佐藤淳法務省刑事局長

2026年6月23日・第221回国会 参議院 法務委員会 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 185 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 268 発言)

お答えいたします。

先ほど来答弁している再審請求審における職権主義の構造と、通常審における当事者主義の構造という手続構造論の違いがまず一つあるのは先ほど答弁したとおりでございます。

その上で、通常審と再審請求審における、それぞれにおける被告人側また再審請求者側による証拠の把握の困難性の違いという観点から申し上げますと、通常審におきましては、検察官が起訴状を裁判所に提出することで訴追が開始されまして、これにより被告人は防御すべき立場に置かれるわけでございます。公判前整理手続におきまして、被告人、弁護人は、検察官から取調べ請求予定証拠の開示を受けることで、検察官が立証に用いる証拠の内容を知るわけであります。この証拠開示に関しまして、被告人、弁護人は、検察官請求証拠の信用性や証明力を吟味するために類型証拠の開示を請求し、さらに自己の主張を支える証拠の有無を把握するために主張関連証拠の開示を請求することとなるということでございます。

これらの開示請求というのは、検察官による立証が開始される局面において応訴することを余儀なくされることを前提として、防御のために行われるものでございますので、それらの開示請求をするに当たっての手掛かりといたしまして証拠の一覧表の交付制度が設けられているものでございます。

これに対しまして、再審請求審におきましては、通常審において三審制の下で既に審理が行われておりまして、検察官の手持ち証拠についても、刑事訴訟法の規定に従って既に開示を受けている上に、確定判決において有罪認定の根拠となった証拠についても判示されているということでございますので、犯人でないのに有罪判決を受けた者であれば、確定判決のどこに問題があるかは把握できるのが通常であると考えられまして、それを前提といたしまして、通常、どのような証拠が収集されるかを念頭に置きつつ、証拠の提出命令を請求することが可能であると考えられるところでございます。

この提出命令の対象となる証拠の特定と申し上げますのは、請求に係る証拠を識別できる程度のもので足りるわけでございまして、その程度の特定を行うことは証拠の一覧表がなくても容易であると、十分に可能であると考えられる上に、再審請求審におきましては、通常審におきまして公判前整理手続を行ったような場合のように、その手続終了後の証拠調べ請求の制限などは全くございませんので、裁判所に対する提出命令の請求を順次行うことによりまして、新たに発見された証拠に基づいて再審請求理由を追加することも可能ということでございます。

通常審と再審請求審とではこのような違いがあるわけでございまして、こうした違いを捨象して、通常審における証拠の一覧表の交付制度と同様の制度を再審請求についても設けることは相当ではないというふうに考えているところであります。

他方で、この法律案におきましては、裁判所が証拠の提出を命ずるか否かを判断するに当たりまして、必要があると認めるときには、証拠そのものの提示であるとか標目の一覧表の提示を命ずることができるとしているところでございまして、この一覧表は関連性のある証拠がないかどうかを見極めるためのものでございまして、事案に応じて範囲を広く指定することも可能でありまして、問題は、そのような裁判所の心証を得るような主張、立証を再審請求人側におきましてもちゃんと主張、立証して裁判所の理解を得るということが先生の御指摘を踏まえると重要なのではないかというふうに考えるところでございます。

前後のやりとり

181の発言を見る

189の発言を見る