越智萌立命館大学国際関係学部准教授

2025年2月12日・第217回国会 参議院 外交・安全保障に関する調査会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 37 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 90 発言)

ありがとうございます。

おっしゃったように、二〇〇七年に加盟する際に、幅広く日本の刑法にある犯罪、そこで犯罪化されている行為を列挙して、そしてローマ規程にある定義と照らし合わせてこういったものをあぶり出してきたわけで、そのとき、新たな立法は必要ないというのは、立法事実がないというのもそうなんですけれども、刑法学者の広範な理解としては、ICCで規定するような重大犯罪というのは、その根本になっている行為ほとんど全て日本の刑法でも犯罪と考えられているという理解に落ち着いたというものがございます。

そこでは未遂犯というのは非常に軽い類型に思われるということで、恐らく、これまでのICCのケース、それからICCの前身になっている旧ユーゴの国際刑事法廷とルワンダの国際刑事法廷の判例でも、未遂犯というのはその前面に出て訴追、単品、単独で訴追されたという事実がほとんどありませんので、これが入っているのは規定の形式上というふうな理解もあるかと思います。

ただ、今起きているような、国境を越えて他国が外国に今侵略をしていくというケースというのは、御承知のように、ここ戦後、第二次世界大戦後ほとんどなかった現象でして、今回のように、大陸、国境を越えてミサイルを撃って、外国の電力インフラを冬に破壊するということや、森林やダムを壊していくということというのは、ウクライナ紛争から、本当に起きるんだということで、立法事実という認識は日本だけでなく国際社会でも高まったのかなというふうに考えています。

そういう意味では、こういったこと起きないと思っていたのは国際社会でも同じで、ただ、近年こういうことがあるということで、未遂犯を、未遂犯というのは、一個一個の犯罪についてというよりは、規定上、どの全ての犯罪について未遂犯成立をするという形になっていますので、網羅性を保つためには必要だという反面、恐らくこれだけについて日本で立法するというのは非常に難しいのかなと考えます。

ですので、一番最初の御質問ですけれども、日本の立法の方法としては、一個一個の行為を一個ずつ対応しているから大丈夫というアプローチではなくて、国際社会で成立している犯罪概念というものを、それ自体として受け止めて立法に反映させていくということが必要なのかなというふうに考えております。

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