松尾豪合同会社エネルギー経済社会研究所代表

2026年3月24日・第221回国会 参議院 予算委員会公聴会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 180 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 267 発言)

ただいま御紹介いただきましたエネルギー経済社会研究所の松尾と申します。

本日は、このような貴重な機会を、大変貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

私の資料、エネルギーと申し上げましても非常にこれ分野が広いものでございます。私はどちらかというと電力を専門にしておりますので、電力を中心にしながら、原油についても少しお話をさせていただければと考えております。

最初のスライド、一ページ目を御覧いただければと思います。

今申し上げましたとおり、石油、特に石油についてはこれ非常に裾野が広い産業です。この石油、しかも原油が、供給が九割絶たれているような状況ですので、影響は非常に幅広く広がる可能性があるというふうな状況でございます。

LNGに関しては、今現状、ホルムズ依存度はそれほど高くはないという状況ではありますけれども、やはり三週間しかためられないと、こういう懸念がある中で都市ガスや電力への影響が懸念されている状況と理解をしております。

私のスライド、最初の方で、やはりエネルギー、今何が起きているのかというものを少し御説明した後、最後まとめて私が今考えていることを御紹介させていただく、このような構成になってございます。

お手元の資料二ページ目を御覧いただければと思います。まずは、LNGについてでございます。

今申し上げましたとおり、日本のLNG輸入におけるホルムズ依存度は五%、これ今止まっているのは五%ですから、総量としてはそれほど多くない、ほかのエリアは逆に言うと安定的に輸入ができていると、こういう状況でございます。

ただ、私が懸念をしておりますのは、これもうオマーンでございます。オマーンはこれ比率五%でございます。合計で中東依存度は一〇%ということになります。

実は、過去ひもといてみますと、二〇二二年にサハリン、ロシアのサハリン2の供給が途絶えるかもしれない、実際はそのまま供給が続いたわけですけれども、サハリン2の運営会社が国有化されるに当たって日本もLNGが来るのかどうなのか、こういう懸念があったと思います。このとき、日本のLNG輸入におけるロシアの比率というのは九%でございました。

これを考えますと、やはりオマーンという存在は非常に大きいと考えておりまして、仮に、今これ、オマーンは今現状、石油や物流施設に対しての攻撃が続いている状況でございますので、仮にこのLNGの供給が止まるということになってくると、場合によっては対策を考えなくてはいけないと、こういう状況だと感じております。

三ページ目でございます。

なかなか今この中東が止まったというマクロ感が分かりにくいと思いましたので、少しちょっと資料で、データで御紹介させていただければと思っております。

今、世界のLNGの輸出量は大体年間四億二千万トンでございます。このうち、昨年、カタールとアラブ首長国連邦、この二か国のLNGが止まっていますけれども、この二か国が輸出したLNGの量は年間八千六百万トンと非常に大きな数字でございます。大体二〇%でございます。これは短期的には、二〇二二年のロシアによるヨーロッパ向けの天然ガスの供給の停止、これを超えるインパクトだと感じております。

ただ、これ、二〇二二年と状況が異なるのは、これ今現状、アメリカと、ちょっとカタールはいつ動くかというお話にはなりますけれども、アメリカを中心に建設中の天然ガスの液化施設、LNGを作る工場が続々今後、運転開始予定、これが薄いピンク色の部分でございまして、これ長期的に見ると二〇二二年ほどのインパクトをもたらさない可能性はあるのではないかと。ただ、当然、短期的な混乱は非常に大きなものになるだろうと感じております。

四ページ目でございます。

こちら、今回は物価も扱われるということですから、これはあくまでモデルでございますので、必ずしもこうなるというものではございませんので、あくまで私のモデルとして御用意させていただいておりますが。

LNGの輸入形態には長期契約とスポットと言われる二つの形態がございます。日本は、この後のスライドで御紹介しますけれども、長期契約の方が比率が大きい。ただ、この長期契約も原油価格に連動をいたしますので、今回、原油の供給も絶たれている、その中で原油価格も非常に上がっている状況ですから、これ、長期契約も上昇すると、LNG全体で価格が上がっていく傾向にあるという状況でございます。

五ページ目が、日本のLNG調達においてのスポット比率を御紹介させていただいております。

これはガスの生産者協会がある意味の推計値として出しているものですので、日本の事業者が本当にこの数字なのかというのは、各社の定義があると思いますから、ちょっとこれはあくまで御参考になりますけれども、足下二〇二四年は一八%のスポット比率であるというような状況でございます。

スポットの依存度は近年低下傾向でございます。これは背景には、原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの導入拡大によってLNGの調達量自体が徐々に下がってきているというところが背景にございます。

ここまでがLNGのお話でございます。

六ページ目、ここからは今度は原油のお話でございます。

ホルムズ封鎖による供給支障、これはグローバルの供給支障は一千五百万バレル・パー・デーという状況でして、これは世界の年間輸出量の二〇%に相当いたします。中東ではこれ三二%と書いておりますけれども、中東も、今報道等でございますように、迂回ルートはございますし、ホルムズ海峡を通らない、ペルシャ湾から出てこない原油もございますので、この数字を除きますと二〇%に相当するというような状況です。

このグラフを見ていただくと、今回、一千五百という数字を差っ引いて作った図がこちらでございますが、過去最大の供給支障であるということがお分かりいただけるかなと思います。

七ページ目を御覧いただけますでしょうか。

これは、日本の原油と粗油の輸入状況とホルムズ、中東依存度をお示ししているものでございます。

こちら見ていただくと、中東依存度というところで申し上げますと九三%と、非常に比率として高いものでございます。これ背景として、やはり中東は世界最大級の大規模な供給地帯であるというところは申し上げることができると思います。

日本の製油所は、これ長らく、製油所の設備を造っていく、そして原油も本当にいろいろな質がございます。もうどろどろのアスファルトのようなものから非常にさらさらしたものまで、出てくるタイミングでいろいろな質がございます。日本の製油所は、この中東の原油に合わせて製油所の設計をしてきて運用をしてきているというところがございます。

やはり、このオイルショックが起きてから、日本も調達先の分散化をしようと。例えば過去で申し上げると、中国とかインドネシアに依存したこともございました。ただ、これらの国々も経済発展でだんだん原油が出てこなくなった。近年はロシアというものにも頼っておりましたけれども、結果的に近年のロシアによるウクライナ侵攻等々を経まして分散の余地がなくなってきているというところでございます。

八ページ目でございます。

これ、過去の供給ショックと比べても非常に規模が大きい混乱であるというところは先ほど申し上げたところですが、IEAのファティ・ビロル事務局長は、現在の危機は二度のオイルショックを既に超えているという評価をされているところです。

二〇二二年の対ロ制裁では、やはり今報道でもありますけれども、シャドーフリート、制裁されているけれども輸出しますよ、こういう迂回の輸出が出てきている、若しくはパイプラインの輸出、大陸間でのパイプラインの輸出、こういうものが出てきたわけですけれども、今現状は非常に規模の大きい影響になってしまっているというところでございます。

九ページ目でございます。

昨年、ホルムズ海峡を通過した原油、石油製品というのは、これ二千万バレル・パー・デー近くでございました。そのうち、先ほど一千五百万バレル・パー・デーの供給支障なのではないかと申し上げたのは、迂回ルートがあるから。幾つか迂回ルートはございますけれども、四百七十万バレル・パー・デー、もしかしたらもう少し超えるかもしれないということで、供給支障は千五百万バレル・パー・デーくらいであるというところです。

分析の内容、これで最後になりますけれども、十ページ目でございます。

やはりこういうことになってくると、化石燃料という観点では石炭という扱いもここでは触れなくてはいけないと思っております。

一方で、これ、アジア諸国を中心に、皆さん考えること一緒ということになりますけれども、石炭需要というのが非常に増えてきているというような状況でございます。石炭のこれ先物価格、非常に上昇しております。これ、炭鉱は、これ私自身も見に行ったことがあるんですが、炭鉱を掘るのに重機をたくさん使います。重機は当然ディーゼル燃料で使う、つまり軽油が非常に大量に消費するわけですけれども、今炭鉱ではこの軽油を将来にわたっても確保できるか、これが非常に不透明で、長期化すると石炭市場も混乱する可能性があるんじゃないかと、このような指摘が出てきているところでございます。

最後、五分ほどで私の意見を申し上げさせていただきたいと思います。

最後、十一ページ目でございます。

今回、石油、LNG・電力、そしてエネルギー全般ということで三つに分けて御紹介できればと思っております。

石油については、まずは、何と申し上げましても、これ調達ポートフォリオの再構築、これは非常に重要なのではないかと思っております。やはりこれまでは、ホルムズ海峡を封鎖する、それが世界的な経済へのインパクト、そして今封鎖しているイラン自身への影響というものを鑑みれば、それほど考慮する必要があるのか、こういうような考え方の下、基本的には中東への依存度というのは高い状態が続いてきたわけですが、やはりこれだけ地政学リスクが高まってきますと、また海上輸送リスクが高まってきますと、調達先の分散というものは戦略的に進める必要があると、このように感じております。

経済合理性が非常にこれまで重要だったわけですが、供給途絶時の耐性も含めてどのように調達ポートフォリオを構築していくか、これは検討が必要になると思います。

また、製油所の在り方ということもしっかり議論をしていく必要があると思っています。これは民間収益事業であるものの、これ有事の燃料供給を支える安全保障のインフラでもあると、このように申し上げることができると思います。

この合理化であったり設備投資というのは、今現状、事業者任せと言わざるを得ない状況ではございますけれども、場合によっては制度的支援や費用負担の在り方というものを国としても議論する必要があるのではないかと感じております。

LNG・電力については三点です。

一点目は、エネルギー自給率の向上でございます。

やはり今、日本は七割を化石燃料に、電力供給の七割を火力電源に頼っているような状況でございます。エネルギー自給率の向上というのは今回の危機でも改めて再確認されたところでございまして、原子力発電所の再稼働や次世代炉へのリプレースの推進に加えて、再生可能エネルギーの導入拡大を着実に進めていく、これは極めて重要だと思っております。これは中長期のエネルギー安全保障にも資すると感じております。

二点目は、電源多様性確保の重要性。

これは、もう率直に申し上げますと、石炭火力ってどのように扱いますかという、非常に議論をしにくい内容ではございますが、今ここでは、アジア諸国も含めて石炭というものの重要性が高まってきている状況でございます。

ただ、これ、石炭火力に向けた、石炭火力の維持に向けた議論というのは重要であるものの、これ、脱炭素の潮流によって炭鉱の閉山増が見込まれるような状況でございます。オーストラリアでは二〇三〇年代のこのタイムリミットというのが大分迫ってきているような状況でございますので、供給面の制約も強まっている、中長期的には依存度を下げる、こういう考え方が必要になっていると思います。

LNG調達の強靱化という観点も重要だと思っています。

これは石油と全く同じということで、今、分散化を進めていて、その分散調達先でまた課題が出てきているという非常に苦しい状況ではあるんですが、改めて分散化ということを図っていく必要があると思いますし、また、この需給が変動した際とか緊急時に対応しやすい、LNGというのは契約形態が比較的柔軟性のない契約が非常に多いんですが、その中でも柔軟性のある契約を確保していく、こういうことが求められると思っています。

その他二点でございますが、一つはエネルギー安全保障コストの覚悟でございます。

やはり、今申し上げてきたことというのは基本的にはコストが掛かること、これをどこまでこのコストとして許容するのか、これは非常に重要だと思います。こういう危機が起きた際に、それでも国民生活を維持できる、このコストと安全保障のバランスをどのように考えていくか、これは国民的議論が求められると感じております。

最後、中長期的なエネルギー補助金の在り方や方向性というところでございます。

現在、経済や国民生活への急激な悪影響を鑑みて、への対策としてエネルギー補助金が拠出されていると理解をしておりますけれども、仮にこれ長期化するということになってくると、これ一律的な価格抑制から、ある程度省エネ、節ガス、需要抑制、こちらに促していく、このような転換が必要になるのではないかと感じております。

私からは以上でございます。

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