森田朗東京大学名誉教授/一般社団法人次世代基盤政策研究所代表理事

2026年5月14日・第221回国会 衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 第7号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 100 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 107 発言)

お答えいたします。

入口規制から出口規制といいますのは、医療関係の情報で私が主張しているところでございますけれども、一般的な問題といたしまして、今回のデータの利用について、デジタル行政推進法の方になりますけれども、少なくとも、AIにせよ、そのほかの目的にせよ、なるべくサンプルが、十分なサンプルで、バイアスのないような形でたくさんのサンプルが使えるようにする、それがデータの持っている価値を引き出す最大の要因ではないかと思っております。

それが、入口でもってデータを出す、出さないとやりますと、そもそもデータが集まりませんので、それはある意味で保護になるのかもしれませんけれども、我々の社会が持っている大きな資源というものの、ある意味でいいますと使い方としていかがなものかということになっております。

ただし、これはケース・バイ・ケースといいますか、いろいろな分野によって情報の在り方、管理の仕方というのが違っているものですから、そこをよく踏まえた上で制度化を進めていくというのが必要ではないかと思います。

今回のデジタル行政推進法も個人情報保護法もそうですけれども、あくまでも一般法です。個人情報保護法の統計の話にもなりますけれども、少なくとも同意なしでも使えるような可能性をベースとして置いたということで、やはりここはどうしても同意が必要だという分野があれば、それについては、そうした形での規制といいましょうか制限を、これは国民の権利義務に関わることですから、できればきちっとした法律の形で制定していくことが重要ではないかと思っておりますし、私の最初の図でお示ししましたように、ヨーロッパの場合には、ああいう基本的な横串法といいましょうか、分野横断的な法制度をきちっとつくった上で、個別分野について特徴あるそれぞれの法律を作っております。

一例を紹介いたしますと、医療情報といいますのはやはりかなり特殊なものだと思います。多くの情報もそうですけれども、医療の場合には、我々は、受診したときに感じることでお分かりになると思いますけれども、たくさん自分自身の体の状態についてのデータがあればあるほど、いい治療が受けられるということになります。

我が国の場合には、それが機微性の高い要配慮保護情報であるので、なるべく使わせないように、見せないように、そういうのが保護、それが権利というふうに考えられていますけれども、ヨーロッパのEHDSを読んだ場合には、むしろ、それよりも、よりよい治療を受けるために自分のデータを使わせる権利、あるいは自分でそのデータを確認する権利、そういうある意味で真逆の方向の位置づけになっているかと思っております。

といいますのは、医療の場合には、自分の治療に使う一次利用と、研究とか開発とか創薬に使います二次利用とございますけれども、一次利用というのは完全に顕名のデータになります。匿名とか仮名化したのでは困るので。私の健康状態、医療、病歴については、過去のものも含めてですけれども、全部私につながってこないと駄目で、ほかの方のデータが入っても困りますし、欠落してもいい治療を受けられないわけです。そういう意味では、顕名の、ある意味ですと非常に危ないデータを扱うのが医療の世界ということになります。

しかし、それをすることによっていい診療を受けることができますし、あるお薬が効いているかとか、この病気にはどういう治療法がいいのか、その知識自体はそういう患者さんの情報を大量に集めて分析することによってその情報が得られるということになります。

そこでは誰かということは必要ではないんですけれども、ある人についての健康情報が全部きちっと集められないとその成果は得られないということになります。そういう意味でいいますと、医療分野に関して言いますと、ちょっと長くなりましたけれども、違う原則というものを当てはめていかないと、多分、GDPRあるいは個人情報保護法そのままではなかなか難しいだろうと思います。

そして、当然のことですけれども、一次利用のデータをそのまま二次利用に使えますし、二次利用で発見された結果を、例えば、あるお薬を使っている人は非常にリスクがあるとか、ある治療法が効果があるというときに、特定された方にその治療法を紹介するとか知らせるというのも、ある意味でいいますと御本人の医療の質を高めることになる。その意味でいいますと、一次利用、二次利用、顕名データと、ある意味で選別不可能にしたデータというものの常にやり取りというものをしなければいけない。

それを外に漏れないような形でどうやっていくのか。そこでヨーロッパはそれなりに工夫をしているところだと思いますし、我が国におきましても、長くなりましたけれども、基本的にはそうした形でのデータが利用できる、今までは入口規制でできなかったのができるようになったというところが今回の制度改正、法改正で、私は評価できるところだと思っております。

二番目の御質問に関しましてもかなり答えてしまったのかなという気もいたしますけれども、よろしいでしょうか。具体的にもう少し。(武藤(か)委員「お話しされて、大丈夫です」と呼ぶ)

前後のやりとり

96の発言を見る

104の発言を見る