平口洋 (自由民主党)法務大臣

2026年6月19日・第221回国会 参議院 本会議 第23号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 15 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 54 発言)

川合孝典議員にお答え申し上げます。

まず、証拠の一覧表の必要性についてお尋ねがありました。

仮に犯人でない人が有罪判決を受け、再審請求をする場合には、確定審の証拠や判決の内容から、判決のどの部分が誤っているかを把握していると考えられ、検察官に提出を命ぜられるべき証拠としてどのような証拠があり得るかについては、ある程度想定することが可能であると考えられます。

また、提出命令の対象となる証拠の特定は、請求に係る証拠を識別できる程度のもので足りるところ、再審請求者側においてその程度の特定を行うことは、証拠の一覧表がなくても比較的容易であると考えています。

そのため、証拠の提出命令の請求等に際して、証拠の一覧表が効果的な場面は限定的であると考えております。

次に、証拠の一覧表の作成に伴う負担についてお尋ねがありました。

まず、御指摘の答弁は、あくまでも、再審請求者側に送致書類等目録を開示、交付することとした場合、業務負担が生じるのかといった御質問をいただいたことから、これに対して、一定の作業を要することとなる旨をお答えしたものにとどまります。

その上で、御指摘の証拠の一覧表が通常審における証拠の一覧表の交付制度の一覧表と同様のものを想定しているのだとしますと、証拠の一覧表の開示、交付の制度を設けることについては、先ほど申し上げたとおり、証拠の提出命令の請求等に際して、証拠の一覧表が効果的な場面は限定的であると考えられる一方で、再審請求審の審理の在り方や手続構造との整合性に問題があることから、慎重な検討を要するものと考えています。

証拠の一覧表については、相応の事務負担が生ずると考えられますが、それを理由として証拠の一覧表の開示、交付の制度を設けるべきでないと考えているものではありません。

次に、重大事件の証拠管理についてお尋ねがありました。

捜査機関においては、一般に、捜査の過程で取得した証拠について、刑事訴訟法等の法令等の規定や趣旨に従って適正に取り扱っているものと承知しています。

具体的には、検察官は、警察等から送られた、警察等から送致を受けた証拠や自ら収集した証拠を選別し、必要な証拠の取調べを請求するほか、その余の手持ち証拠についても、被告人側からの証拠開示請求に対応し、又は自ら更に取調べを請求することに備え、各事件ごとにその適正な管理に努めているものと承知しています。

次に、証拠の一覧表の開示方法についてお尋ねがありました。

御指摘の証拠の一覧表が通常審における証拠の一覧表の交付制度の一覧表と同様のものを想定しているのだとしますと、通常審の場合と同様に、関係者の名誉、プライバシーに考慮した、配慮した開示、交付の方法というものもあり得ると思われます。

もっとも、証拠の一覧表の開示、交付の制度を設けることについては、先ほど申し上げたとおり、証拠の提出命令の請求等に際して、証拠の一覧表が効果的な場合は限定的であると考えられる一方で、再審請求審の審理の在り方や手続構造との整合性に問題があることから、慎重な検討を要するものと考えています。

その上で、現行法の下では、再審請求審において、裁判所が検察官に対し特定の範囲の証拠の一覧表の提示、提出を勧告するなどの運用の例が見られるところ、こうした運用は、本法律案により証拠の提出命令制度が導入された場合も引き続き可能であり、関係者の名誉、プライバシー等にも配慮しつつ、実際に行われていくものとなると考えています。

次に、証拠を弁護人に直接開示する制度としない理由についてお尋ねがありました。

再審請求審は、通常審とは異なり、職権主義の下、裁判所が主体的に再審請求理由について審理する手続であることから、本法律案では、裁判所が審理に必要と認めた証拠について、検察官に裁判所への提出を命ずる制度としています。

その上で、裁判所に提出された証拠は弁護人が閲覧、謄写することができる上、再審請求者が弁護人を選任していない場合における証拠の閲覧についても、裁判所において、個別の事案に応じ、適切に対応されるものと考えています。

また、個別の事案に応じて、例えば、検察官が裁判所に証拠を提出するのと併せて、その写しを再審請求者側に交付するといった運用も否定されないと考えています。

次に、証拠の目的外使用の禁止に対する懸念についてお尋ねがありました。

再審請求事件における支援活動や報道の重要性については十分に認識しています。その上で、証拠が本来の目的以外に使用されると、関係者の名誉、プライバシーの侵害等の様々な弊害が生じ得ることなどから、本法律案においては、証拠の目的外使用を罰則をもって禁止することとしています。

もっとも、証拠の複製等を再審手続やその準備に使用することはもとより許される上、証拠の概要を伝達するなどの行為は禁止されません。また、弁護人による目的外使用が罰則の対象となるのは、対価として利益を得る目的であった場合に限られます。

そして、目的外使用の禁止に違反した場合の罰則の適用に当たっても、複製等の内容、行為の目的、態様などの個別の事情を考慮することとなります。

そのため、証拠の目的外使用の禁止により不当な事態が生ずることはないと考えていますが、本法律案が改正法として成立した場合には、個別の事案に応じた適切な運用がされるよう、規定の趣旨等について十分な周知を図ってまいります。

次に、証拠の目的外使用の禁止規定の適用範囲についてお尋ねがありました。

本法律案では、再審請求審において、謄写された証拠の複製等を再審手続等又はその準備に使用する目的以外の目的で人に交付するなどの行為を禁止することとしています。

これは、通常審における目的外使用の禁止規定に倣ったものであり、その適用範囲は規定上十分に明確である一方、証拠の使用目的の判断は、個別の事案ごとに具体的な事実関係等を踏まえて判断されるべき事柄であることから、これ以上詳細な要件や基準を適切な形で定めることは困難であると考えていますが、本法律案が改正法として成立した場合には、適切な運用がされるよう、規定の趣旨等について十分な周知を図ってまいります。

次に、再審をめぐる報道における証拠の使用についてお尋ねがありました。

再審請求者等でない報道機関は、本法律案における証拠の目的外使用の禁止の名宛て人ではないことから、再審請求審で謄写された証拠の複製等を用いて報道を行うことが禁止されるものではありません。

また、個別の事案ごとの判断となりますが、例えば弁護人が証拠の複製等を報道機関に再審手続の準備に使用する目的で提示したと認められる場合には、目的外使用の禁止違反とはならず、そのことは、後に当該報道機関が当該複製等そのものを報道により公表したとしても、異なるものではないと考えられます。

次に、再審における世論喚起の必要性についてお尋ねがありました。

もとより、刑事裁判は法と証拠に基づいて適切に行われるべきものですが、先ほど申し上げたとおり、再審請求事件における支援活動や報道の重要性については私としても十分に認識しております。その上で、関係者の名誉、プライバシーの保護等の観点から、本法律案においては、証拠の目的外使用を罰則をもって禁止することとしていますが、先ほど申し上げたとおり、これにより不当な事態が生ずることはないと考えています。

最後に、再審開始決定に対する抗告を例外的に認める理由についてお尋ねがありました。

再審開始決定に対する抗告を全面的に禁止することについては、本来やり直すべきでない裁判でも直ちにやり直されることとなり、裁判の確定の意義が損なわれること、上級審における審査の機会がなくなり、裁判所による慎重、適正な判断の制度的担保がなくなることなどの問題があり、それらは再審公判における有罪立証等によって解決される事柄ではないと考えています。

その上で、本法律案では、近時、再審開始決定に対する抗告により再審手続が長期化しているなどの厳しい御指摘、御批判があることを踏まえ、再審開始決定に対する抗告を原則として禁止し、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限ってすることができることとしています。(拍手)

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