次に、契約そのものの問題について伺います。
文化庁が二〇二〇年に実施した芸術家や実演家などの文化芸術活動に関わる方々へのアンケートによれば、報酬や仕事内容が明示されていなかったことがあった人が一九・六%、不利な条件での受託を求められたことがある方が一三・三%に上っています。さらに、問題があっても今後の活動への影響を懸念して交渉せずに受け入れた人が五〇・九%と半数を超えています。つまり、権利があってもそれを現実の契約の中では十分に主張できない、非常に弱い立場に置かれているわけです。特に、個人で活動する実演家にとっては、仕事を失うかもしれないという不安の中で、条件交渉そのものが難しい場合も少なくないと思います。
また、検討会議で、早稲田大学の上野達弘教授から、日本の著作権法というのは権利を与えるだけで、その後の契約を十分に規律しておらず、欧州の著作権契約法のように比例報酬原則や情報提供義務による透明性確保が参考になるという意見もあったようです。
そこで、お尋ねをいたします。我が国においても実演家が確実に守られるように、単に権利をつくるだけではなくて、利用条件や収益情報の開示、適正な利益分配、契約の透明性を含む契約法制の整備まで検討するべきではないでしょうか。そこのところの見解をお伺いいたします。
193日日向信和文化庁次長
お答えいたします。
現在検討中のレコード演奏・伝達権につきまして、文化審議会の報告書におきましては、実演家の権利は実演家を構成員とする団体で文化庁が指定した団体において管理をすること、当該指定団体は、各権利者に公正公平な分配がなされるよう、透明性の確保を始め適切な運営を行う必要があることが示されているところです。
また、報告書では、当該指定団体に対する監督や情報公開等の在り方について、先行して制度化されている放送二次使用料に関する指定団体制度を基に、文化庁長官による監督の仕組み等を設けるべき旨が示されております。
現在の著作権法におきましても、放送…
この発言のページ
194
中条きよし(維新)
ありがとうございます。
透明性と適正な分配が制度の根幹にあるという認識は是非徹底していただきたいと思います。
次に、映像分野における二次利用の契約の在り方について伺います。
映画の著作物とされる放送目的作品の再放送や二次利用の対価については、文化庁のFAQや契約ガイドラインにおいて、実演家の了解を得て映画の著作物に録音、録画された実演についてはその後の利用には著作隣接権が及ばない、いわゆるワンチャンス主義が示されています。
しかしながら、本来は映画を念頭に置いた考え方が、実際には放送目的の作品であるにもかかわらず、映画の著作物であるとされて出演契…
この発言のページ
195日日向信和文化庁次長
お答えいたします。
芸術家等が持続可能な形で活動を継続できるよう、契約を含めた活動環境を改善し、その活動基盤を強化することは大変重要と考えております。
文化庁におきましては、先生からも御質問で触れていただきましたが、文化芸術団体や弁護士、学識経験者等の委員から構成をされます文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けた検討会議を開催をし、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドラインを作成をしたところでございます。本ガイドラインでは二次利用も念頭に置いた契約条件を決めておくことの重要性について明記をさせていただき、令和四年度より様々な関係者を対象とし…
この発言のページ
- (上の発言)
196
中条きよし(維新)
次に、契約そのものの問題について伺います。
文化庁が二〇二〇年に実施した芸術家や実演家などの文化芸術活動に関わる方々へのアンケートによれば、報酬や仕事内容が明示されていなかったことがあった人が一九・六%、不利な条件での受託を求められたことがある方が一三・三%に上っています。さらに、問題があっても今後の活動への影響を懸念して交渉せずに受け入れた人が五〇・九%と半数を超えています。つまり、権利があってもそれを現実の契約の中では十分に主張できない、非常に弱い立場に置かれているわけです。特に、個人で活動する実演家にとっては、仕事を失うかもしれないという不安の中で、条件交渉そのものが難しい場合も少なくないと思います。
また、検討会議で、早稲田大学の上野達弘教授から、日本の著作権法というのは権利を与えるだけで、その後の契約を十分に規律しておらず、欧州の著作権契約法のように比例報酬原則や情報提供義務による透明性確保が参考になるという意見もあったようです。
そこで、お尋ねをいたします。我が国においても実演家が確実に守られるように、単に権利をつくるだけではなくて、利用条件や収益情報の開示、適正な利益分配、契約の透明性を含む契約法制の整備まで検討するべきではないでしょうか。そこのところの見解をお伺いいたします。
197日日向信和文化庁次長
お答えいたします。
令和二年に文化庁が行ったアンケート調査などを通じまして、文化芸術の担い手は小規模な団体やフリーランス等が多く、不利な条件の下で業務に従事せざるを得ない場合もあることを確認をしているところでございます。
これらを踏まえ、文化庁におきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、ガイドラインを公表させていただいたところでございます。また、令和四年度以降、毎年、このガイドライン又は令和六年に施行されましたフリーランス・事業者間取引適正化等法などの内容につきまして文化芸術関係者を対象とした研修会を行い、芸術家等の活動環境の改善に取り組んでいる…
この発言のページ
198
中条きよし(維新)
ありがとうございます。
制度設計や運営に当たっては実態を丁寧に見ていただきたいと思います。
さらに、国際的な指摘への対応について伺います。
国連のビジネスと人権の作業部会というのがありまして、訪日調査を踏まえた報告書において、日本のメディア、エンターテインメント分野では、不公正な請負関係の下でクリエーターが知的財産権の保護を不十分なままに契約を結びやすく、搾取されやすい環境に置かれていると指摘しています。これは、単なる個別のトラブルではなくて、実演家やクリエーターが構造的に弱い立場に置かれやすいという問題提起だと受け止めるべきだと思います。
文化…
この発言のページ
199日日向信和文化庁次長
お答えいたします。
国連のビジネスと人権作業部会から二〇二四年五月に報告があったことは承知をしておるところでございます。
文化庁におきましては、先ほど御答弁申し上げましたガイドラインの公表ですとか研修会の実施等を通じて芸術家等の活動環境の改善に取り組んでおります。
また、公正取引委員会におきまして、昨年十二月に映画、アニメの制作現場におけるクリエーターの取引環境に係る実態調査結果が公表されたところでございます。今後、その内容を踏まえた具体的な考え方を示す指針を策定、公表する予定というふうに伺っておるところでございます。
引き続き、関係省庁と連携を…
この発言のページ