大坪恵太一般社団法人日本難病・疾病団体協議会事務局長

2026年4月16日・第221回国会 参議院 厚生労働委員会 第4号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 13 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 124 発言)

ただいま御紹介に賜りました一般社団法人日本難病・疾病団体協議会で事務局長をしております大坪恵太と申します。

本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。

高市首相並びに関係閣僚を始めとする政府関係者の皆様、与野党国会議員の皆様におかれましては、この間の安定供給の確保に向けて、国会におきましても質問等にて取り上げていただき、また対策本部を設置いただくなどの迅速なお取組をいただいておりますことに重ねてお礼を申し上げまして、意見陳述に入らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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私ども日本難病・疾病団体協議会は、難病や長期慢性疾患、小児慢性疾患の患者会及び各都道府県を中心とした地域で活動する地域難病連、合計百五団体、延べ十七万人で構成をされております全国組織となります。私自身は難病や慢性疾患の患者当事者ではございませんが、専従職員として協議会の活動に携わっている立場として本日は意見を述べさせていただきます。

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この中東情勢に伴う医療用資材等の安定供給に関しましての私どものこれまでの取組でございますが、四月一日付けで厚生労働省、経済産業省に対しまして、私ども日本難病・疾病団体協議会、全国がん患者団体連合会、日本癌治療学会など五団体が連名で要望書を発出しまして、仁木厚生労働副大臣に直接お受取をいただきました。なお、提出後の四月七日には東京都医師会からも御賛同をいただいておりますので、併せて申し添えます。

要望書提出の背景といたしましては、これまでもお話ございましたけれども、現在の中東情勢に伴う国内のエネルギー供給体制の不安定化により原油及びナフサの調達に影響を及ぼし始めており、この結果、国内ではエチレンの減産という事態に至っていることから、国民生活全般に影響が及ぶ可能性がある中で、医療現場全体にも影響が及ぶ可能性が懸念をされております。

御承知のとおり、医療分野ではナフサ由来のプラスチック製品が数多く使われており、石油化学製品を原材料とする医療用資材の供給不足が生じた場合、具体的には、手術用資材、注射器、カテーテル、輸液バッグ、透析回路などのディスポーザブル製品の不足が生じ、命に関わる重篤な疾病の医療提供体制に直ちに大きな影響が出る可能性がございます。また、LNG、液化天然ガス精製の副産物として生産されるヘリウムの供給に不足が生じた場合、強力な磁場を維持するために液体ヘリウムで冷却し続ける必要があるMRI装置の稼働に支障が生じる可能性も指摘されております。

冒頭にも申し上げましたが、既に厚生労働省と経済産業省におきまして対策本部を設置いただき、供給体制の調査や代替調達の検討など様々な施策が実施されていることにつきましては、心より感謝を申し上げたいと思います。

一方で、過去のパンデミックや医薬品供給不安などの教訓に照らせば、実際に医療現場で資材が枯渇してから対策を講じたのでは、国民の生命を守る医療提供体制の維持には間に合わなくなる可能性がございます。また、原材料制約という構造的要因を踏まえますと、医療用資材等の供給が将来的に逼迫あるいは一部で欠品が生じる可能性も否定できない状況になっております。

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このように医療用資材等の供給に不足が生じた場合、難病やがんを始めとする命に関わる重篤な疾病の医療提供体制に直ちに大きな影響を与える可能性が危惧されることから、次の五点につきまして改めて要望させていただきます。

一点目は、医療用資材等の供給体制に関する現状把握と実態調査の実施についてでございます。ナフサやエチレンの減産の影響を受ける石油化学製品を原材料とする医療資材について、供給体制に関する現状把握と実態調査を速やかに実施し、その結果の公表をお願いいたします。

二点目は、医療用資材等の確保に向けた枠組みの構築についてでございます。医療用資材については、国民の生命を守る医療提供体制の維持に直結する重要な物資と位置付け、必要な原材料を確保するための枠組みの構築の検討をお願いいたします。

三点目は、医療現場と国民への情報提供についてです。今後、医療用資材等の供給が不足する可能性が生じた場合には、その供給見込みについてあらかじめ公開し、医療機関が必要な対策を講じることを可能とするとともに、品目別の供給見通し、代替製品の可否、優先配分の考え方などについて医療機関と国民に対して具体的かつ十分な情報提供を行い、社会的な理解を得るよう努めていただくようお願いいたします。

四点目は、医療資源の適正使用及び配分に関する指針の検討についてです。供給制約下においては、医療資源の適正配分の観点から、不要不急の医療の見直し、医療資材の適正使用、医療機関間における公平な資源配分等について、基本的な考え方を整理し、医療機関に示していただくようお願いいたします。

最後、五点目でございます。供給不安時における流通の適正化についてでございます。供給不安時における過剰な在庫確保や流通のゆがみを防止する観点から、必要以上の買占めや転売等を抑制するための指針について検討をお願いいたします。

以上五点が、私ども日本難病・疾病団体協議会、全国がん患者団体連合会、日本癌治療学会など五団体からの要望となります。

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続いて、難病患者が懸念をしております以下の三点についてお話をさせていただきます。

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まず一点目、難病への対応についてですが、こちらは厚生労働省が定める難病の定義となっております。発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な疾病であって長期の療養を必要とするもの、つまり、根治療法がないため長期にわたって継続した治療が必要になる病気が難病となります。そのため、たとえ現在は体調が安定している難病患者さんであっても、それは継続して治療やケアが受けられていることによるもので、一時的な供給不足によりその前提が崩れれば、不可逆的な悪化につながる可能性があることをまず大前提として御理解をいただきたく存じます。

資料をおめくりいただきまして、七ページ目を御覧ください。

その上で、特に治療やケアの途切れが命に関わってしまう疾患として、一部にはなりますが、幾つかの具体例を挙げさせていただきます。

まず、腎疾患により透析を受けられている患者さんになります。透析患者さんは国内に三十三万人ほどおられ、週に複数回の透析を受けておられますが、冒頭にも申し上げましたとおり、使用する透析回路やダイアライザーなどは使い捨てとなっており、再利用ができません。

続いて、免疫異常により血糖値を抑えるインスリンが体内で分泌されない1型糖尿病の患者さんになります。インスリンを補うために一日に複数回の自己注射や血糖測定が必要となりますが、いずれもナフサ由来のプラスチック製品となっておりまして、当然のことながら注射器は使い回しができないため、再利用ができません。

最後に、ALSなどの進行性の神経難病の患者さんや医療的ケアを受けられているお子さんなどで、人工呼吸器の装着や胃瘻による経管栄養が必要な患者さんになります。呼吸器回路など人工呼吸器に使用されるパーツは複雑な形状のプラスチック製品の塊でして、経管栄養に使用する栄養ボトルや接続チューブなども同様にプラスチック製品となります。いずれも、感染防止の観点から使い捨てが推奨されているこれらの医療用資材を再利用することで、肺炎や食中毒などのリスクが高まることにもつながる可能性がございます。

こちらに記載した例はあくまで一例となりますが、このように治療やケアの途切れが命の切れ目につながってしまう患者さんへの影響を特に危惧をしております。

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続いて、二点目になりますが、特に難病の中でも患者数が五万人以下の疾患は希少疾患と定義付けられておりまして、中には国内で数十名から数百名と患者数が非常に少ない疾患もございます。

そのような希少疾患の中には、特定の医療材料や機器に依存しているケースがございまして、代替品がない可能性が高いことや、使用者が少ないため市場規模も小さく、供給調整時に優先順位が下がる危険性があることを危惧しております。

先ほど人工呼吸器を使用されている方の例を挙げさせていただきましたが、例えば、お子さんで使用されている方は、カニューレやチューブなど部品のサイズも小さくなりますので、元々生産数が少なく、減産の影響を真っ先に受けやすい傾向があると感じております。

このように、利用者が少数であっても、必要な患者さんへしっかりと届く仕組みを早急に構築をしていただきたく存じます。

資料をおめくりいただきまして、九ページ目を御覧ください。

最後に、三点目になりますけれども、難病は疾患によって在宅医療を受けられておられる患者さんが一定数いらっしゃいます。

一点目でも触れましたが、進行性の神経難病の患者さんや医療的ケアが必要なお子さんで、家庭において二十四時間三百六十五日継続して医療やケアが必要な方も少なくありません。このような患者にとって、医療用資材等は単なる物ではなく体の一部となっており、その供給が止まってしまうことは患者さんの命が止まってしまうことにもつながりかねません。

先ほど人工呼吸器の装着や経管栄養が必要な患者さんの例をお話をさせていただきましたが、それぞれの使用されるパーツはもちろんのこと、栄養剤などについても、容器となるソフトバッグが作れなくなることで、中身はあっても製品として出荷できない、出荷できても数量が限られてしまう状況となることを大変危惧をしております。

在宅医療であっても、必要な患者さんにはしっかりと届く仕組みを早急に構築をしていただきたく存じます。

現在、私どもも、加盟団体などを通じて現状把握に努めておりますが、様々な情報が錯綜している状況です。今回の要望書にも記載しておりますとおり、引き続き実態調査等を通じて早急に現状把握に努めていただくとともに、安定供給の枠組みの構築と医療現場や国民への確かな情報提供など、必要な施策を更に推し進めていただくようお願い申し上げまして、私からの意見陳述とさせていただきます。

御清聴いただきまして、ありがとうございました。

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