片山大介 (日本維新の会)

2026年6月24日・第221回国会 参議院 憲法審査会 第6号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 10 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 21 発言)

日本維新の会の片山大介です。

緊急集会を中心とした緊急事態対応について、今国会で二度にわたって行われた参考人質疑も踏まえ、我が党の考え方を述べます。

我が党の考えは、緊急集会は参議院の権能として重要であり、その必要性が否定されるものではありません。しかし、参考人質疑でのやり取りなどを通じて、改めて、緊急集会には長期にわたる場合を想定していない期間と緊急的に必要な議案には対応できない権能などに課題があって、緊急事態条項の必要性を感じます。

以下、整理していきたいと思います。

まず、言うまでもなく、大規模な災害はいつどこで起こるか分かりません。また、我が国を取り巻く安全保障上の環境は日々変化しています。それにもかかわらず、現行憲法の規定では、大規模な災害やテロが発生した場合、国会機能が維持できるとは限りません。

例えば、首都直下地震では、被害想定は死者数が一万八千人、建物の全焼や焼失が四十万棟、それに被害額がおよそ八十三兆円と、被害額だけ取っても東日本大震災の十七兆円をはるかに上回ります。このような甚大な被害が首都圏において発生し、被害が長期にわたる場合の影響は大きく、国政選挙が重なれば、選挙の適正な実施に至るまで相当な期間を要することが想定されます。去年、憲法審査会の参考人質疑で災害時の選挙制度を取り上げた際、東日本大震災のときの地方選挙で、災害の発生から選挙の実施まで八か月以上要していたことが示されました。

こうした長期の緊急事態の際、二院制の例外である参議院の緊急集会はどうなのかというと、衆議院議員が不在となる期間として想定されているのは、解散から選挙までの四十日プラス特別国会が開かれるまでの三十日の合わせて七十日程度と見るのが普通です。厳密に七十日以内でないと駄目かと言われれば、そうではないかもしれませんが、それでも、先ほど話した八か月、二百四十日間もの長期にわたるケースなどで、参議院が単独で国会機能を担うことが認められると解釈するには無理があると思います。そして、このような解釈を続ければ、緊急事態が長引いた際、内閣の恣意的な運用を許容することにもなりかねません。そう考えると、緊急集会で想定されているのは、あくまでも国政選挙を通常どおりに行える程度の状況、つまり近いうちに国会が開会されることを前提にしていると考えるべきです。

前回の参考人質疑の際、長谷部、只野両参考人は、そうした長期にわたる緊急事態が果たしてあるのか、例外的で蓋然性は高くないのではと述べられましたが、それでも国会としては万が一の事態を想定しておくべきです。

また、衆議院議員の任期満了時の緊急集会の可否や緊急集会の期間などの見解が分かれる点について、憲法改正をしないで、今の条項でそのときそのときの解釈に応じて状況や問題を解決するという趣旨の意見もありました。でも、それだと国会の機能維持という統治の根幹に対する法的安定性を欠くことになると思います。

そして、第二の限界は緊急集会の権能です。

緊急集会を求める請求権は、憲法第五十四条第二項で内閣のみに認められています。そして、緊急集会を求めるには、国会法第九十九条第一項において、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して参議院議長に請求しなければなりません。その上で、第百一条には、緊急集会において、議員は、先ほどの第九十九条第一項の規定により示された案件に関連あるものに限り、議案を発議することができるとされています。

要は、緊急集会で取り扱える案件は、内閣があらかじめ示した緊急の必要がある案件とそれに関連するものに限られ、包括的に対応することは想定されていません。そうなると、長期にわたる緊急事態の場合、当初想定していた案件のみを議論するだけでは足りなくなることも容易に想像が付きます。

再び東日本大震災を例に挙げると、発災の二〇一一年三月から八月において講じられた措置は、復興の基本的な枠組みに関するものなど三十二本の法律と、二度にわたる補正予算でした。これが緊急集会の場合だったらどうでしょう。東日本大震災のときと同じように、多様な法律や補正予算を成立させることは本当にできるのでしょうか。特に、参議院のみで本予算を成立させることは、緊急集会が二院制の例外であるという観点からすると疑問を感じます。それでも可能だというのであれば、それはいわゆるスーパー緊急集会になり、こちらも、憲法改正を行わずに解釈や法整備のみでそこまでの運用を認めるのは難しいと思います。

このほか、緊急事態で衆議院選挙が実施困難な中、参議院選挙も一年以内など近い時期に予定されていた場合は、状況によっては参議院議員も半数しか存在しなくなることもあり得ます。衆参合わせて七百人を超える定数の中、参議院議員が百二十四名しか存在していない。ちなみに、この数は東京都議会の定数百二十七名とほぼ変わりませんが、これで緊急時を乗り切る国のかじ取りには不十分だと言わざるを得ません。

また、前回の参考人質疑で、選挙困難事態において、まずは衆議院の定足数が三分の一で最低限充足される状態で衆参の対応ができればよいのではないかという意見もありました。でも、そのような定足数ぎりぎりの状態と、任期延長で衆参がきちんと機能した状態のどちらで難事を乗り越えていくかを比べたとき、後者の方が立憲主義と国民主権にかなうと思います。

また、議員任期の延長について、国民の基本権たる選挙権を奪う、あるいは現在の民意を反映していないため、民主的正統性がなく、認めるべきではないといった指摘もあります。しかし、憲法であらかじめ緊急事態における議員任期延長を規定しておけば、有権者は、国政選挙において、緊急時には任期を延長した上で国難を乗り切るための国民の代表を選ぶと認識して投票を行うことになるので、その前提で選ばれた国会議員の任期が延長されることに対して民主的な正統性も保たれると思います。

ここまで申し上げてきた点を踏まえれば、いかなる緊急事態にあったとしても、国会の機能や二院制の大原則をしっかり維持し、恣意的な権力の統制を図り、加えて、選挙が実施不可能なことによって国会議員が不在となる事態を避けるには、やはり緊急事態条項が必要だと思います。

衆議院の憲法審査会では、緊急事態条項の創設をめぐり、衆議院の法制局が策定した緊急事態の条文イメージ案を基に議論が行われています。参議院においても緊急事態条項の導入に向けた討議が進むことを希望し、我が党の考え方とさせていただきます。

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