若井敦子 (自由民主党)

2026年6月10日・第221回国会 参議院 憲法審査会 第5号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 82 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 121 発言)

自由民主党の若井敦子でございます。私からもお伺いをさせていただきます。

憲法五十四条一項は、解散から四十日以内に総選挙、選挙から三十日以内に国会召集と規定されており、文言上はこの日数を厳格に区切っているように見えるわけでございます。しかしながら、先ほど来からの議論を伺っておりますと、この四十日、三十日という日数は、時の内閣が何かと理由を付けて選挙をいつまでも先延ばしにして民意を反映した国会を開かないというこの権力の濫用を防ぐためであるという考え方があるということを改めて認識をさせていただきました。

本日のこの審査会に挑むに当たりまして、過去の衆参の憲法に関する議事録などを調べさせていただきました。その中には、この五十四条一項の日数をめぐる様々な意見があるということが分かりました。また、法は不可能を強いるものではないという法格言が示す超法規的措置をめぐる議論も幾つかそこの中には見られたわけでございます。過去のこの発言の中には、憲法の規定がなくても、やむを得ない場合には超法規的措置に頼ればいいという考え方に懸念を示している発言もその中にはございました。

例えば、平成十五年の参議院憲法調査会で参考人として御出席をいただきました駒澤大学法学部教授の西修先生は、こう述べられておられました。日本公法学会で、かなり古い時期に、既に立命館大学の教授だった大西芳雄先生が次のように言っておられます。憲法にも法律にも非常事態に対する何らの措置をも予定しない国は、一見、立憲主義に忠実であるかのように見えて、実はその反対物に転落する危険性を含むものと言ってよいだろう、このような発言がございました。

そして、西修先生が引用された大西芳雄教授ですが、昭和五十年に出された「憲法の基礎理論」の中で、次のように述べられておられます。それが、空白状態のまま放置すれば、政府は必要は法を破るということわざを利用し、不必要に権力を濫用しないとも限らないし、むしろ憲法に緊急権の発動の条件を厳密に規定し、かつその非常措置の効力をも限定し、かつ責任追及の方法も明記しておく方が立憲的であるというものでございました。これらの言葉は、緊急事態条項を考える上で、私は極めて含蓄のあるものと受け止めております。

そこで、先ほど来から長谷部参考人、只野参考人は、わざわざ憲法を改正して明文化しなくてもこの解釈で十分対応できるとのお考えであるということを理解いたしましたけれども、東京大学のケネス・盛・マッケルウェイン教授は、著書の中で、緊急事態条項を明記している憲法は、一九五〇年頃の六割程度から二〇二〇年時点で九割以上になっていることを示されておられます。

このように、世界において緊急事態条項を備える憲法が増加している背景につきまして、長谷部参考人、只野参考人はそれぞれどのようにお考えなのか、お伺いをさせていただきます。

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