自由民主党の山下貴司です。
本日は早期事業再生法案について質疑の時間をいただき、ありがとうございます。私は法律家議員でありますけれども、この法案は非常に重要な法案で、質疑の機会をいただくことを大変感謝しております。
本日は、なぜ早期事業再生法案が必要とされるのか、手続の内容はどのようなものなのか、どんなメリットがあるのか、大臣あるいは経産省など関係省庁の皆様から、国民の皆様にできるだけ分かりやすい質疑をお願いしたいと思いますので、大臣、よろしくお願いいたします。
まず、日本企業を取り巻く経営環境は大変厳しいものがあります。コロナ禍以降、日本企業全体の借入れなどの債務残高は七百兆円に達し、コロナ禍前に比べて百二十兆円以上も増加しています。コロナ対応のゼロゼロ融資の返済も始まり、その返済負担が重くのしかかっている企業も多いのが実態であります。
また、昨年の企業倒産件数は十一年ぶりに一万件を超え、リーマン・ショック後以来の高水準となりました。この背景には、原材料の価格高騰、人手不足、最近の円安や物価高、さらには金利上昇などがありますが、これにトランプ関税の影響も予測されるところであります。
こうした状況の中、過剰な債務が企業の事業再生を妨げ、倒産に至る企業が更に増えるおそれが指摘されています。倒産により企業の価値や技術、人材といった貴重な資源が散逸する前に、その倒産に至る前の段階で企業が迅速に再建策を実行できる制度基盤を整備し、早期の事業再生を可能にすることは、結果的に地域の雇用を守り、経済全体の新陳代謝を促進することにもつながります。早期事業再生法案はそのための法案だと承知しております。
それでは、質疑の前に、早期事業再生法案のポイントを私なりの理解でお話をさせていただきます。
配付資料一の比較チャートを御覧ください。
早期事業再生制度と他の制度を比較した場合の最大のポイントは、上から四番目にあります銀行など金融機関に対する借入金の金融債務について、債権者の四分の三の多数決で債務整理を行えるようにする点であります。そして、整理の対象は、銀行など金融機関からの借入金など、金融債務に限定されています。買掛金など取引先への支払い債務や、例えば会社の従業員などの給与債務などは整理の対象とはされていない、含まれていないということであります。
そして、手続は、経済産業大臣が指定する第三者機関である指定確認調査機関が全面的に関与し、裁判所が最後に認可することで法的な効力が発生します。裁判所の関与により、公平性や少数債権者の保護もしっかりと担保される仕組みになっております。
また、抵当権など物的担保がついた債権は整理の対象外ではありますが、裁判所は、申立てに基づき、一定の要件の下で、金融債権者の担保権の実行や強制執行を一時的に中止を命ずることができることになっています。
そして、新しい手続のポイントとして、裁判所は関与しますが、非訟事件ということで、原則非公開で行われることになります。
他の制度と比較してみると、事業再生ADRなどの私的整理では、非公開で、信用毀損あるいは風評被害なく手続が進められるわけでありますけれども、債権者の全員同意が必要であります。ですから、金融機関の一行でも、あるいは金融債権者の一人でも反対するとADRが成立しないことになりますが、この新制度では、要件を満たせば先ほど申し上げた四分の三以上の賛成で決まることになります。ですから、一部金融機関のみの反対で再建が頓挫するということは避けられるようになります。
また、非公開で進められ、公表は不要であるという点も重要であります。
民事再生のように、多数決で決まるものの、一方で、手続が官報公告ということで広く公にされることになると、多くの取引相手にも周知されて経営不安、信用不安が一気に広がってしまう、そして、せっかく再生を考えていたのができなくなってしまうという事例はよくあることでありますけれども、この制度では、裁判所での手続として法的な強制力は担保されるわけでありますけれども、非訟事件という手続上、金融債権を持つ対象債権者以外には公開や公表がされずに進めることができることになります。
ただ、注意しなければならないのは、これはもちろん上場企業などが対象になる場合もあるわけでありますけれども、こうした上場企業の場合には金融商品取引法などで適時開示のルールがあるので、その点は注意する必要があります。ただ、そうでない限りは関係者のみの周知でできることになります。
こうした本法案による新しい早期事業再生手続は、法的性質としては、倒産手続ではない、倒産前の手続で、利用中は会社は通常どおり営業を継続でき、経営権を維持しながら、最終的に裁判所が計画を認可することで強制力を持たせる、法的整理と私的整理の利点を生かしたハイブリッド型の再建手続と言えます。
その意味で非常に大きな意義を持つ制度であり、是非今国会での成立を期したいところでありますけれども、この具体的な手続についてこれから経産大臣そして経産省に幾つか質問いたします。
その前に、この手続の流れ、これは大まかに四段階ないし五段階と申していいと思います。まず、入口は申請、第三者機関での確認、調査、債権者集会の議決、最後に出口で裁判所の認可という特徴的な構造になっておりまして、不服がある場合には即時抗告もできるということであります。
この具体的な流れを図示した資料二を御覧いただきながら質問いたしますが、利用できるのは債務者本人からの申請によるということで、債権者側からの申立てはないということであります。
そして、手続の対象となるには企業が「経済的に窮境に陥るおそれ」があることが要件となっておりますが、この「経済的に窮境に陥るおそれのある事業者」とは具体的にはどのような事業者でありましょうか。
また、第三者機関が確認すべき事項として、「事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難となるおそれ」を確認せよとありますが、こうした要件の意義について御説明願いたいと思います。必要があれば民事再生法との比較などもしていただければと思います。
1
宮崎政久(自民)
これより会議を開きます。
内閣提出、円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官河野太志君、経済産業省経済産業政策局長藤木俊光君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江澤正名君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長新川達也君、厚生労働省大臣官房審議官尾田進君及び厚生労働省大臣官房審議官大隈俊弥君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議な…
この発言のページ
2
宮崎政久(自民)
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
この発言のページ
3
宮崎政久(自民)
これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。山下貴司君。
この発言のページ
- (上の発言)
4
山下貴司(自民)
自由民主党の山下貴司です。
本日は早期事業再生法案について質疑の時間をいただき、ありがとうございます。私は法律家議員でありますけれども、この法案は非常に重要な法案で、質疑の機会をいただくことを大変感謝しております。
本日は、なぜ早期事業再生法案が必要とされるのか、手続の内容はどのようなものなのか、どんなメリットがあるのか、大臣あるいは経産省など関係省庁の皆様から、国民の皆様にできるだけ分かりやすい質疑をお願いしたいと思いますので、大臣、よろしくお願いいたします。
まず、日本企業を取り巻く経営環境は大変厳しいものがあります。コロナ禍以降、日本企業全体の借入れなどの債務残高は七百兆円に達し、コロナ禍前に比べて百二十兆円以上も増加しています。コロナ対応のゼロゼロ融資の返済も始まり、その返済負担が重くのしかかっている企業も多いのが実態であります。
また、昨年の企業倒産件数は十一年ぶりに一万件を超え、リーマン・ショック後以来の高水準となりました。この背景には、原材料の価格高騰、人手不足、最近の円安や物価高、さらには金利上昇などがありますが、これにトランプ関税の影響も予測されるところであります。
こうした状況の中、過剰な債務が企業の事業再生を妨げ、倒産に至る企業が更に増えるおそれが指摘されています。倒産により企業の価値や技術、人材といった貴重な資源が散逸する前に、その倒産に至る前の段階で企業が迅速に再建策を実行できる制度基盤を整備し、早期の事業再生を可能にすることは、結果的に地域の雇用を守り、経済全体の新陳代謝を促進することにもつながります。早期事業再生法案はそのための法案だと承知しております。
それでは、質疑の前に、早期事業再生法案のポイントを私なりの理解でお話をさせていただきます。
配付資料一の比較チャートを御覧ください。
早期事業再生制度と他の制度を比較した場合の最大のポイントは、上から四番目にあります銀行など金融機関に対する借入金の金融債務について、債権者の四分の三の多数決で債務整理を行えるようにする点であります。そして、整理の対象は、銀行など金融機関からの借入金など、金融債務に限定されています。買掛金など取引先への支払い債務や、例えば会社の従業員などの給与債務などは整理の対象とはされていない、含まれていないということであります。
そして、手続は、経済産業大臣が指定する第三者機関である指定確認調査機関が全面的に関与し、裁判所が最後に認可することで法的な効力が発生します。裁判所の関与により、公平性や少数債権者の保護もしっかりと担保される仕組みになっております。
また、抵当権など物的担保がついた債権は整理の対象外ではありますが、裁判所は、申立てに基づき、一定の要件の下で、金融債権者の担保権の実行や強制執行を一時的に中止を命ずることができることになっています。
そして、新しい手続のポイントとして、裁判所は関与しますが、非訟事件ということで、原則非公開で行われることになります。
他の制度と比較してみると、事業再生ADRなどの私的整理では、非公開で、信用毀損あるいは風評被害なく手続が進められるわけでありますけれども、債権者の全員同意が必要であります。ですから、金融機関の一行でも、あるいは金融債権者の一人でも反対するとADRが成立しないことになりますが、この新制度では、要件を満たせば先ほど申し上げた四分の三以上の賛成で決まることになります。ですから、一部金融機関のみの反対で再建が頓挫するということは避けられるようになります。
また、非公開で進められ、公表は不要であるという点も重要であります。
民事再生のように、多数決で決まるものの、一方で、手続が官報公告ということで広く公にされることになると、多くの取引相手にも周知されて経営不安、信用不安が一気に広がってしまう、そして、せっかく再生を考えていたのができなくなってしまうという事例はよくあることでありますけれども、この制度では、裁判所での手続として法的な強制力は担保されるわけでありますけれども、非訟事件という手続上、金融債権を持つ対象債権者以外には公開や公表がされずに進めることができることになります。
ただ、注意しなければならないのは、これはもちろん上場企業などが対象になる場合もあるわけでありますけれども、こうした上場企業の場合には金融商品取引法などで適時開示のルールがあるので、その点は注意する必要があります。ただ、そうでない限りは関係者のみの周知でできることになります。
こうした本法案による新しい早期事業再生手続は、法的性質としては、倒産手続ではない、倒産前の手続で、利用中は会社は通常どおり営業を継続でき、経営権を維持しながら、最終的に裁判所が計画を認可することで強制力を持たせる、法的整理と私的整理の利点を生かしたハイブリッド型の再建手続と言えます。
その意味で非常に大きな意義を持つ制度であり、是非今国会での成立を期したいところでありますけれども、この具体的な手続についてこれから経産大臣そして経産省に幾つか質問いたします。
その前に、この手続の流れ、これは大まかに四段階ないし五段階と申していいと思います。まず、入口は申請、第三者機関での確認、調査、債権者集会の議決、最後に出口で裁判所の認可という特徴的な構造になっておりまして、不服がある場合には即時抗告もできるということであります。
この具体的な流れを図示した資料二を御覧いただきながら質問いたしますが、利用できるのは債務者本人からの申請によるということで、債権者側からの申立てはないということであります。
そして、手続の対象となるには企業が「経済的に窮境に陥るおそれ」があることが要件となっておりますが、この「経済的に窮境に陥るおそれのある事業者」とは具体的にはどのような事業者でありましょうか。
また、第三者機関が確認すべき事項として、「事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難となるおそれ」を確認せよとありますが、こうした要件の意義について御説明願いたいと思います。必要があれば民事再生法との比較などもしていただければと思います。
5藤藤木俊光経済産業省経済産業政策局長
お答え申し上げます。
本制度は、先生御指摘のように、倒産の前段階の事業者を対象とするものでございます。そのため、民事再生法では「経済的に窮境にある」状態というふうに規定されておりますが、この法律におきましては、「経済的に窮境に陥るおそれのある」状態という段階での手続ということになっております。
具体的には、直ちに資産売却まで行う必要はありませんけれども、何らか権利変更を行わなければ将来の一定時期までにキャッシュフローの悪化が進んで事業継続が困難となる状態、こういった状況を想定しているところでございます。
具体的に、法律におきましては、「事業の継続に…
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6
山下貴司(自民)
非常に抽象的な要件でありますので、いずれ法案成立の暁には、利用しやすいガイドラインとか予測可能性があるようなものをしっかり作っていただきたいと思います。
そうした対象債務者が第三者機関である指定確認調査機関に対して、まず自社の再生計画の骨子や権利の変更案、弁済計画の原案を提出する。そして、第一段階として、第三者機関はその申請内容を精査し、早期再生の必要性、簡単に言えば、この会社はほっておくと倒産してしまうかもしれないけれども、債務を減免すれば再建できそうだ、しかも債権者全体にとっても倒産させるよりは有利だなど、判断してこれを確認することになります。
…
この発言のページ
7河河野太志経済産業省大臣官房審議官
お答え申し上げます。
本制度における対象債権者の権利の変更につきましても、今御指摘がございました事業再生ADRと同様に、債務の減免、リスケジュールのみならず、いわゆるデット・エクイティー・スワップ、デット・デット・スワップといったものも含むことを想定してございます。
この発言のページ