黒崎将広防衛大学校総合安全保障研究科教授

2025年3月28日・第217回国会 衆議院 内閣委員会 第9号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 41 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 119 発言)

お答えいたします。

まず、国際法上、一般論といたしまして、違法性阻却事由というものについては、緊急避難よりも、緊急状態と政府は言っていると思いますが、緊急状態よりも対抗措置の方がより確立した、つまり、先例とか判例もしっかりしているということで、よりそちらの方が支持が得られる違法性阻却事由として、教科書でもそのような形で書かれていると思います。

そういう意味では、緊急避難というものは、国際法をやっている人間は余りそこまでしっかり勉強しなかったというぐらい、余り注目されてこなかったというものであると思います。そういうものを反映して、緊急避難というものについて、サイバーの文脈で援用する国々がやはりいないということも影響しているんだと思いますが。

ただ、しかしながら、やはり対抗措置というものをサイバーの文脈で援用するということは極めて難しいという問題点もございます。それはやはり、対抗措置を援用するためには、相手の国が先に違法行為をしていなきゃならない。つまり、それは、国家がやったというところまで持っていかなきゃいけないという、いわゆるアトリビューション、帰属という問題が出てきます。これがサイバーの実態に非常にそぐわない。

という中で、でも、しかしながら、市來先生がおっしゃったような違法性阻却事由の懸念という、対策も考えなきゃいけないと私は申し上げましたが、第二段階ということで、サイバーに一番その特性に見合った国際法の違法性阻却事由とは何かというようなことを考えると、これは、確かに濫用の危険性というのはこれまで主張されてきたものではありますけれども、ただ、国家の安全保障上の、ここで言う国家責任条文での緊急避難というようなところでございますが、重大かつ差し迫った危険から根本的利益を守るために、つまり、相手の先行違法行為が国によって行われているというようなことを、考えなくても言える、それはそれでまた濫用のリスクがあるじゃないかというふうに思われるかもしれないんですが、ただ、しかしながら、サイバー攻撃の実態を鑑みると、一番これが適切であるというような国が必ずしも今の現状では少なくても、一番サイバーの実態に合った違法性阻却事由として主張しているというのも事実でございます。

そういうような判断がこれから恐らく日本を中心に、私の模範事例というような話にも合うと思うんですが、事情を、特性を考えて、違法性阻却事由というものが、対抗措置と緊急避難、どっちが本当にいいのかというようなことを考えていかなきゃいけない、そういうふうに考えております。

以上です。

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