梅村みずほ (参政党)

2026年5月27日・第221回国会 参議院 本会議 第16号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 18 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 42 発言)

参政党の梅村みずほです。

私は、会派を代表し、ただいま議題となりました経済安全保障推進法及び国際協力銀行法改正案について質問いたします。

十九世紀初頭、かのナポレオン・ボナパルトは、清王朝を眠れる獅子と称し、こう警鐘を鳴らしたと言われています。彼らを眠らせておけ、目覚めれば世界を震撼させるだろう。

二十一世紀の現在、世界の力学は大きく変化しました。膨大な人口、市場、資源、そして世界中から吸収した技術力を背景に、中国は今や、経済力、産業力、軍事力の全てにおいて、世界秩序に大きな影響を及ぼす存在となっています。

必然的に生じる大国アメリカとの摩擦、半導体競争、サイバー攻撃、新型コロナウイルスによる世界的混乱、長期化するウクライナ情勢、エネルギー供給に打撃を与えるイラン紛争、トランプ政権に象徴されるディール外交や経済的威圧、そしてグローバルサウスの台頭。

また、関税や規制という障壁を取り払い、各国が得意分野を生かし合うことで世界全体を豊かにするという理想を掲げた自由貿易も、今日では、一部の多国籍企業や投資家など僅か限られた人々に富を集中させ、中産階級以下の一般国民が貧困化にあえぐなど、グローバリズムの弊害を各国にもたらしています。

我が国がさらされるリスクや攻撃がかつてないほど複雑で広範、多層で巧妙なものとなる中、安全保障としての技術と国家基盤としてのサプライチェーン、そして戦略資産としてのデータをどのように守り抜くかは、国家として重要な課題です。

経済安全保障を推進する本法の果たす役割は今後ますます重要であり、いかなる状況下にあれども、我が国の社会機能を維持し、国民生活と経済発展を支えるものとすべく、以下、お伺いいたします。

四年前の経済安保推進法成立が制度の骨格をつくった第一段階だとすれば、今回の改正は機能拡張の第二段階とも言えるでしょう。高市政権が目指す我が国の経済安全保障法制について、現時点でどの程度の完成度にあると認識しておられるのでしょうか。

また、今後なお脆弱性が残り、優先的に強化すべき分野はどこにあると考えておられるのか、小野田紀美経済安全保障担当大臣に、その強化に向けた今後の法整備の方向性と併せてお尋ねいたします。

今回、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保として、特定社会基盤事業に医療分野が追加されました。

医療DXは、国民の命、健康、個人情報、医療提供体制を支えるまさにライフラインであり、今後、基幹インフラに位置付けられることで、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋、オンライン資格確認、診療報酬審査、クラウド、運用保守、委託先、再委託先に至るまで、外国の政府、法制、資本とどう関わるのかが問われるとともに、医療機関には、サイバーセキュリティー対策の強化やシステム管理体制の整備、各種報告や点検対応、さらには新たな設備導入などが求められることになります。

本法において一たび基幹インフラ事業者と指定されたら、民間事業者は、望むと望まざるとにかかわらず、事務的負担や設備導入コストを強いられ、現場が圧迫される可能性があります。こうした場合に人的、財政的支援をどのように講じていくのか、経済安保担当大臣のお考えを伺います。

次に、水道事業に外国資本が入ることへの問題意識を問います。

水道は、国民の健康と生命を維持し、公衆衛生の根幹を成すものであり、代替が利きません。加えて、経済産業活動にも不可欠な基幹インフラであり、既に本法の特定社会基盤事業の一つとされています。

近年、日本でもコンセッション型、ウォーターPPP、包括委託などの形で実質の水道民営化が進んでいますが、欧州各地で水道民営化が利用料金上昇や水質低下を招いたことを見れば、その負の側面も直視すべきであり、特に外国資本に運営を任せること自体がリスクであると考えるべきではないでしょうか。国土交通大臣の御見解をお聞かせください。

経済安保推進法改正案では、特定重要技術の研究開発に関する調査研究を一定の能力を有する機関に委託すると規定されていましたが、今回、その条文、第六十四条が削除されます。まさに当該の役割を担う機関として今年度中に重要技術戦略研究所が設立されようとする中、その根拠条文を削除してまで、独立行政法人経済産業研究所、RIETIを新たにシンクタンクとして条文上位置付けることに違和感を感じます。

これは省庁間の役割分担なのか、それともリスク分散なのか、政府の考えを伺います。

小野田大臣は衆議院本会議で、両者の強みを生かし連携していくと答弁されていますが、こうした体制の必要性はどこで議論されてきたのでしょうか。

政府内には国家安全保障局も存在します。多層化による縦割りを防ぐため、司令塔機能をどこが担うのかという点も含め、経済安保担当大臣、お答えください。

AIとサイバー安全保障についても伺います。

アメリカ・アンソロピック社が開発した未公開AI、クロード・ミュトスは、人々が数十年見過ごしてきたシステム上のバグを瞬時に発見、悪用できるほどの解析能力を示し、片山さつき財務大臣が今そこにある危機として金融トップたちを招集し、会合を開くほどの脅威となっています。

同社は、既に大手テック企業等と連携し、防衛的運用のための共同体、プロジェクト・グラスウイングを発足させましたが、日本政府としても、AI新技術が人間の能力をもはるかに凌駕するシンギュラリティーの時代を見越した組織づくり、あるいは、重要インフラやオープンソースの安全性確保の観点から、官民連携で自動制御するプロジェクトが必要であると考えます。サイバー安全保障担当大臣、いかがでしょうか。

さて、AIの脅威のみならず、生身の人間による情報漏えいについても伺います。

経済安全保障の観点からは、先端技術や安全保障関連分野における在留資格、高度専門職人材の受入れについても、審査の在り方や情報管理体制の強化について更なる検討が必要と考えます。

また、二〇二四年五月一日現在三十三万六千人と急増する留学生についても、日本の宝と喜んでいる場合ではありません。少子化による大学経営環境の変化も背景に、安全保障上センシティブな研究分野を有する大学においても受入れが拡大しています。

軍民融合戦略を推進する国も存在する中、特に国立大学においては受入れ数の拡大に歯止めを掛けるべきではないでしょうか。大学ごとの留学生比率抑制、研究分野ごとのリスク評価、研究情報管理体制厳格化について、文部科学大臣のお考えをお聞かせください。

特に、高度学術研究活動や高度専門・技術活動に従事する大学教授、技術者、研究者等が多く集まる大学や研究機関、宇宙・航空分野など安全保障上重要な研究現場において、情報漏えいリスクを抑制するための環境整備をどのように進めていくのか、併せてお伺いいたします。

霞が関で働く人々の長時間労働が問題となる中、政府は、国会審議の答弁作成などに活用できるガバメントAI「源内」の大規模実証事業を全府省庁およそ十八万人の政府職員を対象に今月からスタートしました。広義にはバーティカルAIに含めることもできるでしょう。まずは隗より始めよ。導入を支持します。

時間が掛かっていた過去の答弁探しを安全に素早く行えることが大きなメリットの一つだということですが、そろそろ開始から一か月、官僚の皆様の業務効率化にどの程度貢献しているのでしょうか。また、本日の本会議質疑の答弁書作りにはどの程度使用されたのでしょうか。定量的にお答えください。

さらに、AIを使うことで答弁が従来以上に紋切り型になることがないようお願いしたいところですが、いかがでしょうか。デジタル担当大臣にお尋ねいたします。

最後に、ナポレオンが失脚したワーテルローの戦いからほぼ二百年後、習近平国家主席は、パリで行われた中国、フランスの国交五十周年記念の講演で、獅子は既に目覚めていると述べ、しかし、この獅子は温和で親しみの持てる文明的なライオンだと付け加えたといいます。

我々日本は永遠に獅子の隣人であります。加えて、今日の日本は、地政学だけではない、サイバー領域、宇宙空間を含むあらゆるリスクに常にさらされています。AIの進展はとどまることを知らず、使い方を誤れば、人類に繁栄のみならず破滅をももたらし得る知能の核エネルギーとなるでしょう。

それでも私たちは、経済安保の主体は物でも制度でもなく人であると考えます。自分の国を自分たちが守っていく、一人一人が日本、私がこの社会を支えているとの認識を全ての国民と共有すること、そして、そのための情報リテラシー教育を提供していくことは最大の防御です。

日本の国益を守る情報管理教育に対する政府の認識を文部科学大臣に問い、私の質問を終了いたします。

ありがとうございました。(拍手)

〔国務大臣小野田紀美君登壇、拍手〕

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