平口洋 (自由民主党)法務大臣

2026年6月23日・第221回国会 参議院 法務委員会 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 5 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 268 発言)

刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

罪を犯していない人が処罰されることはあってはならず、仮に犯人でない人を有罪とする確定裁判があれば、速やかに救済されなければなりません。再審制度は、そのための非常救済手続であり、重要な意義を有するものです。

しかし、近時、一部の再審無罪事件において、再審の請求から再審無罪判決の確定までに相当な長期間を要し、再審請求者等に大きな負担を生じる事態となっています。

そして、こうした事態の原因に関し、捜査機関が保管する裁判所不提出記録の提出までに多くの時間を要しているといった指摘や、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てにより再審の手続が長期化しているといった指摘がなされているほか、刑事訴訟法上、再審請求審の手続に関する規定が少なく、裁判所の裁量に委ねられている部分が多いことなどを理由に、再審請求者等の手続保障が十分でないといった指摘がなされています。

こうした事態や様々な指摘は、従来の再審制度やその運用の在り方に大きな反省を迫るものであり、これを真摯に受け止めた上で、再審制度の趣旨に立ち返りつつ、反省、改善すべき点について速やかに手当てを講ずる必要があります。

そこで、この法律案は、こうしたことを踏まえ、再審請求者等の手続保障の充実や再審請求審の手続の円滑化、迅速化を図りつつ、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。

この法律案の要点を申し上げます。

第一は、再審請求審における証拠の提出命令に関する規定の整備であります。すなわち、審判開始の決定をした裁判所は、一定要件の下で、検察官に対し、再審の請求に関連すると認められる証拠の提出を命じなければならないこととするとともに、再審の請求の手続において謄写された検察官提出証拠の複製等の適正管理及び目的外使用の禁止に関する規定を整備するなどの措置を講ずるものであります。

第二は、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てに関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定等に対しては、当該決定等が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、即時抗告等をすることができることとするとともに、政府は、再審開始の決定等があったときは、遅滞なく、その旨並びに検察官が当該決定等に対する即時抗告等をしたかどうか及び当該即時抗告等をした場合におけるその理由を公表することとするものであります。

第三は、再審の手続における裁判官の除斥に関する規定の整備であります。すなわち、通常審における判決等に関与した裁判官を一定の範囲で再審の請求の手続及び再審公判から除斥するとともに、再審の請求についての決定に関与した裁判官を一定の範囲で再審公判から除斥することとするものであります。

第四は、再審請求審において審理を要する事件を選別するための調査手続及び審理を要すると判断された事件についての審判手続に関する規定等の整備であります。すなわち、再審の請求を受けた裁判所は、遅滞なく、その請求について調査しなければならないこととし、当該裁判所は、調査の結果に基づいて、審判開始の決定又は再審開始の決定若しくは再審の請求を棄却する決定をしなければならないこととするとともに、再審請求者等は、審判開始の決定をした裁判所に対し、事実の取調べを請求することができることとし、当該裁判所は、審理終結日及び決定日を定めた上、それらの日を再審請求者等に通知しなければならないこととするほか、再審の請求に係る一定の決定に対する即時抗告等の提起期間を延長するなどの措置を講ずるものであります。

第五は、再審請求審に要した費用の補償に関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定が確定した事件について、無罪の判決が確定したときは、一定の範囲で、その再審の請求の手続に要した費用の補償をすることとするものであります。

このほか、近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、再審開始の決定等に対する不服申立てについて、その係属する裁判所の決定が事件の受理日から一年以内にされるよう努めなければならないこととすることを含め、所要の規定の整備を行うこととしております。

政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において一部修正が行われております。

何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。

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