平林晃議員の御質問にお答えします。
まず、議員立法の再提出に至った認識と思いについてお尋ねがありました。
令和五年三月に袴田事件の再審開始が決定されたことを受け、冤罪被害者の適切かつ迅速な救済が急務であるとの思いから、超党派による、えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟が設立され、その場において、関係者からのヒアリングや議員間での真摯な議論を積み重ね、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止し、再審請求審における証拠開示を幅広く認める内容の法律案を策定しました。
その法律案は、議員連盟の主要メンバーが所属する自民党において党内手続を進めることができなかったため、昨年の通常国会で、立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組、日本共産党、参政党の野党五会派で共同提出したところでありますが、審議されることなく、高市総理による衆議院解散のため廃案となってしまいました。
その一方で、この議員連盟の法律案策定の取組をきっかけに、政府においては、法制審議会に対し再審法改正に関する諮問がなされ、その答申を踏まえ、また自民党内での議論も踏まえ、今般、政府案が提出されたものと承知しています。
しかし、その政府案は、再審開始決定に対する検察官の不服申立てができる余地を残していること、証拠開示の範囲が現行の実務運用よりも後退するおそれがあること、証拠の目的外使用について一律禁止とした上で罰則を設けていることなど、問題点が多くあり、これをこのまま成立させてしまったら、冤罪被害者の適正かつ迅速な救済は遠のくと言わざるを得ません。
そこで、冤罪被害者の救済に資する真の再審法改正を実現させるために、昨年提出した法律案を一部修正した上で、今国会に再び提出しました。
次に、検察官の不服申立ての禁止についてお尋ねがありました。
現行法上、裁判所の再審開始決定に対しては検察官が不服申立てを行うことができるとされています。そして、法制審の議論においては、検察官は十分に慎重な検討をした上で不服申立てをしているとの御発言もあったと承知しています。
しかし、実際には、裁判所の再審開始決定に対する検察官の不服申立てが一般化し、再審手続が長期化する主たる原因になっている場合があることは、大きな問題として指摘されなければなりません。
例えば袴田事件では、静岡地裁で再審開始決定がされてから検察官の即時抗告を経て確定に至るまで約九年の、また、日野町事件では、大津地裁で再審開始決定がされてから検察官の即時抗告及び特別抗告を経て確定に至るまで約七年半の、それぞれ長い年月を要しており、これが冤罪被害者に多大な労苦と負担をかけたことは想像に難くありません。
このような現状を踏まえれば、冤罪被害者の迅速な救済を図るためにも、裁判所の再審開始決定に対する検察官の不服申立てを例外なく禁止する必要があると考えました。
検察官の不服申立てを禁止することについては、法制審の議論の中でも様々御指摘や御批判があったと承知していますが、第一に、再審請求審において検察官が公益の代表者として追求すべき公益というのは無辜の救済であり、検察官にはこれに資する形での関与が求められ、第二に、検察官が再審開始決定に不服があるとしても、再審公判の中で主張すれば足りるのであり、確定判決の法的安定性を著しく損なうことにはならず、第三に、再審請求審は、通常審と異なり、再審請求人の請求に理由があるか否かを裁判所が主体となって審理する二面構造になっており、検察官は当事者としての地位を有していないため、通常審における上訴制度と必ずしも整合性を取る必要はないといったことを踏まえれば、十分に合理性あるものとして説明可能であると考えます。
次に、開示される証拠の範囲及び裁判所の職権による証拠開示制度の在り方、あわせて、送致書類等目録を開示命令の対象とする理由についてお尋ねがありました。
冤罪被害者の救済のためには、再審請求審における証拠の開示、特に、通常審の段階から存在していたものの裁判所には提出されなかった無罪方向の証拠の開示が極めて重要な役割を果たすものであることは、近年相次ぐ再審無罪事件を見ても明らかであると思います。
そこで、本法律案では、適切かつ迅速な証拠開示を実現するため、まず、再審請求人側に証拠開示の請求権を認めることとしています。その対象となる証拠の範囲について、再審の請求の理由に関連すると認められるとの条件を付しているところですが、これは、再審請求審が再審の請求の理由の有無を裁判所が判断する手続であることを踏まえ、およそ関連しない証拠について除外する趣旨であり、再審請求理由に直接間接に関連すると認められる証拠であれば、広くその対象とし得るものであると考えております。
また、その証拠開示請求の対象は、検察官等が保管する証拠だけに限られず、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される証拠物や書類の目録である送致書類等目録にも及ぶこととしています。これは、再審請求人側が再審請求理由について的確に主張を組み立てるためには、開示を求める証拠がその全体像においてどのような位置づけと重大性を有しているかを適切に把握することが重要であると考えたからです。
なお、この趣旨をより徹底させる観点から、本法案の附則で、捜査段階における証拠物や書類の目録の作成及び保存の在り方や、再審請求準備段階における送致書類等目録の開示の在り方について、検討条項を設けております。
さらに、本法律案では、裁判所の職権による証拠開示制度を設けています。そして、その対象となる証拠の範囲については、再審の請求の理由に関連すると認められるとの条件は付していません。これは、裁判所が必要と考える証拠を幅広く開示させたことが再審無罪につながった事件も少なくないことから、このような実務運用を制度化して、冤罪被害者の適正かつ迅速な救済につなげていく必要があると考えたからです。
次に、検察による意図的な証拠隠しを防ぐための措置についてのお尋ねがありました。
本法律案では、証拠開示請求の対象に、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される書類や証拠物の目録も含むこととしています。これが開示されることによって、再審請求人側は、仮に検察官が証拠隠しをするようなことがあれば、その目録と照らし合わせることができるようになると考えられます。
ただし、その目録は、警察から検察官へ送致されなかった書類や証拠物は当然記録されてはいないので、全てをカバーするものではありません。
そこで、本法律案では、附則第二条において、政府に対し、この法律の施行後三年を目途として、捜査段階における書類及び証拠物の目録の作成及び保存の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるよう求めています。この検討を経て、適切な目録の作成及び保存が実現することとなれば、検察官による証拠隠しはできなくなるものと考えます。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
―――――――――――――
49平平林晃(中道)
中道改革連合・無所属の平林晃です。
会派を代表して、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案、いわゆる再審法改正案の閣法並びに衆法第九号の両案について質問をいたします。(拍手)
冒頭、一言申し上げます。
党首討論でも、昨日の会見でも、高市総理は、ナフサの総量は足りている、目詰まりの解消に政府を挙げて取り組むとおっしゃいました。しかし、世論調査では、政府の説明に納得できないが六割を超え、現場には深刻な不安が渦巻いています。業界ごとに必要な成分のナフサが本当に届いているのか、調達価格の高騰はいつ落ち着くのか、中小零細企業の資金繰りはもつ…
この発言のページ
50
高市早苗(自民)内閣総理大臣
平林晃議員の御質問にお答えいたします。
刑事司法に対する現状認識と再審制度の改正に向けた決意についてお尋ねがございました。
近時、一部の事件において、捜査機関の活動が適正に行われていないのではないかといった厳しい指摘がなされていることは承知しております。
捜査機関の不適正な活動は、刑事司法に対する国民の皆様の信頼を揺るがすものでございますので、あってはならないことであります。
再審制度の見直しにつきましては、私自身、非常に強い思いを持って取り組んでまいりました。
本法律案は、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようなものにするために、…
この発言のページ
51
平口洋(自民)法務大臣
平林晃議員にお答え申し上げます。
まず、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについてお尋ねがありました。
御指摘のように再審開始決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止することは、三審制の下で確定した有罪判決について、一回限りの判断で常にやり直すこととなり、裁判の紛争解決機能が損なわれるなどの問題があり、相当でないと考えています。
これを踏まえ、本法律案においては、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止し、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限って不服申立てをすることができることとしています。
…
この発言のページ
- (上の発言)
52
西村智奈美(中道)
平林晃議員の御質問にお答えします。
まず、議員立法の再提出に至った認識と思いについてお尋ねがありました。
令和五年三月に袴田事件の再審開始が決定されたことを受け、冤罪被害者の適切かつ迅速な救済が急務であるとの思いから、超党派による、えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟が設立され、その場において、関係者からのヒアリングや議員間での真摯な議論を積み重ね、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止し、再審請求審における証拠開示を幅広く認める内容の法律案を策定しました。
その法律案は、議員連盟の主要メンバーが所属する自民党において党内手続を進めることができなかったため、昨年の通常国会で、立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組、日本共産党、参政党の野党五会派で共同提出したところでありますが、審議されることなく、高市総理による衆議院解散のため廃案となってしまいました。
その一方で、この議員連盟の法律案策定の取組をきっかけに、政府においては、法制審議会に対し再審法改正に関する諮問がなされ、その答申を踏まえ、また自民党内での議論も踏まえ、今般、政府案が提出されたものと承知しています。
しかし、その政府案は、再審開始決定に対する検察官の不服申立てができる余地を残していること、証拠開示の範囲が現行の実務運用よりも後退するおそれがあること、証拠の目的外使用について一律禁止とした上で罰則を設けていることなど、問題点が多くあり、これをこのまま成立させてしまったら、冤罪被害者の適正かつ迅速な救済は遠のくと言わざるを得ません。
そこで、冤罪被害者の救済に資する真の再審法改正を実現させるために、昨年提出した法律案を一部修正した上で、今国会に再び提出しました。
次に、検察官の不服申立ての禁止についてお尋ねがありました。
現行法上、裁判所の再審開始決定に対しては検察官が不服申立てを行うことができるとされています。そして、法制審の議論においては、検察官は十分に慎重な検討をした上で不服申立てをしているとの御発言もあったと承知しています。
しかし、実際には、裁判所の再審開始決定に対する検察官の不服申立てが一般化し、再審手続が長期化する主たる原因になっている場合があることは、大きな問題として指摘されなければなりません。
例えば袴田事件では、静岡地裁で再審開始決定がされてから検察官の即時抗告を経て確定に至るまで約九年の、また、日野町事件では、大津地裁で再審開始決定がされてから検察官の即時抗告及び特別抗告を経て確定に至るまで約七年半の、それぞれ長い年月を要しており、これが冤罪被害者に多大な労苦と負担をかけたことは想像に難くありません。
このような現状を踏まえれば、冤罪被害者の迅速な救済を図るためにも、裁判所の再審開始決定に対する検察官の不服申立てを例外なく禁止する必要があると考えました。
検察官の不服申立てを禁止することについては、法制審の議論の中でも様々御指摘や御批判があったと承知していますが、第一に、再審請求審において検察官が公益の代表者として追求すべき公益というのは無辜の救済であり、検察官にはこれに資する形での関与が求められ、第二に、検察官が再審開始決定に不服があるとしても、再審公判の中で主張すれば足りるのであり、確定判決の法的安定性を著しく損なうことにはならず、第三に、再審請求審は、通常審と異なり、再審請求人の請求に理由があるか否かを裁判所が主体となって審理する二面構造になっており、検察官は当事者としての地位を有していないため、通常審における上訴制度と必ずしも整合性を取る必要はないといったことを踏まえれば、十分に合理性あるものとして説明可能であると考えます。
次に、開示される証拠の範囲及び裁判所の職権による証拠開示制度の在り方、あわせて、送致書類等目録を開示命令の対象とする理由についてお尋ねがありました。
冤罪被害者の救済のためには、再審請求審における証拠の開示、特に、通常審の段階から存在していたものの裁判所には提出されなかった無罪方向の証拠の開示が極めて重要な役割を果たすものであることは、近年相次ぐ再審無罪事件を見ても明らかであると思います。
そこで、本法律案では、適切かつ迅速な証拠開示を実現するため、まず、再審請求人側に証拠開示の請求権を認めることとしています。その対象となる証拠の範囲について、再審の請求の理由に関連すると認められるとの条件を付しているところですが、これは、再審請求審が再審の請求の理由の有無を裁判所が判断する手続であることを踏まえ、およそ関連しない証拠について除外する趣旨であり、再審請求理由に直接間接に関連すると認められる証拠であれば、広くその対象とし得るものであると考えております。
また、その証拠開示請求の対象は、検察官等が保管する証拠だけに限られず、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される証拠物や書類の目録である送致書類等目録にも及ぶこととしています。これは、再審請求人側が再審請求理由について的確に主張を組み立てるためには、開示を求める証拠がその全体像においてどのような位置づけと重大性を有しているかを適切に把握することが重要であると考えたからです。
なお、この趣旨をより徹底させる観点から、本法案の附則で、捜査段階における証拠物や書類の目録の作成及び保存の在り方や、再審請求準備段階における送致書類等目録の開示の在り方について、検討条項を設けております。
さらに、本法律案では、裁判所の職権による証拠開示制度を設けています。そして、その対象となる証拠の範囲については、再審の請求の理由に関連すると認められるとの条件は付していません。これは、裁判所が必要と考える証拠を幅広く開示させたことが再審無罪につながった事件も少なくないことから、このような実務運用を制度化して、冤罪被害者の適正かつ迅速な救済につなげていく必要があると考えたからです。
次に、検察による意図的な証拠隠しを防ぐための措置についてのお尋ねがありました。
本法律案では、証拠開示請求の対象に、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される書類や証拠物の目録も含むこととしています。これが開示されることによって、再審請求人側は、仮に検察官が証拠隠しをするようなことがあれば、その目録と照らし合わせることができるようになると考えられます。
ただし、その目録は、警察から検察官へ送致されなかった書類や証拠物は当然記録されてはいないので、全てをカバーするものではありません。
そこで、本法律案では、附則第二条において、政府に対し、この法律の施行後三年を目途として、捜査段階における書類及び証拠物の目録の作成及び保存の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるよう求めています。この検討を経て、適切な目録の作成及び保存が実現することとなれば、検察官による証拠隠しはできなくなるものと考えます。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
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53
石井啓一副議長
金村龍那君。
〔金村龍那君登壇〕
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金村龍那(維新)
日本維新の会の金村龍那です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案、いわゆる再審法改正案について、内閣総理大臣並びに法務大臣に質問をいたします。(拍手)
我が国の刑事司法は、適正な手続の下で事案の真相を解明し、国民の基本的人権と社会の治安を守るために不断の努力を重ねてまいりました。とりわけ、確定判決に重大な誤りがあった場合に人権救済を図る再審制度は、司法の信頼性を担保する最後のとりでであります。
大正時代に現在の刑事訴訟法の基礎ができて以来、長期にわたり実務の運用に委ねられてきた再審手続について、手続の適正化…
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55
高市早苗(自民)内閣総理大臣
金村龍那議員の御質問にお答えをいたします。
本法律案により、再審無罪判決までに長期間を要するような事態が防止できるのかについてお尋ねがございました。
本法律案では、通常審において導入済みの証拠開示制度に加えて、再審請求審においても、審理に必要十分な証拠が迅速に提出されるようにするため、証拠の提出命令制度を設けることとしております。
また、再審開始決定に対する検査官の不服申立てについて、原則として禁止するなどし、より慎重で抑制的な運用を確保するとともに、手続の長期化の防止を図ることとしております。
このほか、再審請求者などの手続保障の充実を図るため…
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