上山泰新潟大学法学部教授

2026年6月11日・第221回国会 参議院 法務委員会 第14号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 94 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 110 発言)

御質問どうもありがとうございます。

委員御指摘のように、私は、今回の現民法八百五十八条の本人意思尊重義務を改正することを通じて、ある一定の範囲において補助人に対して意思決定支援義務が法律上課されたものと解釈する余地があるのではないかというふうに受け止めています。そうであるならば、もう単純に意思決定支援しなさいというふうに法文に書き込むというやり方ももしかしたらあるのかもしれませんが、現段階において、そもそも意思決定支援というものを法的に定義するとなるとどのようなものであるのかということ、意見の一致をなかなか見ることが難しいという側面があります。

そこで、具体的に、少なくとも意思決定支援というその心構えで御本人と向き合う場合に、必要最低限、補助人はどんな行動を取らなければいけないのかというのを具体化したのが、まさに今回の改正法案であるというふうに受け止めています。

一方で、現在、既に後見実務のガイドラインというものが、これは最高裁判所も関与する形で作られておりまして、その中に、委員御指摘のように、チーム支援を行わなければいけないと。

これは、やっぱり支援者と支援を受けられる側が一対一で向き合って閉じた関係になってしまうと、逆に共依存の状態になったり、いろいろと難しい問題も生じてくることになります。それから、御本人の意向を受け止めるといっても、御本人が発しているものを本当に補助人が単独できちんと受け止めることができるかというと、人一人の個人の判断では難しい側面があろうかと思います。

そこで、立場を異にする法律の関係者であったり社会福祉の関係者であり、あるいは、もちろん親御さんとかの御家族であったりという、それぞれの立場のお持ちの方が御本人とチームで向き合うことによって、自分の、その支援する側の価値観を押し付けずに、丁寧に御本人の意向を確認していく、そうしたことが、一つは補助人の義務としても、法律的な義務としても望まれていくことになるのだろうというふうに感じてはおります。

これ、善管注意義務のある意味の具体化ですので、まさに義務違反になるかどうかというのは、ケース・バイ・ケースで残念ながら判断せざるを得ない。しかし、実務のデフォルトが、実務のスタンダードがそうした方向に変化していけば、当然、裁判所としても、そうした行動を取っていなければ、これは法的な善管注意義務として御本人に対する損害賠償責任を負うのだという判断をするようになるかと思いますので、これも実務の運用を通じてそうした方向に持っていく、それが望ましいのではないかというふうに感じております。

以上です。

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