お答えいたします。
今の御指摘の高速度類型の数値基準を定めるに当たって参考としているのは、法制審議会の部会における自動車工学の専門家のヒアリングで示された理論的な回避限界速度でございます。これは、天候等の条件を捨象した物理モデルを用いて算出されたものでございます。
具体的には、まず直線道路において、前方にある障害物をハンドル操作による横移動のみによって回避する、具体的には、約一車線分に相当する三・五メートルの横距離を、横の距離をブレーキ操作等は行わずにハンドル操作のみによって移動して安全に回避することをまず想定いたしまして、そうした条件下において、最高速度を遵守していれば確実に回避できると言える最も近い障害物までの距離を算出した上で、その距離にある障害物を同じくハンドル操作のみによる横移動でおよそ回避できなくなると理論的に考えられる限界速度を算出するというものでございました。
その上で、最高速度が低い場合につきましては、同様の条件下で、ブレーキ操作のみによって、ハンドルではなくてブレーキ操作のみによって前方の障害物をおよそ回避できなくなると理論的に考えられる限界速度についても算出していただいたところでございます。
改正後のこの数値基準は、このようにして算出された理論的な回避限界速度を参考にしつつ、道路交通に関する社会通念も考慮して、危険運転致死傷罪として処罰すべき高度の危険性及び悪質性が認められる速度を定めたというところでございます。
80
横山信一(公明)
重い法定刑なので、しかも今回の基準というのは専門家等の科学的な裏付けをもって作っているということであるのでということなんですけれども、社会的な要請によって変わる可能性も、数値基準、今までもこの危険運転致死傷罪については幾つもの変遷を経ているわけですから、そういう意味では、社会的な背景の中で今後も変わる可能性もあるというふうに考えています。
現行の危険運転致死傷罪の高速度類型は、その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為というふうに定められていますけれども、具体的にどのような行為が想定されているのか、伺います。
この発言のページ
81佐佐藤淳法務省刑事局長
お答えいたします。
現行の自動車運転死傷処罰法第二条第二号のその進行を制御することが困難な高速度とは、一般に、速度が速過ぎるため道路の状況に応じて進行することが困難な速度を意味するものとされております。具体的には、例えばカーブを曲がり切れないような高速度で自車を走行させるなど、そのような速度の走行を続ければ、道路の状況や車両の構造、性能等の客観的事実に照らして、あるいはハンドルやブレーキの操作の僅かなミスによって自車を進路から逸脱させて事故を発生させることとなると認められる速度をいうと解されているところでございます。
この発言のページ
82
横山信一(公明)
分かりました。
この高速度類型の数値基準なんですけれども、法務省はこの数値の根拠に、自動車工学の専門家によって示された、最高速度を遵守していれば回避できた障害物を回避することができなくなる理論的な限界速度というのを挙げています。しかし、これは、天候や気温によって変わるものだと私は思いますけれども、具体的にはどういう条件下で算定された速度なのか、伺います。
この発言のページ
- (上の発言)
83佐佐藤淳法務省刑事局長
お答えいたします。
今の御指摘の高速度類型の数値基準を定めるに当たって参考としているのは、法制審議会の部会における自動車工学の専門家のヒアリングで示された理論的な回避限界速度でございます。これは、天候等の条件を捨象した物理モデルを用いて算出されたものでございます。
具体的には、まず直線道路において、前方にある障害物をハンドル操作による横移動のみによって回避する、具体的には、約一車線分に相当する三・五メートルの横距離を、横の距離をブレーキ操作等は行わずにハンドル操作のみによって移動して安全に回避することをまず想定いたしまして、そうした条件下において、最高速度を遵守していれば確実に回避できると言える最も近い障害物までの距離を算出した上で、その距離にある障害物を同じくハンドル操作のみによる横移動でおよそ回避できなくなると理論的に考えられる限界速度を算出するというものでございました。
その上で、最高速度が低い場合につきましては、同様の条件下で、ブレーキ操作のみによって、ハンドルではなくてブレーキ操作のみによって前方の障害物をおよそ回避できなくなると理論的に考えられる限界速度についても算出していただいたところでございます。
改正後のこの数値基準は、このようにして算出された理論的な回避限界速度を参考にしつつ、道路交通に関する社会通念も考慮して、危険運転致死傷罪として処罰すべき高度の危険性及び悪質性が認められる速度を定めたというところでございます。
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横山信一(公明)
次に、ながら運転について伺います。
スマートフォンを注視した運転による死傷事案が広く報道されるなど、一般的に危険な行為として認識されているというふうに思います。自動車の運転中にスマートフォンへ神経が集中した場合、現行の危険運転致死傷罪の実質要件にある正常な運転が困難な状態に匹敵するのではないかというふうに考えます。
ながら運転は、本法律案の検討会で論点の一つになったということも承知をしておりますけれども、この正常な運転が困難な状態になるこのながら運転を新たな類型として検討すべきではないかというふうに考えますが、副大臣に伺います。
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85
三谷英弘(自民)法務副大臣
お答えいたします。
委員がおっしゃるとおり、このスマートフォンを使用又は注視しながらの運転行為等のいわゆるながら運転というものは、一般的に危険な行為と言われるのはそのとおりだというふうに思っておりますが、これを危険運転致死傷罪の対象とすることについては、もう御指摘のとおり、この令和六年に法務省において開催いたしました自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会において、交通事犯被害者遺族の御要望等も踏まえて議論が行われたところでございます。
この点、このながら運転には、危険運転致死傷罪として処罰すべき危険性、悪質性を有するものが含まれるものの、他…
この発言のページ
86
横山信一(公明)
最後になりますけれども、この本法律案の正常な運転が困難な状態という実質要件が残されています。これらの実質要件の運用においては、検察には刑事手続における厳格で厳正な立証活動が求められます。この法案の施行にどのような覚悟で取り組んでいくのか、最後、大臣に伺います。
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