報保護の観点からこれで十分なのかどうか、参考人の皆さんの見解をお知らせください。
この発言のページ
- (上の発言)
94成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
電磁的記録提供命令を行うためには、裁判官の事前の令状審査を経る必要があります。そして、裁判官は、警察官から出された疎明資料に基づいて被疑事実に関連するというふうに判断したデータのみを提供させるべき電磁的記録として定めて令状を発付するというふうな仕組みが取られておりますので、元々今回の法案の中では、その被疑事実と関連性を有しない個人情報等を取得しないような仕組みが設けられていたと言うことができます。
その上で、今回、衆議院の修正案において新たに附則四十条というものが設けられたわけですけれども、この点は国会議員の先生方の問題意識を踏まえた修正であるというふうに認識しておりまして、このような附則が定められた以上は、その元々の法案以上に、捜査機関は本当に被疑事実に関連するデータであるのかということを事前によく考えた上で疎明資料を作成し、さらに裁判官も、その被疑事実に関連するデータにきちんと限定できているのかというところを、先ほど申し上げたように、データの作成された時期とかあるいはそのファイルの形式等で十分に限定した形で令状を発付すると。その意味で、本法案以上に、この附則を踏まえてより慎重な手続を経てデータが取得されることになると思いますので、この附則は非常にいい附則だというふうに考えております。
95河河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長
附則四十条につきましても、日本弁護士連合会の意見書での提案を採用していただいたものであり、積極的に評価をしております。先ほども申し上げましたが、実質的にこれを運用するのは裁判官ですので、裁判所がこの附則四十条が規定された趣旨を踏まえて厳格な令状審査を行うことが何よりも重要であると考えております。
一方で、プライバシーの保護という観点からは、事前規制だけでは十分ではないと考えられています。どれだけ事前規制を掛けようとしたとしても、無関係なプライバシー情報等々は混入し得る、さらには、令状の趣旨に反して、許可された範囲外の情報を取得してしまうということが起こ…
この発言のページ
96渕渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授
私も、この附則四十条によって裁判官が厳格な令状審査をすることが強く望まれるとは思いますが、私は、本質的にはそれは不可能であろう、ではないかというふうに考えます。
先ほど成瀬参考人が御説明されていましたけれども、令状請求するに当たって、例えば千点のデータが請求されました、そのうち五百点が犯罪に関連するデータで、残りの五百件が犯罪に関連しないデータですというときに、先ほどの成瀬参考人の御説明だと、例えばAさんからのメールについてこれは関連するかしないかを判定し、次にBさんからのメールについて関連するかしないかを判定し、クレジットカードについても、この店で使…
この発言のページ
97
鈴木宗男政府参考人など
ありがとうございました。
ほかにも質問を考えてきましたけれども、あと二分しかないものですから、最後に河津参考人に一つお尋ねします。
先ほど嘉田委員から押収についてのお話がありました。私自身、経験者として、検察の押収あるいは家宅捜索、非常に矛盾感じています。段ボール持っていく映像がよく映りますけれども、あの段ボール、一人では抱えられません、書類入っていれば。現実、関係のない写真だとか全く無駄な資料まで持っていくんですね。私はこれ非常に問題だと、このプライバシーだとか人権の問題からも思っているんです。
と同時に、あの家宅捜索のとき、必ずテレビ来ています…
この発言のページ