山野目章夫早稲田大学法学学術院教授

2026年5月20日・第221回国会 衆議院 法務委員会 第11号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 141 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 184 発言)

終われる後見ということがキーワードになって、報道におきましても、今般、成年後見制度を象徴する言葉として時に耳にすることが多うございます。

反面、成年後見制度はこういう方向に変わっていくのではないかというようなことを私は申し述べる機会がいろいろ講演等でございます。お話を聞いてくださる方から時に反発が出ることがあります。福祉を担っておられる現場の皆さんからは、あなたはそういうふうにおっしゃるけれども、それは理念というか、理屈の上ではそうかもしれないけれども、現場で抱える様々な事案においては、終われるというふうに言うけれども、そんなに簡単に終われないような事案というのはたくさんあるんです、そういうことを分かってやっていますかというようなお叱りを受けることもございます。

そういうときに、私からは、それはごもっともなお話であるということを申し上げるとともに、よく話を聞いていただきたいとも望みますというふうにお願いして、終わる後見にするというお話を差し上げた覚えはありません、終わることができないという仕組みになってしまっているこの仕組みを終わらせますというふうに御案内を差し上げることにしております。最初からそう言えばいいじゃないですかとおっしゃるので、いや、最初からそういうふうに申し上げていますというふうに申し上げなければいけないんですけれども。

現在の制度は、ほとんど終わることができない。予定された事務が終了に近づいたときに、終わることにしますか、終わらないことにしますかというようなことを一度検討していただいて、それは様々なケースがあるので、簡単には終われないケースが少なくないということはもちろん承知しております、しかし、終われるものは終わるようにしたらよいと思いますというお話を差し上げて意見交換をしたりしております。

その際、まさに議員が御炯眼で着眼していただいたとおり、家族との関わりとか任意後見契約とかいろいろなツールがある中で、何といっても、これから地域社会福祉が充実していくかどうかということが、今般の成年後見制度改革の帰趨を握っているというふうに考えます。

民事法制の一角を成している成年後見制度でありますけれども、民事法制の改革と地域社会福祉の改革は車の両輪であります。どっちかがつまずいたら全体のフォーミュレーションが崩れるという関係になっております。

議員御案内のとおり、社会福祉法等の一部を改正する法律案、議案番号四五でございますけれども、ただいま御院において審議されておりまして、厚生労働委員会に付託されて審議がされております。ほぼこちらの法務委員会における民法等の一部を改正する法律案と同一のリズムで現在審議が続いているというふうに承知しております。

もし、政府提案のとおりに社会福祉法が改正されるということになりますと、改正される社会福祉法の二条三項十二号で福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業というふうに法文には記されておりますけれども、現場においては、これまでの日常生活自立支援事業をもう少しブラッシュアップして、充実したものとして整備していかなければならないというような方向で検討が始められているところでございます。

大きく並べますと三つほどの柱でしょうか、新しい地域社会福祉の事業の試みとして、社会生活上の意思決定支援、とりわけ日常的な金銭管理をお年寄りや障害者に対してサポートをする、二番目は、病院に入ったり施設に入ったりするときの入院、入所を支援する、それから、自分が死んだ後の死後事務について不安がある人たちは今もおりますし、これから増えてきますから、死後事務についてのサービスをしつらえる、これらの三本柱の事業をしてくださいということで、この法律案が採択される暁には、政府において鋭意そのことを進めていくだろうというふうに思います。

しかしながら、民法の改正のような民事法制の改革と性格が異なりまして、予算をつけたり、地方公共団体の各団体の理解を得なければいけないとか、様々な手だてを講じなければいけませんから、こちらの方は法律を一本改正すると直ちに社会福祉がうまくいくというふうにはなってまいりません。そこは、今般改正に関わった民法改正に関連する法律家の人たちにも併せて協力支援をお願いすることになりますし、政府一体として進めなければいけないことであります。立法府においても、その方面に特段に御関心を払っていただきたいと望みます。

ありがとうございます。

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