皆さん、おはようございます。ニッセイ基礎研究所の三原です。
今日は、こういう機会をつくっていただき、ありがとうございます。今日は、社会福祉法等改正案について、独立した立場で十五分ほどお時間いただきたいと思っております。よろしくお願いします。
振り返りますと、この委員会にお招きいただくのは二年連続、三度目の出場でして、去年は改正医療法に関してお招きいただきました。医療提供体制改革の話をしたんですけれども、そのときに、介護保険の関係でも恐らく同じような法案が出ますと言って、介護のことも少し先取りして話させていただいたことを今でも覚えています。結果的に、二〇四〇年の提供体制改革に関して、医療と介護両面でこういう形をつくっていただき、意見陳述の機会をつくっていただいたのは大変有り難いことだと思っております。
それでは、資料を作ってまいりましたので、資料に沿って説明していきたいと思います。
例によって束ね法案ですので、全てを取り上げることはできません。なので、三つに絞ります。二〇四〇年を見据えた見直し、特に中山間・人口減少地域、特定地域への対応、そしてケアマネジメントの有料化、制度のはざま対応です。恐らく一番目で四分の三から三分の二ぐらいの時間を費やすことになると思いますので、最後の方、ばたばたになるかもしれませんが、御了承いただければと思います。
資料をおめくりいただいて三ページ目なんですけれども、先ほど菊池参考人の方からもありましたけれども、衆議院の参考人質疑の方で、介護保険、今回の特定地域は介護保険制度の破壊であるという意見が出たやに聞いています。これは、私のこの物言いが、この言葉遣いが妥当かどうかは別にして、こういった意見が出るのは、事情は理解できる、背景は理解できる、しているつもりです。
なぜかといいますと、介護保険制度の考え方と特定地域の考え方というのを少し対比させてみました。釈迦に説法ですけれども、介護保険というのは、二〇〇〇年にできたときに、高齢者に保険料の拠出を求める、そうすると、保険料を払うということは権利性が発生しますので、高齢者の自己選択、自己決定が重視される、さらに、その意思決定支援としてケアマネジメントを創設する、さらに、事業者と高齢者が対等な立場で契約を結ぶんだという仕組みでした。さらに、高齢者の選択の幅を広げるために準市場、民間企業の参入を認めるんだという話です。さらに、最も住民にとって身近な政府である地方自治体、ああ、市町村ですね、市町村に介護保険料の選定を、決定をしてもらって、そこに市民が参加すると、そういう考え方だったと思います。これは、当時できたとき、私はまだ駆け出しの新聞記者でしたけれども、何か世の中全体がユーフォリアに浸っていたような記憶が今でも鮮明に残っています。
それを特定地域と比較してみると、確かにジャンプしているということは否めないんだろうという気がします。具体的には、制度の考え方は保険給付から予算主義、事業費に変わりますので予算主義に変わります。そうすると、当然自治体の予算の管理が厳しくなる。既にこれは介護予防・日常生活支援総合事業で起きていることです。それから、提供体制の考え方に関しても、もう自治体でやっていくようなことが、介護保険部会の意見書の前に出た、二〇四〇年のサービス提供体制のあり方検討会でしたっけ、あそこの報告書の方にも出ています。さらに、都道府県がその制度を運営するように、基本的に都道府県が主体的に判断して市町村の意見と一緒に、市町村と一緒に運営するという仕組みになっているように見えますので、かなり制度がジャンプしているんだろうという気がします。
ただ、これを私は反対かと言われたら、賛否は、ちょっとこの後に述べるんですけど、明らかになかなかしにくいんですけれども、論理的だと思います。論理的とはどういうことかというと、もう先ほどるる意見が出ているとおり、もう人材の制約条件というのはこれからどんどん大きくなっていきます。そう考えると、お金の話というのは、国民になかなか厳しい話を求めなきゃいけない場面はありますけど、負担と給付の関係を考えてもらう、あるいは負担を求める赤字国債を発行する。
お金の話は正直言って何とかなる面があるわけですけど、さはさりながら、人の話はもう何ともしようがない。実際、中山間・人口減少地域の人としゃべっていると、こう言うわけですよ。もう配置基準を弾力化してもらわないと困りますとか、訪問介護の報酬は、もう社会福祉協議会でさえ撤退しましたと、だから包括払いにしてもらわないと困りますというような意見はよく聞きます。東京で聞かれる、ややもすると、原理原則の意見と地方での意見というのが、私はいつもギャップを感じています。
そう考えると、今回の制度改正というのは論理的だと私は思っています。つまり、ちょっと言葉は悪いですが、薄皮一枚、首の皮一枚サービスを維持する、その結果、その中山間・人口減少地域の暮らしを支えるんだという考え方自体は私は論理的だと思っています。
ただ、論理的だということと政策の賛否というのはまた別だと私は思っています。それが四ページ目で、特定地域のメリット、デメリットを整理しました。具体的には、利用者の視点、事業者の視点、自治体の視点、被保険者の視点です。これは当然、私は利用者になる可能性もあるし、被保険者の視点もあります。もう本当はここに主権者が入ると思うんですけれども、そういう整理を一回してみました、要素分解してみました。
そうすると、利用者の視点、事業者の視点、自治体の視点、被保険者の視点で見てみると、確かに、ちょっと言葉は悪いですが、首の皮一枚サービスが維持できれば反対給付としての給付は得られるということで、メリットがあると思います。ただ、これは、メリットを発揮するためには制度設計どうするのかという、介護報酬の水準を見てみないといけない、あるいは現場の運用を見てみなきゃいけないということで、かなり、メリットがどう発揮されるのかというのはちょっと見てみないと分からない。
さらに、どんな制度改正にしてもメリットとデメリットが両方あるわけですけれども、じゃ、メリットがデメリットを上回るような形、あるいはデメリットを小さくする必要があると思うんですけど、そこもちょっと読めない。
例えば定額払いのデメリットというのは、これは衆議院の附帯決議の方にも出ていますけど、必ずあるわけですね。医療経済学の教科書を読むと、定額払いというのは必ずメリット、デメリット両方あると書いてあります。デメリットは何かといいますと、必要なサービスが提供されない。事業者にとっては収入が同じになりますから、必要なサービスが提供されない、あるいは重度な人が断られる、そういったことが考えられる。
じゃ、デメリットの解消策としてはどんなことがあるのかということなんですけど、これも医療経済学の教科書には大体書いてあります。答えは三つぐらいしかないんだろうと思います。
一つは、出来高払、あるいは成績払いと組み合わせる。ただ、介護に関しては成績払いはちょっと難しいと思いますので、出来高払と適切に組み合わせる。完璧な報酬制度がありませんので、その出来高と包括を組み合わせる。いわゆる包括払いによって起きる、私ちょっと分かりやすく手抜きリスクと言っていますけど、手抜きリスクをカバーすると。
それから、住民の参加も含めた経営体のガバナンスを強化して透明性を高める、これは既に小規模多機能居宅介護やグループホームで起きている、導入されている話ですよね、これを地域全体で広げていくというイメージだと思います。この辺りは、介護保険部会意見書には確かに書いてあります、デメリット、定額払いのデメリットというのは。ただ、これは詳細は制度設計次第になっていますので、介護給付費分科会の方を見てみなきゃいけないということで、メリットが発揮されるのか、デメリットとデメリットとデメリットがきちんとメリットの方が大きくなるのかというのはちょっと見てみないと分からないというのが私の正直な感想です。
ですから、論理的な制度改正ですけど、現場が本当に回るのかというのはちょっと読めないと思っています。さらに、事務負担が増えるのは確実で、事務が複雑化するのは確実ですので、この辺りも論点だろうという気がします。
それから、民主的統制の観点で見てみると、ちょっとやはり問題かなという気がしています。つまり、介護報酬というのは省令や通知で決まっていますので、立法府及び内閣府が絡む場面はほとんどありません。介護報酬の改定率ぐらいですよね、内閣府、内閣が決められるのは。その結果、厚生労働省の行政裁量に委ねられることになります。これは何が起きるかというと、特定地域を例えば全て厚生労働省令に委ねると、特定地域がどんどんどんどん大きくなっていって、介護保険が主、特定地域が従という考え方だったのに、特定地域とその主従が逆転する、主客が逆転する可能性さえ私はあるんだろうという気がします。
そうすると、何のために介護保険料を払っているんですかという話になりませんかね。事業のために介護保険料を払うというのは何かちょっと違和感があります。そう考えると、例えば、特定地域の運営のその考え方は政令で定めるとか、場合によってはその地域の指定を政令で定めるとか、あるいは内閣が絡むような形にしないと、どんどんどんどんその制度の根幹が揺らいでいくことを私は懸念します。その意味では、立法府がきちんと行政の今の運用どうなっているのか確認するとか、あるいは現場での運用に関して定期的に報告を求めるようなことをしないと、制度の改正の制度の理念が結果的に揺らいでいく、そうなると、介護保険料何のために払っているのかということになりかねない、そこを私は恐れます。
では、特定地域を続いて、次の二番目の問題です。ケアマネジメント有料化ですけれども、これは先ほど菊池参考人からの方もありましたけれども、いわゆる一部の不適切な事案に関してケアマネジメントを有料化するという適正化策の一環として出てきたと理解しています。さらに、外形的に特定施設入居者生活介護と同じような類型、つまり、住まいとサービスが一体的に提供されているものに関してはケアマネジメントを有料化すると。均衡化の観点で私も合理的だと思います。
ただ、これも、どの、どういう住宅が対象になるのか、報酬がどうなるのかというのは見えないので、あるいは囲い込みの助長するリスクというのは業界団体から出ていますので、この辺りも制度設計の詳細見てみないとちょっと賛否が言えないかなと思っています。動向として今後注目したいと思っています。
それから、六ページ目、ケアマネジメントの有料化に関してなんですけど、これ本体の話ですね。財務省が七年、八年ずっと言ってきたわけですけど、有料化すれば質が上がるという財務省のロジックが私は全く理解できませんでした。これに対し、申し訳ないんですけど、誰も反論、私以外誰も反論していなくて、七年、八年ずっと議論が続いてきました。
で、もうこの議論はいいかげんに私はやめてしまって、ケアマネジャーの資格、ケアマネジャーの研修をどうするのか、ケアマネジャーの学びの意欲をどう引き出すのか、あるいはケアマネジャーが、例えば仕事と介護の両立支援とか八〇五〇問題とか、そういった社会福祉士として、ソーシャルワーカーとして、どうやったら働いていただけるのか、そういったところを、処遇改善も含めて、本来そこの方が私は議論が大事だろうという気がします。
特に、二〇四〇年のことを考えると、高齢者と一番身近に接しているケアマネジャーにもっとその介護保険の調整だけではなくてもう少し幅広く働いていただくということは、大変私は重要な、ケアマネジャーって社会資源だと思っていますので、そのケアマネジャーに対してどういう形できちんと働いてもらえるような環境をつくるのか、そこの方が私は本質的だったと思います。もうこれ以上この有料化の無駄な議論に私は時間を費やしていただきたくないと思っています。
最後に、制度のはざま対応です。
これは、重層的支援体制整備事業が予算が大幅にカットされて、共同通信でしたかね、今年の一月に報道されて、自治体の方でもかなり問題になっています。
何が起きているのかというのを私なりに整理したんですけれども、自治体、市町村の事例を、厚生労働省の老健事業で私は委員に入っているので市町村の状況を見ているんですけれども、見ていると、これ、事業頭、制度頭というのは私の造語なんですが、事業をやることが目的になっている、制度をやることが目的になっている、あとは好事例病と呼んでいるんですけれども、好事例でスキーム図だけを見て無批判にそれをまねてしまうと、そういったことがあります。
ただ、重層というのは、本来、私の理解では、その支援体制のプロセスづくりが大事であって、ちょっと工夫すればもっとうまくいくのにというところに予算を使う、あるいは、多機関連携とかほかの事業のこういう協働をやるときに、ちょっとうまく工夫すればうまくいくところに重層的支援体制整備事業を用いるんだというのが私の理解です。
ただ、それにもかかわらず、多くの市町村は重層をやることが目的になってしまった、ここは否めないんだろうという気がします。で、結果的に押し付け合いばっかりやっているとか、担当部署つくったんだけど丸投げされてしまうとか、そういった事例が見られます。
じゃ、これは市町村だけが問題かというと、それだけではありません。厚生労働省の私は問題もあったと思っています。つまり、参考資料の方に出ているんですけれども、骨太方針の表記を見てみますと、最初の二一年、二二年というのは重層的支援体制整備事業は比較的抑制的な文章になっていました。ただ、二三年の辺りから実施市町村の拡充という言葉が入ります。つまり、元々重層というのは、私の理解では制度をつくって、その市町村がだんだんだんだんと移行していって、で、じわじわ増えていくようなイメージだったと思っているんですけれども、制度創設者の本を読むとそうやって書いてあるんですけれども、厚生労働省の担当者も恐らく担当者が替わる過程で実施市町村の数に走ってしまった。私は、だから、国も自治体もこういう形式主義、員数主義に走った結果、こういうことが起きたんだろうと思います。
ただ、今回、予算カットして二、三年の制度の持続可能性は担保されたと厚生労働省は説明していますので、是非、市町村、この重層的支援体制整備事業、包括支援体制整備というのは、市町村、これからの二〇四〇年の課題を対応するために非常に大事な仕組みだと私は思っています。
自治体の信頼、国と自治体の信頼関係がなければこういう福祉制度は回りません、厚生労働省が直轄でやっているわけじゃありませんので。なので、是非、もうこういうことが二度とないように市町村を伴走支援する、そして国が、国や都道府県が市町村を伴走支援する、さらに地元大学とかコンサルがそういう支援をしていく、そういう形で二〇四〇年の提供体制改革に臨んでいただければなと思っているところであります。
済みません、拙い話でしたが、以上です。
御清聴ありがとうございました。
4
小川克巳(自民)
ありがとうございました。
次に、永井参考人にお願いいたします。永井参考人。
この発言のページ
5永永井幸子日本労働組合総連合会総合政策推進局長
連合総合政策推進局長の永井と申します。
本日は、意見表明の機会をいただき、ありがとうございます。
政府提出の社会福祉法等の一部を改正する法律案に関する連合の考え方につきまして申し述べます。
地域共生社会を推進していくこと、住み慣れた地域で暮らすことができるよう、医療、介護、生活支援などが一体的に提供される地域包括ケアを全国的に推進するという方向性については、連合は賛同しているところでございます。その上で、連合は、これまでの審議会等の議論の中で、主に労働者、利用者の立場で意見を述べてまいりました。本日は、その中から大きく五点に触れます。資料を配付して…
この発言のページ
6
小川克巳(自民)
ありがとうございました。
次に、三原参考人にお願いいたします。三原参考人。
この発言のページ
- (上の発言)
7三三原岳株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員
皆さん、おはようございます。ニッセイ基礎研究所の三原です。
今日は、こういう機会をつくっていただき、ありがとうございます。今日は、社会福祉法等改正案について、独立した立場で十五分ほどお時間いただきたいと思っております。よろしくお願いします。
振り返りますと、この委員会にお招きいただくのは二年連続、三度目の出場でして、去年は改正医療法に関してお招きいただきました。医療提供体制改革の話をしたんですけれども、そのときに、介護保険の関係でも恐らく同じような法案が出ますと言って、介護のことも少し先取りして話させていただいたことを今でも覚えています。結果的に、二〇四〇年の提供体制改革に関して、医療と介護両面でこういう形をつくっていただき、意見陳述の機会をつくっていただいたのは大変有り難いことだと思っております。
それでは、資料を作ってまいりましたので、資料に沿って説明していきたいと思います。
例によって束ね法案ですので、全てを取り上げることはできません。なので、三つに絞ります。二〇四〇年を見据えた見直し、特に中山間・人口減少地域、特定地域への対応、そしてケアマネジメントの有料化、制度のはざま対応です。恐らく一番目で四分の三から三分の二ぐらいの時間を費やすことになると思いますので、最後の方、ばたばたになるかもしれませんが、御了承いただければと思います。
資料をおめくりいただいて三ページ目なんですけれども、先ほど菊池参考人の方からもありましたけれども、衆議院の参考人質疑の方で、介護保険、今回の特定地域は介護保険制度の破壊であるという意見が出たやに聞いています。これは、私のこの物言いが、この言葉遣いが妥当かどうかは別にして、こういった意見が出るのは、事情は理解できる、背景は理解できる、しているつもりです。
なぜかといいますと、介護保険制度の考え方と特定地域の考え方というのを少し対比させてみました。釈迦に説法ですけれども、介護保険というのは、二〇〇〇年にできたときに、高齢者に保険料の拠出を求める、そうすると、保険料を払うということは権利性が発生しますので、高齢者の自己選択、自己決定が重視される、さらに、その意思決定支援としてケアマネジメントを創設する、さらに、事業者と高齢者が対等な立場で契約を結ぶんだという仕組みでした。さらに、高齢者の選択の幅を広げるために準市場、民間企業の参入を認めるんだという話です。さらに、最も住民にとって身近な政府である地方自治体、ああ、市町村ですね、市町村に介護保険料の選定を、決定をしてもらって、そこに市民が参加すると、そういう考え方だったと思います。これは、当時できたとき、私はまだ駆け出しの新聞記者でしたけれども、何か世の中全体がユーフォリアに浸っていたような記憶が今でも鮮明に残っています。
それを特定地域と比較してみると、確かにジャンプしているということは否めないんだろうという気がします。具体的には、制度の考え方は保険給付から予算主義、事業費に変わりますので予算主義に変わります。そうすると、当然自治体の予算の管理が厳しくなる。既にこれは介護予防・日常生活支援総合事業で起きていることです。それから、提供体制の考え方に関しても、もう自治体でやっていくようなことが、介護保険部会の意見書の前に出た、二〇四〇年のサービス提供体制のあり方検討会でしたっけ、あそこの報告書の方にも出ています。さらに、都道府県がその制度を運営するように、基本的に都道府県が主体的に判断して市町村の意見と一緒に、市町村と一緒に運営するという仕組みになっているように見えますので、かなり制度がジャンプしているんだろうという気がします。
ただ、これを私は反対かと言われたら、賛否は、ちょっとこの後に述べるんですけど、明らかになかなかしにくいんですけれども、論理的だと思います。論理的とはどういうことかというと、もう先ほどるる意見が出ているとおり、もう人材の制約条件というのはこれからどんどん大きくなっていきます。そう考えると、お金の話というのは、国民になかなか厳しい話を求めなきゃいけない場面はありますけど、負担と給付の関係を考えてもらう、あるいは負担を求める赤字国債を発行する。
お金の話は正直言って何とかなる面があるわけですけど、さはさりながら、人の話はもう何ともしようがない。実際、中山間・人口減少地域の人としゃべっていると、こう言うわけですよ。もう配置基準を弾力化してもらわないと困りますとか、訪問介護の報酬は、もう社会福祉協議会でさえ撤退しましたと、だから包括払いにしてもらわないと困りますというような意見はよく聞きます。東京で聞かれる、ややもすると、原理原則の意見と地方での意見というのが、私はいつもギャップを感じています。
そう考えると、今回の制度改正というのは論理的だと私は思っています。つまり、ちょっと言葉は悪いですが、薄皮一枚、首の皮一枚サービスを維持する、その結果、その中山間・人口減少地域の暮らしを支えるんだという考え方自体は私は論理的だと思っています。
ただ、論理的だということと政策の賛否というのはまた別だと私は思っています。それが四ページ目で、特定地域のメリット、デメリットを整理しました。具体的には、利用者の視点、事業者の視点、自治体の視点、被保険者の視点です。これは当然、私は利用者になる可能性もあるし、被保険者の視点もあります。もう本当はここに主権者が入ると思うんですけれども、そういう整理を一回してみました、要素分解してみました。
そうすると、利用者の視点、事業者の視点、自治体の視点、被保険者の視点で見てみると、確かに、ちょっと言葉は悪いですが、首の皮一枚サービスが維持できれば反対給付としての給付は得られるということで、メリットがあると思います。ただ、これは、メリットを発揮するためには制度設計どうするのかという、介護報酬の水準を見てみないといけない、あるいは現場の運用を見てみなきゃいけないということで、かなり、メリットがどう発揮されるのかというのはちょっと見てみないと分からない。
さらに、どんな制度改正にしてもメリットとデメリットが両方あるわけですけれども、じゃ、メリットがデメリットを上回るような形、あるいはデメリットを小さくする必要があると思うんですけど、そこもちょっと読めない。
例えば定額払いのデメリットというのは、これは衆議院の附帯決議の方にも出ていますけど、必ずあるわけですね。医療経済学の教科書を読むと、定額払いというのは必ずメリット、デメリット両方あると書いてあります。デメリットは何かといいますと、必要なサービスが提供されない。事業者にとっては収入が同じになりますから、必要なサービスが提供されない、あるいは重度な人が断られる、そういったことが考えられる。
じゃ、デメリットの解消策としてはどんなことがあるのかということなんですけど、これも医療経済学の教科書には大体書いてあります。答えは三つぐらいしかないんだろうと思います。
一つは、出来高払、あるいは成績払いと組み合わせる。ただ、介護に関しては成績払いはちょっと難しいと思いますので、出来高払と適切に組み合わせる。完璧な報酬制度がありませんので、その出来高と包括を組み合わせる。いわゆる包括払いによって起きる、私ちょっと分かりやすく手抜きリスクと言っていますけど、手抜きリスクをカバーすると。
それから、住民の参加も含めた経営体のガバナンスを強化して透明性を高める、これは既に小規模多機能居宅介護やグループホームで起きている、導入されている話ですよね、これを地域全体で広げていくというイメージだと思います。この辺りは、介護保険部会意見書には確かに書いてあります、デメリット、定額払いのデメリットというのは。ただ、これは詳細は制度設計次第になっていますので、介護給付費分科会の方を見てみなきゃいけないということで、メリットが発揮されるのか、デメリットとデメリットとデメリットがきちんとメリットの方が大きくなるのかというのはちょっと見てみないと分からないというのが私の正直な感想です。
ですから、論理的な制度改正ですけど、現場が本当に回るのかというのはちょっと読めないと思っています。さらに、事務負担が増えるのは確実で、事務が複雑化するのは確実ですので、この辺りも論点だろうという気がします。
それから、民主的統制の観点で見てみると、ちょっとやはり問題かなという気がしています。つまり、介護報酬というのは省令や通知で決まっていますので、立法府及び内閣府が絡む場面はほとんどありません。介護報酬の改定率ぐらいですよね、内閣府、内閣が決められるのは。その結果、厚生労働省の行政裁量に委ねられることになります。これは何が起きるかというと、特定地域を例えば全て厚生労働省令に委ねると、特定地域がどんどんどんどん大きくなっていって、介護保険が主、特定地域が従という考え方だったのに、特定地域とその主従が逆転する、主客が逆転する可能性さえ私はあるんだろうという気がします。
そうすると、何のために介護保険料を払っているんですかという話になりませんかね。事業のために介護保険料を払うというのは何かちょっと違和感があります。そう考えると、例えば、特定地域の運営のその考え方は政令で定めるとか、場合によってはその地域の指定を政令で定めるとか、あるいは内閣が絡むような形にしないと、どんどんどんどんその制度の根幹が揺らいでいくことを私は懸念します。その意味では、立法府がきちんと行政の今の運用どうなっているのか確認するとか、あるいは現場での運用に関して定期的に報告を求めるようなことをしないと、制度の改正の制度の理念が結果的に揺らいでいく、そうなると、介護保険料何のために払っているのかということになりかねない、そこを私は恐れます。
では、特定地域を続いて、次の二番目の問題です。ケアマネジメント有料化ですけれども、これは先ほど菊池参考人からの方もありましたけれども、いわゆる一部の不適切な事案に関してケアマネジメントを有料化するという適正化策の一環として出てきたと理解しています。さらに、外形的に特定施設入居者生活介護と同じような類型、つまり、住まいとサービスが一体的に提供されているものに関してはケアマネジメントを有料化すると。均衡化の観点で私も合理的だと思います。
ただ、これも、どの、どういう住宅が対象になるのか、報酬がどうなるのかというのは見えないので、あるいは囲い込みの助長するリスクというのは業界団体から出ていますので、この辺りも制度設計の詳細見てみないとちょっと賛否が言えないかなと思っています。動向として今後注目したいと思っています。
それから、六ページ目、ケアマネジメントの有料化に関してなんですけど、これ本体の話ですね。財務省が七年、八年ずっと言ってきたわけですけど、有料化すれば質が上がるという財務省のロジックが私は全く理解できませんでした。これに対し、申し訳ないんですけど、誰も反論、私以外誰も反論していなくて、七年、八年ずっと議論が続いてきました。
で、もうこの議論はいいかげんに私はやめてしまって、ケアマネジャーの資格、ケアマネジャーの研修をどうするのか、ケアマネジャーの学びの意欲をどう引き出すのか、あるいはケアマネジャーが、例えば仕事と介護の両立支援とか八〇五〇問題とか、そういった社会福祉士として、ソーシャルワーカーとして、どうやったら働いていただけるのか、そういったところを、処遇改善も含めて、本来そこの方が私は議論が大事だろうという気がします。
特に、二〇四〇年のことを考えると、高齢者と一番身近に接しているケアマネジャーにもっとその介護保険の調整だけではなくてもう少し幅広く働いていただくということは、大変私は重要な、ケアマネジャーって社会資源だと思っていますので、そのケアマネジャーに対してどういう形できちんと働いてもらえるような環境をつくるのか、そこの方が私は本質的だったと思います。もうこれ以上この有料化の無駄な議論に私は時間を費やしていただきたくないと思っています。
最後に、制度のはざま対応です。
これは、重層的支援体制整備事業が予算が大幅にカットされて、共同通信でしたかね、今年の一月に報道されて、自治体の方でもかなり問題になっています。
何が起きているのかというのを私なりに整理したんですけれども、自治体、市町村の事例を、厚生労働省の老健事業で私は委員に入っているので市町村の状況を見ているんですけれども、見ていると、これ、事業頭、制度頭というのは私の造語なんですが、事業をやることが目的になっている、制度をやることが目的になっている、あとは好事例病と呼んでいるんですけれども、好事例でスキーム図だけを見て無批判にそれをまねてしまうと、そういったことがあります。
ただ、重層というのは、本来、私の理解では、その支援体制のプロセスづくりが大事であって、ちょっと工夫すればもっとうまくいくのにというところに予算を使う、あるいは、多機関連携とかほかの事業のこういう協働をやるときに、ちょっとうまく工夫すればうまくいくところに重層的支援体制整備事業を用いるんだというのが私の理解です。
ただ、それにもかかわらず、多くの市町村は重層をやることが目的になってしまった、ここは否めないんだろうという気がします。で、結果的に押し付け合いばっかりやっているとか、担当部署つくったんだけど丸投げされてしまうとか、そういった事例が見られます。
じゃ、これは市町村だけが問題かというと、それだけではありません。厚生労働省の私は問題もあったと思っています。つまり、参考資料の方に出ているんですけれども、骨太方針の表記を見てみますと、最初の二一年、二二年というのは重層的支援体制整備事業は比較的抑制的な文章になっていました。ただ、二三年の辺りから実施市町村の拡充という言葉が入ります。つまり、元々重層というのは、私の理解では制度をつくって、その市町村がだんだんだんだんと移行していって、で、じわじわ増えていくようなイメージだったと思っているんですけれども、制度創設者の本を読むとそうやって書いてあるんですけれども、厚生労働省の担当者も恐らく担当者が替わる過程で実施市町村の数に走ってしまった。私は、だから、国も自治体もこういう形式主義、員数主義に走った結果、こういうことが起きたんだろうと思います。
ただ、今回、予算カットして二、三年の制度の持続可能性は担保されたと厚生労働省は説明していますので、是非、市町村、この重層的支援体制整備事業、包括支援体制整備というのは、市町村、これからの二〇四〇年の課題を対応するために非常に大事な仕組みだと私は思っています。
自治体の信頼、国と自治体の信頼関係がなければこういう福祉制度は回りません、厚生労働省が直轄でやっているわけじゃありませんので。なので、是非、もうこういうことが二度とないように市町村を伴走支援する、そして国が、国や都道府県が市町村を伴走支援する、さらに地元大学とかコンサルがそういう支援をしていく、そういう形で二〇四〇年の提供体制改革に臨んでいただければなと思っているところであります。
済みません、拙い話でしたが、以上です。
御清聴ありがとうございました。
8
小川克巳(自民)
ありがとうございました。
次に、志田参考人にお願いいたします。志田参考人。
この発言のページ
9志志田信也公益社団法人認知症の人と家族の会介護保険・社会保障専門委員会委員長
ありがとうございます。
公益社団法人認知症の人と家族の会の志田でございます。
本日は、参考人としてお招きいただき、大変ありがとうございます。
私は、認知症の人と家族の会の副代表理事を務めておりますが、山形県に住み、仕事では介護職、生活相談員、ケアマネジャーを経て、医療法人の介護事業の統括を担う介護労働者でもあります。また、東京で暮らしていた両親を呼び寄せ、十六年前に認知症の父を、昨年はこれまた認知症の母親のみとりを終えたばかりの介護家族でもあります。この場では、認知症の人と家族のために、そして介護保険を利用する側の立場として意見を申し上げます。
…
この発言のページ
10
小川克巳(自民)
ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言のページ