宮本雄二元駐中国特命全権大使/公益財団法人日中友好会館会長

2026年5月13日・第221回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第3号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 39 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 69 発言)

高市発言の中身に関して、あれは日米安全保障条約絡みの話なんです。したがって、それが、中身そのものが間違っているということにはならないという御指摘はそのとおりです。

しかし、日中共同声明のときに、一つの中国の原則を、我々はぎりぎりまで頑張りましたが、しかし、ぎりぎりまで認めさせられている面もあるわけです。それが、十分理解し、尊重する、ポツダム宣言云々の共同声明の言い方になっているわけです。

同時に、あの当時、日本政府の共同声明に対する基本姿勢は、日米安保条約に一切影響を及ぼさない、日中の国交正常化は日米安保体制に影響を及ぼさないという大前提で交渉しました。そのときにはアメリカは台湾と相互防衛条約を持っていて、台湾を防衛する義務があって、台湾を防衛するために日米安保条約上、日本の基地を使うということで、一九七二年の事態でもう既に日米安保条約と日中共同声明というのはぶつかるんです。

ですから、台湾は、一つの中国ですから、中国からすると国内問題なんです。それをアメリカが助けに行くと。そうすると、日本からすると、台湾を国内問題として認めてしまうと、国連憲章で国内問題は内政不干渉ですから、干渉しちゃいけないことになるので、だから中国の立場を全部のめなかったわけです。一方、アメリカのこと、しかし、かなりのところをのんだと。そういうことを、日米安保条約を表に出せば全部ぶつかるんです、一九七二年から。だから、表に出さない曖昧戦略にしたんです。表に出した一九七二年の国交正常化は、実現しませんでした。だから、そこは曖昧戦略にして、その曖昧戦略を取っ払ったという意味において高市発言は問題があったんです。その中身のことではありません。

しかし、中国側はずっと、安倍元首相の台湾に関する発言、台湾有事は日本有事、安倍元首相は日米安保の有事であるとおっしゃっていますが、しかし、中国の中でそういう議論されるときには台湾有事は日本有事でストップなんです。すなわち、日米安保と関係なく、日本は台湾有事のときに軍事力を使って台湾を助けに行くと、そういう了解があるんです、理解が。その理解に基づいて中国側は今怒っているわけですね。ですから、ここは誤解なんです。日本国政府の中で、日米安保条約を離れて台湾云々という議論は一回もされたはずはないはずです。

したがって、そういうことからしますと、中国側の誤解、じゃ、誤解を解くためには直接話さないと駄目なんですね。そのためには対話が必要だと思っています。

前後のやりとり

35の発言を見る

43の発言を見る