小泉悠東京大学先端科学技術研究センター准教授

2025年2月19日・第217回国会 参議院 外交・安全保障に関する調査会 第2号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 83 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 90 発言)

どうもありがとうございます。

まず、再侵攻の可能性に関しては本当におっしゃるとおりだと思っていて、ほぼ、どのウクライナ人と話してもその話は必ずするんですよね。なので、今のそのトランプの和平に恐らくなかなかウクライナ人がもうしようがないから乗っちまえと言えないのは、そこの手当てはアメリカが何もしようとしないからだと思うんですよ。

この前、ベッセント財務長官がウクライナへ行った際にも、レアアースとのディールを持っていくわけですけど、アメリカにレアアースちょうだいという話が書いてあるだけで、その再侵攻抑止の話書いていないですよねというんで決裂しちゃうわけですよね。又は、バンスの口ぶりを見ていると、彼の言う平和というのは、トランプ政権の四年間続けば恐らくいいと思っていて、その後の再侵攻抑止のことを恐らく考えていないとかというところが何か見え見えなので、今のウクライナから見ると、トランプ政権のこの和平というのは、あなたの人気のための和平ですよねというふうに見えちゃっているんだと思うんですね。

その上で日本の抑止をどういうふうに考えるかというのは、結局、これヨーロッパもそうなんですけど、アメリカという圧倒的な軍事大国が我々の側に付いているということが全ての前提になったということなんだと思うんですよ。

結局、NATOの目的としてよく言われる、これうそか本当か知りませんけど、ドイツ人をおとなしくさせておいて、ロシア人を追い出し、そしてアメリカ人をヨーロッパ大陸に引っ張り込んでおくという、何か三つの目的という、まあ俗説かもしれませんけど、言われますよね。でも、そのうちのそのアメリカを引っ張り込んでおくということに関して、NATOという仕組みと日米安保、米韓安保という仕組みがこれまではある程度機能してきたんだろうと思うんですけど、やっぱりトランプ政権はもうそれをヨーロッパに関しては余りやりたくないとはっきり言い出したのが今回のミュンヘン・サミットだと思いますし、今国防次官になったコルビーさんは、もう韓国も守り切れないので自分で核武装して守ってくれということなんですよね。あとは、もう日本は別格だけど、その日本はしっかり守って、台湾もやるけれどもとは言うけれども、それは私が先ほど申し上げたように、たまたまアメリカの最重視正面に我々がいるだけにすぎないということは考えた方がいいと思います。

なので、大国、何らかの軍事大国に、何というんですかね、例えば、アメリカを絶対に安心な同盟国というふうにみなすことも恐らくもはやできないし、じゃ、一方、中国やロシアと融和できるのかというと、私は全く信用していないんですよ、彼らのことも。あらゆる大国を信用しないという基本姿勢に立たなければいけない時代に来ていると思うんですね。

ただ、本当にあらゆる大国を信用しない場合、これは軍事的には限りなく核武装論とイコールになっちゃって、それは嫌というのはさっき申し上げたところで、なので、私は、やはりヨーロッパにしても日本にしても、その戦略レベルの核抑止だけはアメリカに何とかしてくれと、そこのところに関してはもう半世紀ぐらいやってくれという約束と引換えに、通常戦力レベルのその域内抑止に関しては自分たちでしっかりやるという方向に持っていくことで、何とか現状の秩序というんですかね、どの大国にも好きにさせないという状態をつくり出せないかというのが、私の、余り前向きではないんだけども、せめてもの考えていることです。

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