ありがとうございます。
なぜこうしたことをお尋ねするかというと、二〇〇一年につくられまして、これは端々に出てくるんですけれども、総合科学技術・イノベーション会議という、もう一つの科学技術政策の司令塔と言われる組織が政府にあるんですけれども、このCSTIは、どうも文科系の研究者がなかなかいないんですね。
科学技術をいわゆる自然科学系の研究者中心で牽引していきたいという御議論があると思うんですけれども、私なんかは前から言っておりますように国際法の研究者なんですけれども、例えばバイオテクノロジーとかというのは、このCSTIの範囲内に入ると思います。いわゆる自然科学系の分野でありますけれども、じゃ、バイオテクノロジーが自然科学系の先生だけで構成できるかというと、今どういうふうな議論が文系の中でできるかというと、遺伝子資源の知的所有権という議論を国際的にはしています。つまり、DNAの構成が違った場合にどこで特許権を発生させるかということがございまして、国際的に知的所有権機関というのがジュネーブにあるので、こうした法的な枠組みをバイオの分野であっても文系の研究者が扱っているということがございます。
その意味でいけば、今会長がおっしゃったように、やはり文系と理系のある意味ではちゃんとした融合がないと本当は科学政策というのは前進しないということがあり、それまでは、日本学術会議の場合は、少なくとも三部構成というのは、その基礎をつくられていたと思います。確かに、それぞれの研究者が分野を融合、個人で幾つかの分野にまたがるということはありますけれども、これはある種、社会学的に言うと、アイデンティティーの問題とよく似ています。
私も、いろいろな分野、それなりに話ができます。でも、あなたは何と聞かれたら、私は国際法が専門ですと言います。なぜかというと、これは、大学のときには政治学でしたし、私が一番近しい研究者の先生が社会学だったんですけれども、自分が今一番自信を持って語れるのは国際法学だから。ですから、どんなに分野をまたがっていても、あなたのアイデンティティーは何と聞けば、研究者というのはそれなりに答えられるものだというふうに私は思っています。
その意味でいけば、こうした、分野の違う研究者、違うという、区別がつく研究者を統合的に扱う組織としての日本学術会議の重要性というものはとても大事だなというふうに思っていて、それを、内部構成は皆さんにお任せしますということの中で、先ほど言いましたように、内規でこれを定めるという形のものが、本当に政府の政策として、見える形になっているのかというのはとても疑問に思っています。
次の点に移りたいんですけれども、活動の独立性の問題というのは、これも皆さん何回も御質問になったので余り新鮮味がないかもしれませんが、私の視点からすると、実は活動の独立性というものの中には、産業界からの独立性や、それから、先ほどから言っております軍事研究からの独立性が入ります。
例えば、政府からの独立性と同時に産業界からの独立性が重要だということは、これも古い話と言われればそれまでなんですけれども、一九六一年、アメリカのアイゼンハワー大統領が退任演説のときに、軍産複合体ということを警告されて退任されました。これは何かというと、軍事産業と政府の癒着が民主主義を脅かすという警告をされたことであります。
アイゼンハワー大統領というのは、日本では余り、マッカーサー元帥の方がなじみ深かったんですけれども、いわゆるノルマンディー上陸作戦の指揮をされた方です。相手方のドイツ軍はロンメルさんがいたので、上陸作戦はすごく難しかったんです。映画を見ると、船が揺れているんですけれども、あの日は天候が悪い日だったんです。その日しかなかったというのを決断されたのがアイゼンハワーさん。で、彼は大統領になりました。その方が、軍人の出身の方が軍産複合体を警告されたということがあり。
二〇一四年の安倍政権による、武器輸出三原則、これは御存じのように、七六年に三木武夫政権のときに確立されたものでありますけれども、実質的に日本は武器を海外に売らないという政策が取られていたものを、安倍政権が外して、防衛装備移転三原則へ転換しました。
これは、実は日本における軍産複合体の形成の始まりに当たります。つまり、武器を海外に売れるという構造ができれば、それによって軍需産業がどんどんどんどん拡大をしていくということになります。今までは、軍需産業はあっても売れなかったので、物すごくコスト高ではあるけれども、それは産業としては拡大しないということがあったんですけれども、早速売ろうということになります。
最初は、日本の潜水艦をオーストラリアに売るということがあったんですが、失敗します。何でかというと、これは武器貿易のノウハウを日本が持っていなかったんですね。それを踏まえて、様々な、武器見本市とかが今行われているんですけれども、こうした軍産複合体がある意味で始まったときに何がされたか。
先ほど言いましたように、二〇一四年にこの軍産複合体が日本で始まったということでいえば、二〇一五年の防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度は、日本における軍産学共同体の始まりと言ってもいいと思います。それに対して二〇一七年に日本学術会議が声明を発表されたのは、これは非常に卓見だというふうに私はその当時思いました。これはつまり、イデオロギーがどっちかの問題ではなくて、日本の戦後の平和主義の問題を体現してきた日本学術会議が、日本政府のある意味では変質に対してきちんとした対応をしたということであったと思います。
軍産学共同体の問題点というのも、先ほどから何か出ているようで出ていないので、ちょびっとだけ言っておきますと、これは、大学が軍事研究に加担するとどういうふうになるかというと、皆さん、ちょっと想像するとお分かりになると思うんですけれども、研究成果が公開できない部分が出てきます。何でだか分かりますよね。一部分が軍事機密だからです。ですから、防衛省と一緒にやれば、ある部分は、研究が完成した後、公開できないということになります。
それから、それが軍産学まで行くと、海外に物が売れるので、どういうふうなことが起きるかというと、軍事産業というのは、アメリカを見たら分かるんですけれども、これは賄賂と癒着がどんどん広がっていきます。例えば、東南アジアに日本の武器を売るとかというと、幾らで売ったかというのは向こうは言いたがりません。こっちも言わないので、賄賂が飛び交うということになって、そういう意味でアイゼンハワー大統領は警告されたんです。
そういう形の産業に日本がのめり込むという時期が二〇一四年、一五年だとすれば、この時期に日本学術会議がこういうふうな声明を出された意味というのは、皆さんが考える以上に重要なことであったというふうに思います。
日本学術会議の副会長の日比谷さんがまとめられた「日本学術会議の組織及び海外のナショナル・アカデミーについて」という資料があるんですけれども、フランスの科学アカデミーの見解を紹介されています。フランス科学アカデミーは何とおっしゃっているかというと、最も正当な助言と勧告を行うためには、公的機関や産業界に対して政治的、財政的義務を負わない完全に独立した機関であることが不可欠であるということをおっしゃっています。
ところが、残念ながら、有識者会議も含めて、産業界の人が入らないと意見の多様性が担保されないということ自体が、ある意味では国際的な基準から外れるのではないかなと思います。
この辺は、笹川委員、いかがでしょうか。
315笹笹川武内閣府大臣官房総合政策推進室室長
お答えいたします。
御質問いただいた点、三部制を始めとして事務局、連携会員、みんなある意味そうなんですけれども、いろいろ議論しました。そもそも今何をやっているんですかみたいな話からして、そもそもどういう機能なんだという、そんな話をしました。
結論的には、元々学術会議の方が、内部組織の決め方はなるべく、法律で書かないで、内部規則なり自分たちで決めさせてほしい、その方が弾力的だからというお話がありましたので、可能な範囲でそのようにしようというのが懇談会の意思でもあり、我々もそう考えました。ただ、例えば総会だとか、絶対の骨格として要るやつは落とせないわけで…
この発言のページ
316
上村英明(れいわ)
光石会長がいらっしゃるので、この分野別の構成に関しては、会長としてはどういうふうにお考えでしょうか。
この発言のページ
317光光石衛日本学術会議会長
日本学術会議が活動を行っていく上で、御指摘の部ですとか委員会、そういう組織ですとか、それから連携会員の役割というのは非常に重要であります。これらの組織については、法人の自主性に委ねられているものとの説明を受けております。
今回、四十名の増員をされているわけなんですが、分野融合的なところをしっかりやるべきであるということで、これまでも分野融合的なところはやっているのではありますが、そこを更に強化するという意味で増員ということをお願いし、それが認められているという形になっております。
三では割れないんですけれども、分野融合的なところというのは必ずしも三で…
この発言のページ
- (上の発言)
318
上村英明(れいわ)
ありがとうございます。
なぜこうしたことをお尋ねするかというと、二〇〇一年につくられまして、これは端々に出てくるんですけれども、総合科学技術・イノベーション会議という、もう一つの科学技術政策の司令塔と言われる組織が政府にあるんですけれども、このCSTIは、どうも文科系の研究者がなかなかいないんですね。
科学技術をいわゆる自然科学系の研究者中心で牽引していきたいという御議論があると思うんですけれども、私なんかは前から言っておりますように国際法の研究者なんですけれども、例えばバイオテクノロジーとかというのは、このCSTIの範囲内に入ると思います。いわゆる自然科学系の分野でありますけれども、じゃ、バイオテクノロジーが自然科学系の先生だけで構成できるかというと、今どういうふうな議論が文系の中でできるかというと、遺伝子資源の知的所有権という議論を国際的にはしています。つまり、DNAの構成が違った場合にどこで特許権を発生させるかということがございまして、国際的に知的所有権機関というのがジュネーブにあるので、こうした法的な枠組みをバイオの分野であっても文系の研究者が扱っているということがございます。
その意味でいけば、今会長がおっしゃったように、やはり文系と理系のある意味ではちゃんとした融合がないと本当は科学政策というのは前進しないということがあり、それまでは、日本学術会議の場合は、少なくとも三部構成というのは、その基礎をつくられていたと思います。確かに、それぞれの研究者が分野を融合、個人で幾つかの分野にまたがるということはありますけれども、これはある種、社会学的に言うと、アイデンティティーの問題とよく似ています。
私も、いろいろな分野、それなりに話ができます。でも、あなたは何と聞かれたら、私は国際法が専門ですと言います。なぜかというと、これは、大学のときには政治学でしたし、私が一番近しい研究者の先生が社会学だったんですけれども、自分が今一番自信を持って語れるのは国際法学だから。ですから、どんなに分野をまたがっていても、あなたのアイデンティティーは何と聞けば、研究者というのはそれなりに答えられるものだというふうに私は思っています。
その意味でいけば、こうした、分野の違う研究者、違うという、区別がつく研究者を統合的に扱う組織としての日本学術会議の重要性というものはとても大事だなというふうに思っていて、それを、内部構成は皆さんにお任せしますということの中で、先ほど言いましたように、内規でこれを定めるという形のものが、本当に政府の政策として、見える形になっているのかというのはとても疑問に思っています。
次の点に移りたいんですけれども、活動の独立性の問題というのは、これも皆さん何回も御質問になったので余り新鮮味がないかもしれませんが、私の視点からすると、実は活動の独立性というものの中には、産業界からの独立性や、それから、先ほどから言っております軍事研究からの独立性が入ります。
例えば、政府からの独立性と同時に産業界からの独立性が重要だということは、これも古い話と言われればそれまでなんですけれども、一九六一年、アメリカのアイゼンハワー大統領が退任演説のときに、軍産複合体ということを警告されて退任されました。これは何かというと、軍事産業と政府の癒着が民主主義を脅かすという警告をされたことであります。
アイゼンハワー大統領というのは、日本では余り、マッカーサー元帥の方がなじみ深かったんですけれども、いわゆるノルマンディー上陸作戦の指揮をされた方です。相手方のドイツ軍はロンメルさんがいたので、上陸作戦はすごく難しかったんです。映画を見ると、船が揺れているんですけれども、あの日は天候が悪い日だったんです。その日しかなかったというのを決断されたのがアイゼンハワーさん。で、彼は大統領になりました。その方が、軍人の出身の方が軍産複合体を警告されたということがあり。
二〇一四年の安倍政権による、武器輸出三原則、これは御存じのように、七六年に三木武夫政権のときに確立されたものでありますけれども、実質的に日本は武器を海外に売らないという政策が取られていたものを、安倍政権が外して、防衛装備移転三原則へ転換しました。
これは、実は日本における軍産複合体の形成の始まりに当たります。つまり、武器を海外に売れるという構造ができれば、それによって軍需産業がどんどんどんどん拡大をしていくということになります。今までは、軍需産業はあっても売れなかったので、物すごくコスト高ではあるけれども、それは産業としては拡大しないということがあったんですけれども、早速売ろうということになります。
最初は、日本の潜水艦をオーストラリアに売るということがあったんですが、失敗します。何でかというと、これは武器貿易のノウハウを日本が持っていなかったんですね。それを踏まえて、様々な、武器見本市とかが今行われているんですけれども、こうした軍産複合体がある意味で始まったときに何がされたか。
先ほど言いましたように、二〇一四年にこの軍産複合体が日本で始まったということでいえば、二〇一五年の防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度は、日本における軍産学共同体の始まりと言ってもいいと思います。それに対して二〇一七年に日本学術会議が声明を発表されたのは、これは非常に卓見だというふうに私はその当時思いました。これはつまり、イデオロギーがどっちかの問題ではなくて、日本の戦後の平和主義の問題を体現してきた日本学術会議が、日本政府のある意味では変質に対してきちんとした対応をしたということであったと思います。
軍産学共同体の問題点というのも、先ほどから何か出ているようで出ていないので、ちょびっとだけ言っておきますと、これは、大学が軍事研究に加担するとどういうふうになるかというと、皆さん、ちょっと想像するとお分かりになると思うんですけれども、研究成果が公開できない部分が出てきます。何でだか分かりますよね。一部分が軍事機密だからです。ですから、防衛省と一緒にやれば、ある部分は、研究が完成した後、公開できないということになります。
それから、それが軍産学まで行くと、海外に物が売れるので、どういうふうなことが起きるかというと、軍事産業というのは、アメリカを見たら分かるんですけれども、これは賄賂と癒着がどんどん広がっていきます。例えば、東南アジアに日本の武器を売るとかというと、幾らで売ったかというのは向こうは言いたがりません。こっちも言わないので、賄賂が飛び交うということになって、そういう意味でアイゼンハワー大統領は警告されたんです。
そういう形の産業に日本がのめり込むという時期が二〇一四年、一五年だとすれば、この時期に日本学術会議がこういうふうな声明を出された意味というのは、皆さんが考える以上に重要なことであったというふうに思います。
日本学術会議の副会長の日比谷さんがまとめられた「日本学術会議の組織及び海外のナショナル・アカデミーについて」という資料があるんですけれども、フランスの科学アカデミーの見解を紹介されています。フランス科学アカデミーは何とおっしゃっているかというと、最も正当な助言と勧告を行うためには、公的機関や産業界に対して政治的、財政的義務を負わない完全に独立した機関であることが不可欠であるということをおっしゃっています。
ところが、残念ながら、有識者会議も含めて、産業界の人が入らないと意見の多様性が担保されないということ自体が、ある意味では国際的な基準から外れるのではないかなと思います。
この辺は、笹川委員、いかがでしょうか。
319笹笹川武内閣府大臣官房総合政策推進室室長
産業界、まず、当たり前ですけれども、連携はいろいろ言われていて、取り組んでいました。
それから、独立の方も、懇談会でも全く議論がなかったわけではなくて、これは、でも、基本的にはコンセンサスですけれども、特に、まず学術会議の方々が、やはり産業界からの資金が入るときに、今先生がおっしゃっているような懸念があるから非常に慎重にやらないといけないという、そのままの言葉じゃないですけれども、そういう趣旨のことをおっしゃっていました。
それに対して、産業界というか、そういうグループの方々は、それはそれで分かるけれども、そこはやはり、もらい方というか、ルールという…
この発言のページ
320
上村英明(れいわ)
デュアルユースの問題も出てきて、確かにデュアルユースというのは、軍民共用でなかなか線引きが難しいということがあると思いますが、昨日の議論で、ちょっと大丈夫かなと思ったので、一つだけ追加で説明させていただきます。
レーダー、どこに誰がいるかというのを把握する軍事技術のレーダーなんですけれども、レーダーから電子レンジができたというのはまさにそのとおりです。ところが、ちょっと説明がなかったなと思うんですけれども、日本は、戦前はレーダー研究は政府が止めたんです。なぜかというと、当時の軍部は、レーダーというのは防御的兵器、つまり受け身の兵器であって、日本の大和魂…
この発言のページ
321笹笹川武内閣府大臣官房総合政策推進室室長
お答え申し上げます。
成功してほしい、必ず成功するというつもりでこの法律を作らせていただきました。
学術会議も含め、懇談会の皆さんとも一年半議論をしてきました。やはり、何でも海外がいいというわけじゃないんですけれども、海外アカデミーの、先生がおっしゃったように、まさに国から独立して、多分、本当の意味での独立ということで、我々はそれを目指していますが、独立して責任ある形で、かつ、外部資金を獲得しながら、それには苦労が伴うわけですけれども、獲得しながら、そしてその獲得したお金で、事務体制などを整備したり、あるいは、新たな、場合によったら、調査や何かをやっ…
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