泉房穂 (立憲民主党)

2026年7月17日・第221回国会 参議院 本会議 第30号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 33 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 50 発言)

立憲民主・無所属の泉房穂です。

会派を代表し、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。

なぜ反対なのか。それは、政府案が冤罪の被害者を確実に救済できる内容になっていないからです。迅速な救済ができる内容にもなっていません。私たち立法府が責任を果たしたと言えるような内容にもなっていないからです。どういうことですか。

まずは、確実な救済に関してです。

今回の立法趣旨は冤罪の被害者らの確実な救済とされていますが、冤罪の被害者の多くが、今の政府案では冤罪の被害者が救われないと言っているんです。

袴田事件の巖さんのお姉さんのひで子さんは、衆議院の法務委員会、参考人として出席して、こう言われました。今の政府案では、巖も助からず、処刑されていた。驚くべき話です。冤罪の被害者らが、まさにこれでは駄目だと言っているんです。

さらに、福井事件の前川彰司さんも、再審法はただ改まればいいのではない、今まさに苦しんでいる人が救われてなんぼですと言っています。

日野町事件の阪原弘次さんも、満足のいかない状態で法案を法制化すると、今冤罪を闘っている方々に利益のある結果にならないとまで言っています。

さらには、東住吉事件の青木惠子さんにおいては、政府案では、獄中で無実を訴えて闘う仲間は今以上に苦しむことになると言っているんです。

開かずの扉と言われるまさにその扉を開けるのではなく、扉に鍵を閉めるような法案を通してどうするんですか。

この冤罪事件を考えるには、なぜ冤罪が起こったかを考えるのが重要。証拠の捏造が関わっています。最近の再審無罪事件、袴田事件も福井事件も日野町事件も、全部証拠の捏造が原因です。偶然に発生するんじゃないんです。捜査機関が真犯人でない者を犯人と思い込み、あえて証拠を捏造するなどして、その捏造証拠が裁判所に提出され、それが有力証拠となって、まさに冤罪が発生しているんです。

では、なぜその冤罪が救われるのか。それは、後になってその冤罪が分かるような、無罪につながる証拠が後から出てきたからです。でも、それは初めから捜査機関が手元に持っていた証拠なんです。まさに、この無罪につながる、捜査官が手元に持っている証拠が出てくるか否かが生命線。そのために必要なのは、幅広い証拠の開示です。

この点、政府案でも証拠提出命令という制度を新設し、検察官に提出義務を課しています。しかし、あくまでも再審請求理由と関連する証拠という極めて限られた、狭い狭い狭い、そういった範囲に限られてしまっています。これでは出てきません。それが最大の問題。だからこそ、冤罪の被害者がこれでは救われない、むしろ改悪だと言っておられるんです。

さらに、政府案には大きな問題があります。証拠の目的外使用の全面禁止です。こんな規定、今はありません。

この再審法の改正、七十八年ぶりと言われますが、七十八年間なくて何も問題起こってないんです。立法事実すら存在しません。にもかかわらず、いきなり全面禁止。確かに、犯罪の被害者や関係者のプライバシーへの配慮は当然必要です。でも、それは個別に対応すれば両立可能なバランス図れるテーマなんです。このまさに全面禁止も改悪以外の何物でもありません。

そして、もう一つ重要なのは、迅速な救済になっていないことです。救済にまで掛かった時間、袴田事件五十八年、福井事件三十八年、日野町事件四十一年。どうしてこんなに掛かってしまったのか、理由は簡単です。捜査機関が証拠を出さなかったからです。再審開始決定が出たのに、それに対して検察官が抗告をして引き延ばしを図ったからです。検察官の責任です。

まさに、この証拠が出てくるまでに掛かった年数、袴田事件で四十四年、福井事件で三十六年、日野町事件で二十四年。もっと早く証拠が出ていれば、もっと早く救済された話です。迅速な救済には、まさにこの幅広い証拠開示が早くなされることが重要。しかし、今の政府案ではこれが義務化されておらず、迅速な救済にはなりません。

そしてもう一つ、検察官の抗告による引き延ばし。これも、抗告によって、袴田事件で九年、福井事件で十四年、日野町事件で七年も引き延ばしが図られました。この点、ほかの国、例えばドイツやフランスなどでは、抗告は全面禁止されています。日本でも同じように全面禁止し、争いがあるのであれば、検察官はその後、再審公判で争えばいいだけのことです。

この点、閣議決定前に修正がなされ、抗告には十分な根拠が必要とされましたが、検察は、これまでも十分な根拠を持って抗告してきたと説明してきており、現状の追認にすぎません。検察官抗告を全面禁止にしていないことも、政府案に反対する大きな理由となっています。

さて、皆さん、改めて問いたい。私たちは何ですか。国会議員です。立法府の一員です。立法府は、しっかりと冤罪被害者を救済することは可能なんです。

この点、袴田ひで子さんの言葉を紹介させていただきます。神様が作った法律ではありません。人間が作った法律なんです。その法律を作るのは国会議員。私たちを助けていただくのは国会議員しかいません。冤罪被害者の多くが、私たち国会議員、立法府に対して助けを求めているんです。

改めて言います。冤罪の原因をつくってきたのは、まさに捜査当局、検察、法務省です。その法務省や検察の方に、まさにその軍門に下るのか、そうではなく、冤罪の被害者らに寄り添うのか、それが今問われているんです。

この点、確かに国会議員の多くが超党派の議員連盟を設定し、昨年六月にその議員立法が提出されています。それを通せばよかったんですよ。何も難しい話でない。実際に法案もできている。

その法案は、今回、年明けての衆議院解散で一旦廃案となりましたが、その後、改めて今国会に提出されました。衆議院で否決、同じほぼ内容の修正案を参議院で昨日、法務委員会で提出いたしましたが、可決には至っておりません。どういうことなんですか。みんなで作った法律でしょう。超党派議員連盟のみんなでこれが必要といって作った法律案じゃないですか。

改めて、ポイント三つ言います。

確実な救済には幅広い証拠開示が必要です。議員立法案ではこれをしっかり明記しています。政府案にはありません。

二つ目、証拠の目的外使用の全面禁止、こんなもの必要ありません。議員連盟案にはそんなものありません。政府案はこれをあえて規定しています。

そして三つ目、迅速な救済には検察官抗告の全面禁止が必要です。議員立法、まさに超党派の議連案ではこれはしっかりと規定しています。政府案はまさに十分な根拠のある理由を付けていますが、実態としてはほぼ変わりません。これでは、確実な救済、迅速な救済にはつながらないんです。

まさに、私たち国会議員の仕事は、法務省、検察の言うとおりに従うことではなく、政府案に問題があれば、それを是正し、修正していくことが私たちにできることであり、求められていることです。

まさに、今もなお冤罪に苦しむ方々が獄中におられます。そういった方々が私たち国会議員一人一人にまさに助けを求めているんです。その声に耳を傾けて、今からでも遅くはない。この後、採決になります。諦めてはいません。私たち国会議員が諦めるということは、冤罪の被害者を救えなくなるということなんです。冤罪の被害者が存在し、まさにそれを救う必要がある以上、私たち国会議員は諦めてはいけない。法務省や検察の軍門に下ることなく、しっかりと立法府の一員として役割を果たしたい、私はそういう思いです。このテーマは与野党対決のテーマじゃないんです。被害者を救うかどうかです。

さらにもう一つ、重要なポイント。今回のテーマは、冤罪の被害者を救うというテーマですが、そもそも冤罪そのものをなくす必要があります。冤罪の被害者をなくすには、まさにそういった法律も必要です。

是非、皆さん、これが終わりではありません。改めてしっかりと被害者に寄り添うことをお誓い申し上げ、この討論を終わります。共に頑張りましょう。(拍手)

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