田岡直博香川県弁護士会弁護士

2026年6月25日・第221回国会 参議院 法務委員会 第18号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 25 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 115 発言)

私は、この証拠提出命令ができたことによって、従来の実務運用として行われてきた証拠の開示がむしろ後退するのではないかという懸念を持っております。

なぜかと申しますと、従来、通常審における証拠開示制度を参考に証拠開示の勧告や証拠開示の運用がなされてきたからです。通常審では、類型証拠開示と主張関連証拠開示という二本立ての証拠開示制度になっておりまして、この類型証拠開示が非常に重要なんです。

例えば、現場にあった証拠物、実況見分調書、検証調書、鑑定書、それから関係者の未開示の供述調書、こういったものは、本来、主張と関係なしに当然開示すべきである、なぜなら防御のために重要であるし、それによる弊害というものもほとんど考えられないからだということで、今、通常審では、平成十六年改正以降、当然これらは開示されているんです。それに加えて、弁護人の主張に関連する証拠も開示される、これが主張関連証拠開示なんです。

今回の再審請求審で、日弁連は、この二本を作るべきだと言ったんですが、結果的に残ったのは後の方だけ。つまり、再審請求の主張に関連する証拠開示、これが再審請求理由と関連する証拠提出命令の制度なんですね。

そうすると、じゃ、類型はどこに行ったんだと。これが今言われている任意での開示だと、それが可能なんだというんですが、どうしたってこの新しい制度ができますと、再審請求人の主張と関連する証拠だけ開示すればいいんでしょうと、だって成瀬さんもそう言っているじゃないですかと、こういうふうになりますと、いや、幅広く現場にあったものを開示させないと、本当に真犯人でなかった場合に、現場にもしかしたら犯人でない人の第三者のDNAがあるかもしれませんよと言っても、そもそも開示すらしてもらえないという形で、従来の実務運用を後退しかねないことになっています。裁判所が勧告するといったって、勧告を今までしてきたものがこれからできなくなってしまうと、検察官もそれに応じなくなってしまいます。

成瀬さんも「法学教室」の論文では、この従来の実務運用は明文規定がない中で生み出された実務上の知恵として評価する余地もあろうと、こうおっしゃっておられたわけですよ。この実務上の知恵を今後もやっていくでしょうというのは成瀬さんの今の単なる期待ですぎませんで、実務の現場としては、こういう証拠ができちゃったら、証拠提出命令の制度ができちゃったら、関連する証拠だけに限定されてしまう、そのおそれがあるから類型証拠のような証拠は必ず開示させるような権限を裁判所に認めさせるべきだというふうに私どもは考えております。

以上です。

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