竹内努法務省民事局長

2025年5月21日・第217回国会 衆議院 法務委員会 第16号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 141 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 203 発言)

お答えいたします。

集合動産は設定者による処分等によってその構成部分が変動いたしますが、担保権者は、仕入れによる補充等により、全体として一定の範囲で価値が維持されることを前提にした担保価値を期待していることが通常でございます。

そこで、譲渡担保法案は、設定者は動産の補充等により集合動産の全体としての価値の維持義務を負う旨を特に明文で定めることとしております。

もっとも、集合動産はその価値が変動することが予定されておりますので、その変動の原因には様々なものがあります。集合動産が維持すべき価値を下回った場合でも、当然に義務違反を問うのは相当ではないことがあり得ます。そこで譲渡担保法案は、正当な理由がある場合には担保価値維持義務を負わないこととしております。

どのような場合に正当な理由があると言えるかは、個別具体的な事情に基づく判断ということになりますが、例えば、合理的な経営判断に基づく事業の縮小に伴って、担保の目的である在庫の価値が減少する場合等がこれに当たると考えられます。

また、担保権者を害するとは、集合動産の価値が一定の範囲で変動することを考慮してもなお、譲渡担保契約上、担保権者が合理的に期待していた範囲を超えて目的財産の価値が減少し、譲渡担保権の実行によって本来回収することができた債権を担保権者が回収することができなくなることをいうものでございます。

例えば、設定者が正当な理由なく、事後的な補充の意思もないのに集合動産の構成部分を処分して大幅に減少させるといった行為が、担保価値維持義務違反に当たると考えられます。

もっとも、設定者に求められる動産の補充等の方法や程度、頻度等については、動産の種類等により多種多様でありまして、設定者が担保権者を害しない範囲を超えて担保価値を減少させたかどうかは、個別具体的な事情に基づき判断されることになりますので、一律の基準を明示することは困難であることを御理解いただきたいと思います。

実務的には、譲渡担保契約において、当事者間で想定される事情を踏まえて、担保価値維持義務の基準を合意し、その内容をより明確にしておくことが考えられるところでございます。

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