公明党の谷合正明です。
会派を代表して意見表明いたします。
本日のテーマは、緊急集会を中心とした緊急事態対応についてであります。
緊急事態時に国会議員の任期延長を認めるべきか議論がありますが、これは議会制民主主義の根幹に関わり、また参議院の緊急集会が本院の基本的かつ重要な権能であることを踏まえる必要があります。緊急事態においても国会機能を維持していくことは重要です。これを前提に、大枠の考えを三点申し上げます。
第一に、民主的正統性の確保には何よりも選挙を行うことが大事であるということ、第二に、任期延長に頼るのではなく、憲法が予定する参議院の緊急集会を最大限活用することが大事であるということ、第三に、仮に例外的な任期延長を認めるにしても、内閣への民主的統制を強化する方向で議論を進めなければならないということであります。この三つの基本線に立ち、以下具体的に申し上げます。
緊急事態における国会機能の維持のために取り組むべきは、極力選挙を実施できる強靱な体制整備と公平かつ公正な選挙の実施です。したがって、平時からいかなる事態においても極力選挙を実施するとの基本姿勢を貫き、予定どおり選挙ができない場合も繰延べ投票を活用し、可及的速やかに選挙を実施するよう努めることが大前提です。
東日本大震災では、国政選挙そのものは時期と重なりませんでしたが、仮に重なっていたとしても、直ちに国会の定足数を満たせなくなる事態を想定させるものではありませんでした。また、コロナ禍においても選挙は実施されました。これまで我が国が経験した最大級の危機を踏まえても、任期延長を必要とする立法事実が十分示されたとは言えない以上、まず優先すべきは任期延長ではなく、選挙を実施できる体制整備であります。
次に、選挙が困難な事態が起きた場合にどうするのかについて申し上げます。
本憲法審査会で只野参考人も指摘されたとおり、現行憲法は不備を抱えているわけではなく、緊急時においても国会機能を維持し、権力統制を働かせる仕組みを内在しています。その対応策こそが参議院の緊急集会です。
憲法制定時の金森徳次郎国務大臣は緊急集会の趣旨を、政府一存において行う処置は極力防止しなければならない、予測すべからざる事態に対し暫定措置をとり得る方途を規定したと説明しています。議員任期を延長するのではなく、まずは緊急集会で対応することが憲法の予定する原則的な姿であると考えます。
緊急集会における主な三つの論点について見解を述べます。
第一に、任期満了時への類推適用の可否です。
衆議院が存在しない点では解散時と同じであり、任期満了時にも類推適用されるとする学説が大勢を占めており、あえて憲法を改正してまで明文化する必要はありません。
第二に、緊急集会の期間です。
緊急集会は、衆議院の解散から総選挙を経て次の特別会が召集されるまでの間と解されますが、七十日間に限定されるものではないと考えます。長谷部参考人が、憲法五十四条が定める日数は政府の居座りを許さないための数字であり、機能の時間的な限定を狙いとしたものではない、七十日を過ぎると途端に議決能力が低下すると考える理由はないと明言されたとおりです。期間経過後の総選挙が直ちに違憲無効になるわけではないとも指摘されています。したがって、七十日限界説に立ち、緊急集会には限界があるからこそ改憲による任期延長が必要だとする考え方には反対いたします。
第三に、緊急集会の権能についてです。
国会の代行機関として、法律の制定や予算の議決など、広く国会の機能に及ぶべきと考えます。一方、内閣不信任決議と憲法改正発議は対象外と考えます。
例外的な任期延長について、長谷部参考人から、国会の議決によって延長が可能だという制度にすると、止めどなく任期が延長するリスクがあるとの指摘がありました。暫定的な制度である緊急集会の方が正規の二院制に早く戻そうとする復元力が働くからで、極力早く選挙を実施して正規の二院制に戻すことが重要です。
次に、衆議院のイメージ案で示された選挙困難事態について申し上げます。
対応策を尽くしても対処できない極限の状況が国政選挙の時期に重なるのはあくまで例外的なものとの前提を置く必要があります。仮に改憲して任期延長などを認める場合は、むしろ民主的正統性を強化する仕組みが不可欠です。
公明党として、二点問題提起いたします。
一つ目は、参院の自律開催権です。
平時の臨時会には召集要求権がありますが、参議院の緊急集会は内閣が求めなければ開かれず、議員側から開催を要求する権利はありません。これでは、衆院不在時に内閣が緊急集会を求めなかった場合、行政監視の空白が生じる懸念があります。只野参考人が示唆されたとおり、事前の法律によって内閣に緊急集会を開かざるを得なくする仕組みを整備することが重要です。
その上で申し上げます。衆議院で示されたイメージ案では、選挙困難事態においては国会の閉会を禁じる規定を想定しています。仮に憲法を改正してまで議員任期の延長を図ろうというのであれば、それと同時に、緊急集会においても議員側からの要求で開催できる自律開催権を位置付け、内閣に対する民主的統制を強化することこそ検討すべきではないでしょうか。自発的開催ができない現行制度に対し不合理だとの批判は、立法論として成り立ち得るとの憲法学者の見解もあります。
二つ目は、身分復活の認定プロセスです。
衆議院のイメージ案では、選挙困難事態の認定に両院の事前承認を諮るとされていますが、そのときの衆議院は、天皇陛下の国事行為という厳粛な解散により身分を失った前議員が議決することになります。この身分復活について、長谷部参考人は、失職した議員を選挙を経ずにまた衆議院議員とするのは異常な制度設計だと厳しく批判されています。
前議員が選挙困難事態、すなわち自らの身分復活を議決することには民主的正統性に疑義があると考えます。果たして国民の理解が得られるのでしょうか。例外的に身分を復活させるのであれば、身分を失った前議員ではなく、現に民主的正統性を有する参議院が緊急集会において身分復活を議決する役割を担うべきではないかと考えます。
これら二つの問題提起を今後深く議論していくべきです。
さらに、平時における国会機能についても申し上げます。
緊急時の国会機能維持を論ずる以上、平時における解散権の制約や、憲法五十三条に基づく臨時国会召集時期の明確化などについても併せて議論を深める必要があると指摘しておきます。
次に、緊急政令、緊急財政処分について見解を述べます。
緊急事態における国会機能維持の本質は、政府に緊急立法権を与えることの是非ではなく、緊急時にも国民主権を担う国会機能をいかに維持するかにあります。長谷部参考人も、内閣のみの判断による緊急政令は日本の在り方自体を根本からゆがめるリスクがあると警告されています。
現行憲法の国会中心立法の原則には、戦前の経験を踏まえ、たとえ緊急事態であっても、国民の権利義務に関わる根本的な判断は国会が担うべきとの考え方があります。緊急時に行政権を強化するほど、国会による財政統制や行政監視は重要になります。必要な事項は個別法に基づく政令委任で対応でき、緊急財政処分も予備費で対応可能です。権力集中が生じやすい緊急時こそ、国会による統制と監視を確保しなければなりません。そのために参議院の緊急集会を置いた憲法の思想を軽視すべきではありません。
最後に、参議院の選挙制度についても触れます。
特定の県に負担を強いる現行の合区は確実に解消すべきです。しかし、参議院に県単位の地域代表の性格を固定する改憲には慎重にならざるを得ません。緊急集会が機能するのは、参議院が憲法上、全国民の代表であり、民主的正統性を有する院だからです。安易に院の性格を変えれば、緊急集会の権限にも影響が及びます。改憲による合区解消の議論は緊急集会の在り方とセットで考えねばならず、切り離しての議論はできないと指摘いたします。
結びに、これまで衆議院が先行して緊急事態条項の議論を進め、具体的なイメージ案も示される中、各会派から多様な見解が示されています。一方で、参議院においては、本院の存在意義とも深く関わる緊急集会について議論を重ねてまいりました。両院が互いの議論を尊重し合うことは重要です。しかし、憲法の議論はスケジュールありきで進めるべきではありません。
緊急事態において問われるのは、いかに権力を強めるかではなく、いかに民主的正統性と国会による統制を維持するかであります。その要となる緊急集会について、参議院として更に議論を深めていくべきことを訴え、公明党の意見表明といたします。
5
長浜博行(立憲)
川合孝典君。
この発言のページ
6
川合孝典(国民)
国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
緊急集会を中心とした緊急事態対応について、国民民主党の考え方を申し述べます。
緊急集会と緊急事態対応のすみ分けについて、国民民主党は、平時の緊急集会と有事の議員任期の延長、この二段構えで整理すべきと考えております。衆議院の解散中に起きた突発的な事態に対しては、現行どおり参議院の緊急集会で暫定対応を行うこととし、七十日間以上にわたり、又は任期満了時に選挙が実施できないような有事の際には、憲法を改正して、衆議院、参議院両院の国会議員任期を特例延長し、二院制の国会を正常に機能させ続けることを想定しております。
非常事…
この発言のページ
7
長浜博行(立憲)
谷合正明君。
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- (上の発言)
8
谷合正明(公明)
公明党の谷合正明です。
会派を代表して意見表明いたします。
本日のテーマは、緊急集会を中心とした緊急事態対応についてであります。
緊急事態時に国会議員の任期延長を認めるべきか議論がありますが、これは議会制民主主義の根幹に関わり、また参議院の緊急集会が本院の基本的かつ重要な権能であることを踏まえる必要があります。緊急事態においても国会機能を維持していくことは重要です。これを前提に、大枠の考えを三点申し上げます。
第一に、民主的正統性の確保には何よりも選挙を行うことが大事であるということ、第二に、任期延長に頼るのではなく、憲法が予定する参議院の緊急集会を最大限活用することが大事であるということ、第三に、仮に例外的な任期延長を認めるにしても、内閣への民主的統制を強化する方向で議論を進めなければならないということであります。この三つの基本線に立ち、以下具体的に申し上げます。
緊急事態における国会機能の維持のために取り組むべきは、極力選挙を実施できる強靱な体制整備と公平かつ公正な選挙の実施です。したがって、平時からいかなる事態においても極力選挙を実施するとの基本姿勢を貫き、予定どおり選挙ができない場合も繰延べ投票を活用し、可及的速やかに選挙を実施するよう努めることが大前提です。
東日本大震災では、国政選挙そのものは時期と重なりませんでしたが、仮に重なっていたとしても、直ちに国会の定足数を満たせなくなる事態を想定させるものではありませんでした。また、コロナ禍においても選挙は実施されました。これまで我が国が経験した最大級の危機を踏まえても、任期延長を必要とする立法事実が十分示されたとは言えない以上、まず優先すべきは任期延長ではなく、選挙を実施できる体制整備であります。
次に、選挙が困難な事態が起きた場合にどうするのかについて申し上げます。
本憲法審査会で只野参考人も指摘されたとおり、現行憲法は不備を抱えているわけではなく、緊急時においても国会機能を維持し、権力統制を働かせる仕組みを内在しています。その対応策こそが参議院の緊急集会です。
憲法制定時の金森徳次郎国務大臣は緊急集会の趣旨を、政府一存において行う処置は極力防止しなければならない、予測すべからざる事態に対し暫定措置をとり得る方途を規定したと説明しています。議員任期を延長するのではなく、まずは緊急集会で対応することが憲法の予定する原則的な姿であると考えます。
緊急集会における主な三つの論点について見解を述べます。
第一に、任期満了時への類推適用の可否です。
衆議院が存在しない点では解散時と同じであり、任期満了時にも類推適用されるとする学説が大勢を占めており、あえて憲法を改正してまで明文化する必要はありません。
第二に、緊急集会の期間です。
緊急集会は、衆議院の解散から総選挙を経て次の特別会が召集されるまでの間と解されますが、七十日間に限定されるものではないと考えます。長谷部参考人が、憲法五十四条が定める日数は政府の居座りを許さないための数字であり、機能の時間的な限定を狙いとしたものではない、七十日を過ぎると途端に議決能力が低下すると考える理由はないと明言されたとおりです。期間経過後の総選挙が直ちに違憲無効になるわけではないとも指摘されています。したがって、七十日限界説に立ち、緊急集会には限界があるからこそ改憲による任期延長が必要だとする考え方には反対いたします。
第三に、緊急集会の権能についてです。
国会の代行機関として、法律の制定や予算の議決など、広く国会の機能に及ぶべきと考えます。一方、内閣不信任決議と憲法改正発議は対象外と考えます。
例外的な任期延長について、長谷部参考人から、国会の議決によって延長が可能だという制度にすると、止めどなく任期が延長するリスクがあるとの指摘がありました。暫定的な制度である緊急集会の方が正規の二院制に早く戻そうとする復元力が働くからで、極力早く選挙を実施して正規の二院制に戻すことが重要です。
次に、衆議院のイメージ案で示された選挙困難事態について申し上げます。
対応策を尽くしても対処できない極限の状況が国政選挙の時期に重なるのはあくまで例外的なものとの前提を置く必要があります。仮に改憲して任期延長などを認める場合は、むしろ民主的正統性を強化する仕組みが不可欠です。
公明党として、二点問題提起いたします。
一つ目は、参院の自律開催権です。
平時の臨時会には召集要求権がありますが、参議院の緊急集会は内閣が求めなければ開かれず、議員側から開催を要求する権利はありません。これでは、衆院不在時に内閣が緊急集会を求めなかった場合、行政監視の空白が生じる懸念があります。只野参考人が示唆されたとおり、事前の法律によって内閣に緊急集会を開かざるを得なくする仕組みを整備することが重要です。
その上で申し上げます。衆議院で示されたイメージ案では、選挙困難事態においては国会の閉会を禁じる規定を想定しています。仮に憲法を改正してまで議員任期の延長を図ろうというのであれば、それと同時に、緊急集会においても議員側からの要求で開催できる自律開催権を位置付け、内閣に対する民主的統制を強化することこそ検討すべきではないでしょうか。自発的開催ができない現行制度に対し不合理だとの批判は、立法論として成り立ち得るとの憲法学者の見解もあります。
二つ目は、身分復活の認定プロセスです。
衆議院のイメージ案では、選挙困難事態の認定に両院の事前承認を諮るとされていますが、そのときの衆議院は、天皇陛下の国事行為という厳粛な解散により身分を失った前議員が議決することになります。この身分復活について、長谷部参考人は、失職した議員を選挙を経ずにまた衆議院議員とするのは異常な制度設計だと厳しく批判されています。
前議員が選挙困難事態、すなわち自らの身分復活を議決することには民主的正統性に疑義があると考えます。果たして国民の理解が得られるのでしょうか。例外的に身分を復活させるのであれば、身分を失った前議員ではなく、現に民主的正統性を有する参議院が緊急集会において身分復活を議決する役割を担うべきではないかと考えます。
これら二つの問題提起を今後深く議論していくべきです。
さらに、平時における国会機能についても申し上げます。
緊急時の国会機能維持を論ずる以上、平時における解散権の制約や、憲法五十三条に基づく臨時国会召集時期の明確化などについても併せて議論を深める必要があると指摘しておきます。
次に、緊急政令、緊急財政処分について見解を述べます。
緊急事態における国会機能維持の本質は、政府に緊急立法権を与えることの是非ではなく、緊急時にも国民主権を担う国会機能をいかに維持するかにあります。長谷部参考人も、内閣のみの判断による緊急政令は日本の在り方自体を根本からゆがめるリスクがあると警告されています。
現行憲法の国会中心立法の原則には、戦前の経験を踏まえ、たとえ緊急事態であっても、国民の権利義務に関わる根本的な判断は国会が担うべきとの考え方があります。緊急時に行政権を強化するほど、国会による財政統制や行政監視は重要になります。必要な事項は個別法に基づく政令委任で対応でき、緊急財政処分も予備費で対応可能です。権力集中が生じやすい緊急時こそ、国会による統制と監視を確保しなければなりません。そのために参議院の緊急集会を置いた憲法の思想を軽視すべきではありません。
最後に、参議院の選挙制度についても触れます。
特定の県に負担を強いる現行の合区は確実に解消すべきです。しかし、参議院に県単位の地域代表の性格を固定する改憲には慎重にならざるを得ません。緊急集会が機能するのは、参議院が憲法上、全国民の代表であり、民主的正統性を有する院だからです。安易に院の性格を変えれば、緊急集会の権限にも影響が及びます。改憲による合区解消の議論は緊急集会の在り方とセットで考えねばならず、切り離しての議論はできないと指摘いたします。
結びに、これまで衆議院が先行して緊急事態条項の議論を進め、具体的なイメージ案も示される中、各会派から多様な見解が示されています。一方で、参議院においては、本院の存在意義とも深く関わる緊急集会について議論を重ねてまいりました。両院が互いの議論を尊重し合うことは重要です。しかし、憲法の議論はスケジュールありきで進めるべきではありません。
緊急事態において問われるのは、いかに権力を強めるかではなく、いかに民主的正統性と国会による統制を維持するかであります。その要となる緊急集会について、参議院として更に議論を深めていくべきことを訴え、公明党の意見表明といたします。
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長浜博行(立憲)
片山大介君。
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片山大介(維新)
日本維新の会の片山大介です。
緊急集会を中心とした緊急事態対応について、今国会で二度にわたって行われた参考人質疑も踏まえ、我が党の考え方を述べます。
我が党の考えは、緊急集会は参議院の権能として重要であり、その必要性が否定されるものではありません。しかし、参考人質疑でのやり取りなどを通じて、改めて、緊急集会には長期にわたる場合を想定していない期間と緊急的に必要な議案には対応できない権能などに課題があって、緊急事態条項の必要性を感じます。
以下、整理していきたいと思います。
まず、言うまでもなく、大規模な災害はいつどこで起こるか分かりません。また、…
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長浜博行(立憲)
塩入清香君。
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