私も、本人への通知ということが非常に重要だと思います。
それは、今、河津参考人がお答えになった、その本来収集されるべきではないデータが収集されたことに対して不服申立てをする機会を保障するということだけではなくて、特にこの本人が被疑者である場合に、その被疑者として嫌疑を掛けられている事件に関して、その提供されたデータが何であるか、捜査機関がどういうデータを持っているのかということを知ることによって自らのその刑事事件の防御に使うと、つまり、証拠開示を受けてその捜査機関が収集したデータを被疑者側が自己のその刑事事件の弁護のために使うということができなくなってしまうおそれがあるからです。
これは河津参考人が別のところでよく指摘をされていますけれども、捜査機関が収集したデータですね、提供命令を受けたデータについて、必ずしも全てきちんと証拠として管理をしていない、できていないのではないかという疑いが払拭できないときには、これはいわゆる証拠のリストにも記載されないので、結局、弁護人、被告人はどういうデータを捜査機関が提供命令を受けたかということを知ることが制度上できないという問題が発生してしまいます。
ですので、この点からも、本人への通知というのは、被疑者が今その立件をされようとしている当該事件に関する弁護活動との関係でも非常に重要だというふうに考えます。
89
鈴木宗男政府参考人など
参考人の皆さん、御苦労さまです。
鈴木宗男と申します。私が最後ですので、よろしくお願いします。
このいわゆる刑事デジタル法案、衆議院において修正や追加された部分がありますので、この点について、各委員の質問とも一部ダブりますけれども、お尋ねをしたいと思います。
検察官等が電磁的記録提供命令を受ける者に対して行う、みだりに電磁的記録提供命令を受けたこと等を漏らしてはならない旨の命令、いわゆる秘密保持命令について、一年を超えない期間を定めて行うこととするという修正が衆議院でされました。
メールやSNS等のユーザーによる不服申立ての機会の確保としてこの修…
この発言のページ
90成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
お答え申し上げます。
秘密保持命令の期間につきましては、政府提出法案の段階では、期間を定めるということは元々の原案にはなかったものでございます。その代わりにどのような規律を想定していたかといいますと、その期間を定める代わりに、捜査機関が必要がなくなったときには直ちにその命令を取り消すという仕組み、さらには、その被処分者である事業者の側から請求をして捜査機関に取り消してもらう、その判断が万が一納得できないという場合には裁判所に不服申立ても認めると、そういう形で適切なタイミングに秘密保持命令が取り消されるという仕組みを想定していたわけです。
ただ、衆議院…
この発言のページ
91河河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長
秘密保持命令に期間が定められたことにつきましては、先ほども申し上げましたが、日本弁護士連合会の意見書の内容を採用していただいたものですので積極的な評価をしております。
ただ、今この秘密保持命令に注目が集まっておりますが、不服申立ての機会の保障という観点からは、秘密保持命令以前に、情報主体への通知制度こそが必要なのではないかと私は考えております。それはなぜかといいますと、多くの事業者は、この秘密保持命令を受けようが受けまいが、あるいは秘密保持命令の効力が失われようが、本人に通知しない可能性が高いからです。
本人の権利を守るという観点からは、やはりこの本…
この発言のページ
- (上の発言)
92渕渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授
私も、本人への通知ということが非常に重要だと思います。
それは、今、河津参考人がお答えになった、その本来収集されるべきではないデータが収集されたことに対して不服申立てをする機会を保障するということだけではなくて、特にこの本人が被疑者である場合に、その被疑者として嫌疑を掛けられている事件に関して、その提供されたデータが何であるか、捜査機関がどういうデータを持っているのかということを知ることによって自らのその刑事事件の防御に使うと、つまり、証拠開示を受けてその捜査機関が収集したデータを被疑者側が自己のその刑事事件の弁護のために使うということができなくなってしまうおそれがあるからです。
これは河津参考人が別のところでよく指摘をされていますけれども、捜査機関が収集したデータですね、提供命令を受けたデータについて、必ずしも全てきちんと証拠として管理をしていない、できていないのではないかという疑いが払拭できないときには、これはいわゆる証拠のリストにも記載されないので、結局、弁護人、被告人はどういうデータを捜査機関が提供命令を受けたかということを知ることが制度上できないという問題が発生してしまいます。
ですので、この点からも、本人への通知というのは、被疑者が今その立件をされようとしている当該事件に関する弁護活動との関係でも非常に重要だというふうに考えます。
93
鈴木宗男政府参考人など
ありがとうございました。
同じくこれ、衆議院の方で附則第四十条での修正があるんですけれども、この電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させ、又は電磁的記録に係る記録媒体を押収するに当たっては、デジタル社会において個人情報の保護がより重要となっていることに鑑み、できる限り被告事件又は被疑事件と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意しなければならないというのが入っていますが、プライバシーの保護の観点や個人情報保護の観点からこれで十分なのかどうか、参考人の皆さんの見解をお知らせください。
この発言のページ
94成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
電磁的記録提供命令を行うためには、裁判官の事前の令状審査を経る必要があります。そして、裁判官は、警察官から出された疎明資料に基づいて被疑事実に関連するというふうに判断したデータのみを提供させるべき電磁的記録として定めて令状を発付するというふうな仕組みが取られておりますので、元々今回の法案の中では、その被疑事実と関連性を有しない個人情報等を取得しないような仕組みが設けられていたと言うことができます。
その上で、今回、衆議院の修正案において新たに附則四十条というものが設けられたわけですけれども、この点は国会議員の先生方の問題意識を踏まえた修正であるというふ…
この発言のページ
95河河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長
附則四十条につきましても、日本弁護士連合会の意見書での提案を採用していただいたものであり、積極的に評価をしております。先ほども申し上げましたが、実質的にこれを運用するのは裁判官ですので、裁判所がこの附則四十条が規定された趣旨を踏まえて厳格な令状審査を行うことが何よりも重要であると考えております。
一方で、プライバシーの保護という観点からは、事前規制だけでは十分ではないと考えられています。どれだけ事前規制を掛けようとしたとしても、無関係なプライバシー情報等々は混入し得る、さらには、令状の趣旨に反して、許可された範囲外の情報を取得してしまうということが起こ…
この発言のページ