伊勢崎賢治 (れいわ新選組)

2026年7月22日・第221回国会 参議院 沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会 第7号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 259 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 273 発言)

災害を、我々が被災したら、敵も温情を掛けて攻撃しないみたいな、まさかそんなこと考えていませんよね。同時に起きますよ。だから、同時に想定することが危機管理のこれ基本であります。

この議論を更に深めるために、あえて具体的な地域を挙げて比較をさせていただきます。沖縄であります。

もし、本法案が言うように、東京圏との同時被災の可能性が低い地域を純粋に自然災害の観点から選ぶのであれば、大阪よりも当然、沖縄の方が高い比較優位性を持つという見方もできるのではないでしょうか。南海トラフ巨大地震が発生した場合、東京圏と大阪は同時に被災する可能性が高い一方、沖縄が同時に被災する可能性は極めて低いと考えられます。

しかし、ここに、先ほど言った戦争、武力攻撃の想定を重ね合わせると話は一変します。沖縄は地政学的な最前線であり、国防の最前線であり、武力攻撃事態においては極めて脆弱な地域となり得ます。だからこそ、バックアップ拠点としては慎重にならざるを得ません。

つまり、何が言いたいかというと、沖縄をこれ例に取って、戦争と災害の両方をテーブルにのせて初めて、真に強靱な代替地はどこかという国家安全保障の議論ができるのではないでしょうか。僕はそう信じます。

さらに、世界における危機管理の水準、アメリカですけれどもね、アメリカでは、これCOGですね、コンティニュイティー・オブ・ガバメントです、これ政府継続性計画といいます。これを見ると、平時から特定の都市を副都市として指定し、そこに権限や予算を集中させて都市開発を行う発想は一般的ではありません、一般的ではありません。アメリカで重視されているのは、拠点を固定化しない、状況に応じて動的に運用する、動的な分散であります。ワシントンDCが機能停止した場合でも、政府は特定の都市に逃れるのではなくて、地理的に分散された複数の代替施設を状況に応じて、状況に応じてです、動的に運用します。固定化するのではありません。

各省庁の権限は、異なる地方オフィスへと自動的に移譲させる仕組み、いわゆるこれをディボリューションといいます、権限移譲が取られます。このディボリューションとは、本部が機能不全になった場合に備えて、あらかじめ権限と業務をどこに移すかを決めておく仕組みのことをいいます。つまり、敵に狙わせる固定目標をつくらず、国家の機能そのものを生き残らせるための設計です。その理由で代替拠点をあえて非公開にすることも、これも現代の危機管理のリアリズムであります。

例えば国務省、日本の外務省ですね、国務省であれば、第二国務省をつくっておくのではありません。そういう発想ではない。本省が消滅しても、世界中の大使館との通信を維持し、外交を止めないこと、これが重要なんですね。そのために、通信手段の多重化と、権限を地方やアメリカ自身の在外公館に逃がす、権限を逃がすという発想、そっちに金を掛けるという発想であります。

重要なのは、第二の首都という箱物をつくることではありません。権限移譲です。権限移譲による指揮命令系統の補完、この設計であります。これが重要。

ところが、この法案は、この本法案は、その設計よりも副首都という箱物の整備が先に立っております。バックアップ拠点を特定の都市に固定することは、同時被災リスクを高めるだけでなく、有事において敵からの攻撃目標を自ら提供することにほかなりません。それにもかかわらず、本法案は、副首都という固定的な拠点を平時からつくり、さらに、特別区を包括する都道府県を都に変更できる制度まで盛り込んでいます。これは、国家の危機管理の制度設計というよりは、特定の自治体を都にするという地方自治の思惑をこの法案に中に埋め込んでいるように見えてしまいます、残念ながら。

これは、有事における、本当に有事における国家のガバナンスを強くするための制度なのか、法案なのか、それとも、特定の地域政治の、地方政治の思惑を危機管理の名を借りて進めるための制度なのか、お伺いします、提出者に。お願いします。

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