刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
罪を犯していない人が処罰されることはあってはならず、仮に犯人でない人を有罪とする確定裁判があれば、速やかに救済されなければなりません。再審制度は、そのための非常救済手続であり、重要な意義を有するものです。
しかし、近時、一部の再審無罪事件において、再審の請求から再審無罪判決の確定までに相当な長期間を要し、再審請求者等に大きな負担を生じる事態となっています。
そして、こうした事態の原因に関し、捜査機関が保管する裁判所不提出記録の提出までに多くの時間を要しているといった指摘や、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てにより再審の手続が長期化しているといった指摘がなされているほか、刑事訴訟法上、再審請求審の手続に関する規定が少なく、裁判所の裁量に委ねられている部分が多いことなどを理由に、再審請求者等の手続保障が十分でないといった指摘がなされています。
こうした事態や様々な指摘は、従来の再審制度やその運用の在り方に大きな反省を迫るものであり、これを真摯に受け止めた上で、再審制度の趣旨に立ち返りつつ、反省、改善すべき点について速やかに手当てを講ずる必要があります。
そこで、この法律案は、こうしたことを踏まえ、再審請求者等の手続保障の充実や再審請求審の手続の円滑化、迅速化を図りつつ、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
第一は、再審請求審における証拠の提出命令に関する規定の整備であります。すなわち、審判開始の決定をした裁判所は、一定要件の下で、検察官に対し、再審請求の理由に関連すると認められる証拠の提出を命じなければならないこととするとともに、再審の請求の手続において謄写された検察官提出証拠の複製等の適正管理及び目的外使用の禁止に関する規定を整備する等の措置を講ずるものであります。
第二は、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てに関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定等に対しては、当該決定等が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、即時抗告等をすることができることとするとともに、政府は、再審開始の決定等があったときは、遅滞なく、その旨並びに検察官が当該決定等に対する即時抗告等をしたかどうか及び当該即時抗告等をした場合におけるその理由を公表することとするものであります。
第三は、再審の手続における裁判官の除斥に関する規定の整備であります。すなわち、通常審における判決等に関与した裁判官を一定の範囲で再審の請求の手続及び再審公判から除斥するとともに、再審の請求についての決定に関与した裁判官を一定の範囲で再審公判から除斥することとするものであります。
第四は、再審請求審において審理を要する事件を選別するための調査手続及び審理を要すると判断される事件についての審判手続に関する規定等の整備であります。
すなわち、再審の請求を受けた裁判所は、遅滞なく、その請求について調査しなければならないこととし、当該裁判所は、調査の結果に基づいて、審判開始の決定又は再審開始の決定若しくは再審の請求を棄却する決定をしなければならないこととするとともに、再審請求者等は、審判開始の決定をした裁判所に対し、事実の取調べを請求することができることとし、当該裁判所は、審理終結日及び決定日を定めた上、それらの日を再審請求者等に通知しなければならないこととするほか、再審の請求に係る一定の決定に対する即時抗告等の提起期間を延長する等の措置を講ずるものであります。
第五は、再審請求審に要した費用の補償に関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定が確定した事件について、無罪の判決が確定したときは、一定の範囲で、その再審の請求の手続に要した費用の補償をすることとするものであります。
このほか、近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、再審開始の決定等に対する不服申立てについて、その係属する裁判所の決定が事件の受理日から一年以内にされるよう努めなければならないこととすることを含め、所要の規定の整備を行うこととしております。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において、一部修正が行われております。
その内容は、第一に、附則において、政府によりこの法律の施行後五年ごとに行われる検討の対象として、再審の請求の手続における証拠の目的外使用の禁止に関する制度及び検察官が保管する証拠の一覧表に関する制度を例示することとするものであります。
第二に、附則において、近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、従来行われてきた再審の請求の手続における運用上の措置としての裁判所による検察官に対する勧告であって任意での証拠の提出又は開示に係るもの及び検察官による任意での証拠の提出又は開示は、事案に応じ、適切に行うこととするものであります。
以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────
0会会議録情報政府参考人など
令和八年六月十九日(金曜日)
午前十時一分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十三号
令和八年六月十九日
午前十時開議
第一 日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
第二 日本国の自衛隊とオランダ王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
第三 日本国の自衛隊とニュージーランド国防軍との間における物品又…
この発言のページ
1
関口昌一議長
これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言のページ
2
関口昌一議長
御異議ないと認めます。平口洋法務大臣。
〔国務大臣平口洋君登壇、拍手〕
この発言のページ
- (上の発言)
3
平口洋(自民)法務大臣
刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
罪を犯していない人が処罰されることはあってはならず、仮に犯人でない人を有罪とする確定裁判があれば、速やかに救済されなければなりません。再審制度は、そのための非常救済手続であり、重要な意義を有するものです。
しかし、近時、一部の再審無罪事件において、再審の請求から再審無罪判決の確定までに相当な長期間を要し、再審請求者等に大きな負担を生じる事態となっています。
そして、こうした事態の原因に関し、捜査機関が保管する裁判所不提出記録の提出までに多くの時間を要しているといった指摘や、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てにより再審の手続が長期化しているといった指摘がなされているほか、刑事訴訟法上、再審請求審の手続に関する規定が少なく、裁判所の裁量に委ねられている部分が多いことなどを理由に、再審請求者等の手続保障が十分でないといった指摘がなされています。
こうした事態や様々な指摘は、従来の再審制度やその運用の在り方に大きな反省を迫るものであり、これを真摯に受け止めた上で、再審制度の趣旨に立ち返りつつ、反省、改善すべき点について速やかに手当てを講ずる必要があります。
そこで、この法律案は、こうしたことを踏まえ、再審請求者等の手続保障の充実や再審請求審の手続の円滑化、迅速化を図りつつ、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
第一は、再審請求審における証拠の提出命令に関する規定の整備であります。すなわち、審判開始の決定をした裁判所は、一定要件の下で、検察官に対し、再審請求の理由に関連すると認められる証拠の提出を命じなければならないこととするとともに、再審の請求の手続において謄写された検察官提出証拠の複製等の適正管理及び目的外使用の禁止に関する規定を整備する等の措置を講ずるものであります。
第二は、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てに関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定等に対しては、当該決定等が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、即時抗告等をすることができることとするとともに、政府は、再審開始の決定等があったときは、遅滞なく、その旨並びに検察官が当該決定等に対する即時抗告等をしたかどうか及び当該即時抗告等をした場合におけるその理由を公表することとするものであります。
第三は、再審の手続における裁判官の除斥に関する規定の整備であります。すなわち、通常審における判決等に関与した裁判官を一定の範囲で再審の請求の手続及び再審公判から除斥するとともに、再審の請求についての決定に関与した裁判官を一定の範囲で再審公判から除斥することとするものであります。
第四は、再審請求審において審理を要する事件を選別するための調査手続及び審理を要すると判断される事件についての審判手続に関する規定等の整備であります。
すなわち、再審の請求を受けた裁判所は、遅滞なく、その請求について調査しなければならないこととし、当該裁判所は、調査の結果に基づいて、審判開始の決定又は再審開始の決定若しくは再審の請求を棄却する決定をしなければならないこととするとともに、再審請求者等は、審判開始の決定をした裁判所に対し、事実の取調べを請求することができることとし、当該裁判所は、審理終結日及び決定日を定めた上、それらの日を再審請求者等に通知しなければならないこととするほか、再審の請求に係る一定の決定に対する即時抗告等の提起期間を延長する等の措置を講ずるものであります。
第五は、再審請求審に要した費用の補償に関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定が確定した事件について、無罪の判決が確定したときは、一定の範囲で、その再審の請求の手続に要した費用の補償をすることとするものであります。
このほか、近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、再審開始の決定等に対する不服申立てについて、その係属する裁判所の決定が事件の受理日から一年以内にされるよう努めなければならないこととすることを含め、所要の規定の整備を行うこととしております。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において、一部修正が行われております。
その内容は、第一に、附則において、政府によりこの法律の施行後五年ごとに行われる検討の対象として、再審の請求の手続における証拠の目的外使用の禁止に関する制度及び検察官が保管する証拠の一覧表に関する制度を例示することとするものであります。
第二に、附則において、近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、従来行われてきた再審の請求の手続における運用上の措置としての裁判所による検察官に対する勧告であって任意での証拠の提出又は開示に係るもの及び検察官による任意での証拠の提出又は開示は、事案に応じ、適切に行うこととするものであります。
以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────
4
関口昌一議長
ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。こやり隆史君。
〔こやり隆史君登壇、拍手〕
この発言のページ
5ここやり隆史(自民)
自由民主党のこやり隆史です。
会派を代表し、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
まず、高市総理、G7からの御帰国、お疲れさまでした。総理が示されたリーダーシップに心から敬意を表します。
さて、刑事訴訟法の現行再審規定は、戦後の一九四八年、昭和二十三年に公布されましたが、その後、再審手続に関する規定は一度も改正をされず、今日まで、一部の運用改善は図られてきたものの、裁判所や検察の裁量に依存する属人的な運用が続いてまいりました。再審手続の長期化や再審請求者の過大な負担といった問題の背景には、長期にわたり放置されてきた規定の乏しさ…
この発言のページ
6
高市早苗(自民)内閣総理大臣
こやり隆史議員の御質問にお答えいたします。
再審制度の現状の受け止めと制度改革に向けた決意についてお尋ねがございました。
再審制度については、御指摘のとおり、近時、再審無罪判決の確定までに長期間を要し、当事者の皆様に大きな負担を生じる事態となった事件があることなどを真摯に受け止めております。その上で、私自身、そうした事態が二度と起きないようにしなければならないという非常に強い思いを持って制度の見直しに取り組んでまいりました。
本法律案は、誤判からの確実な救済と手続の円滑、迅速化を図るものであって、間違いなく再審制度を大きく前進させるものであると考え…
この発言のページ