自由民主党・無所属の会の神田潤一です。
私は、与党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び修正案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
無辜の者が処罰されることは絶対に許されません。万が一そのような事態が生じた場合には、一刻も早くその救済が図られなければならず、再審制度は、そのための最後のとりでとして極めて重大な役割を担うものです。
しかし、近時、再審手続の長期化や、証拠開示をめぐる問題が深刻な課題として浮き彫りとなりました。特に、逮捕されてから再審無罪判決の確定まで、袴田事件では五十八年、福井女子中学生殺人事件でも三十八年かかり、日野町事件では、再審請求者が逮捕から二十三年後に亡くなり、それから更に十五年たった今年二月に再審開始が確定しました。
こうした事態は、刑事司法に対する国民の信頼を揺るがすものであり、その解決は立法府に課せられた急務です。
本法律案は、証拠の提出命令制度の創設や検察官の不服申立ての原則禁止を始めとする改正を通じて、誤判からの迅速な救済を実現するものであり、現行の再審制度の課題を解決し、制度を大きく前進させるものであると確信しています。
まず、証拠の提出命令制度について申し上げます。
再審請求審における証拠開示については、明文規定がないため、開示をめぐる争いが生じて審理が遅延するなどの問題がありました。本制度は、裁判所が、一定の要件の下、検察官に証拠の提出を命じなければならず、さらに、命令を受けた検察官に提出義務を負わせるものであり、必要な証拠の迅速な提出を実現するものです。
本制度については、提出される証拠の範囲が現状より狭くなるおそれがあるとの懸念も示されましたが、委員会審議を通じて、対象となる証拠の範囲は相当の広がりを持つ上、本制度は、従来の実務運用に加えて、裁判所と検察官に義務を課すものであることから、制度創設後も必要かつ十分な証拠が提出されることが明確となりました。
また、本法律案においては、証拠の提出命令制度の創設に伴い、再審手続について、証拠の目的外使用の禁止に関する規定を整備することとしています。証拠の目的外使用の禁止は、被害者等の関係者のプライバシーを保護し、捜査手法のような機微な情報の漏えいを防止することなどを目的とするものであり、重要な意義を有しています。
本規定の下でも、再審請求手続又はその準備を目的とする使用が許されることや、本規定に違反した場合の措置については、証拠の内容や行為の目的、態様など個別事情が考慮されることなどから、これにより、再審請求のための立証準備や支援活動等が不当に制約されるおそれはないことが委員会審議を通じて確認されました。
次に、再審開始決定に対する検察官の不服申立ての原則禁止について申し上げます。
再審開始決定に対する不服申立ては、確定判決による法的安定性の観点から重要な機能を果たすものです。もっとも、過去の再審無罪事件を見ると、検察官の不服申立てが結果的に再審手続を長期化させるだけに終わったものが存在することは否定できません。本法律案は、不服申立てを全面的に禁止するのではなく、原則禁止とし、十分な根拠がある場合に限って例外的に認めることで、法的安定性の要請と誤判からの迅速な救済という二つの要請を適切に調和させるものです。
再審開始決定に対する不服申立ての原則禁止については、実効性を欠くとの懸念も示されました。しかし、委員会審議を通じて、本法律案では、種々の実効性担保のための規定を設けており、十分な根拠を欠く場合には、通常、不服申立てが棄却されることなどから、十分に実効性が担保されていることが明らかになりました。
さらに、本法律案においては、再審開始決定に対する不服申立てがなされた場合には、再審請求手続の迅速化を図る観点から、申立ての受理日から一年以内に係属裁判所による決定がなされるように努めることともされています。
こうした点が、我々自由民主党内での三十二時間を超える激論や、今回の法務委員会での審議を通じて修正され、改善された一方で、全ての手続を法律の条文で縛ることは難しいとも考えられ、今回の法改正の立法趣旨が実現するかどうかは、本法律の成立後の検察や裁判所における運用に委ねられる面が残ってしまいます。
それでも、自由民主党内での議論や今国会での審議等を通じて、様々な論点について大変熱のこもった議論が行われ、幾つかの重要な点が修正され、改善されたことについては、私は、そのプロセス自体が、関係者が襟を正してこれからの運用をこれまで以上に適切なものへと向上させていくことにつながるのではないかという期待を持ちたいと考えています。そして、本法律案では、こうした我々の期待を五年ごとの見直しでしっかりと確認していくことも規定されております。
委員会においては、袴田巌さんの姉である袴田ひで子さんから、参考人としての意見陳述の中で、人間が作った法律を人間として改正していただきたいと、心の底から絞り出すような声での訴えがありました。
刑事司法だけでなく、それを現場で運用する検察や警察に対する国民からの信頼が問われているこの刑事訴訟法改正の議論では、かつて県警本部長もお務めになり、法務大臣政務官、法務副大臣も務めた平口法務大臣だからこそ、検察、警察の今後の在り方に対してリーダーシップを示すことができると確信します。
この法案が衆議院で可決された場合には、その先の参議院で、是非、冤罪被害者の心情に寄り添い、大臣御自身の言葉と強いリーダーシップを通じて、刑事司法に対する国民からの信頼の回復を果たしていただきたいと期待いたします。
これまで申し上げたとおり、本法律案については、委員会等において大変熱のこもった議論が重ねられ、そこで示された課題等を踏まえた修正案と併せて、幅広く支持され得るものとなりました。
なお、中道改革連合、チームみらい及び日本共産党共同提出の法律案については、考えを異にするものであり、反対いたします。
最後に、法務委員会で涙ながらに質問した我が党の先輩の言葉をかりれば、七十七年ぶりとなる本法律の改正案が一日も早く可決され、それが日本の刑事司法の信頼の回復のための転換点になり、大きな前進になることを期待しつつ、皆様の本法律案及び修正案への御賛同を心よりお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
10
森英介議長
討論の通告があります。順次これを許します。平林晃君。
〔平林晃君登壇〕
この発言のページ
11平平林晃(中道)
中道改革連合・無所属の平林晃です。
会派を代表し、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の政府提出案に反対、中道改革連合、チームみらい、日本共産党提出の対案、衆法第九号に賛成の立場から討論を行います。(拍手)
冤罪は、被害者やその御家族の人生を大きく狂わせ、時にはその生命をも奪いかねない国家による究極の人権侵害であり、この冤罪を救済する唯一の方法が再審制度です。法的安定性の重要性は言うまでもありませんが、一定の重大な瑕疵があった場合には、三審制の下で確定した有罪判決であっても是正することは当然であります。そして、憲法の理念に照らしても、無辜の救済が迅速かつ…
この発言のページ
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森英介議長
神田潤一君。
〔神田潤一君登壇〕
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- (上の発言)
13
神田潤一(自民)
自由民主党・無所属の会の神田潤一です。
私は、与党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び修正案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
無辜の者が処罰されることは絶対に許されません。万が一そのような事態が生じた場合には、一刻も早くその救済が図られなければならず、再審制度は、そのための最後のとりでとして極めて重大な役割を担うものです。
しかし、近時、再審手続の長期化や、証拠開示をめぐる問題が深刻な課題として浮き彫りとなりました。特に、逮捕されてから再審無罪判決の確定まで、袴田事件では五十八年、福井女子中学生殺人事件でも三十八年かかり、日野町事件では、再審請求者が逮捕から二十三年後に亡くなり、それから更に十五年たった今年二月に再審開始が確定しました。
こうした事態は、刑事司法に対する国民の信頼を揺るがすものであり、その解決は立法府に課せられた急務です。
本法律案は、証拠の提出命令制度の創設や検察官の不服申立ての原則禁止を始めとする改正を通じて、誤判からの迅速な救済を実現するものであり、現行の再審制度の課題を解決し、制度を大きく前進させるものであると確信しています。
まず、証拠の提出命令制度について申し上げます。
再審請求審における証拠開示については、明文規定がないため、開示をめぐる争いが生じて審理が遅延するなどの問題がありました。本制度は、裁判所が、一定の要件の下、検察官に証拠の提出を命じなければならず、さらに、命令を受けた検察官に提出義務を負わせるものであり、必要な証拠の迅速な提出を実現するものです。
本制度については、提出される証拠の範囲が現状より狭くなるおそれがあるとの懸念も示されましたが、委員会審議を通じて、対象となる証拠の範囲は相当の広がりを持つ上、本制度は、従来の実務運用に加えて、裁判所と検察官に義務を課すものであることから、制度創設後も必要かつ十分な証拠が提出されることが明確となりました。
また、本法律案においては、証拠の提出命令制度の創設に伴い、再審手続について、証拠の目的外使用の禁止に関する規定を整備することとしています。証拠の目的外使用の禁止は、被害者等の関係者のプライバシーを保護し、捜査手法のような機微な情報の漏えいを防止することなどを目的とするものであり、重要な意義を有しています。
本規定の下でも、再審請求手続又はその準備を目的とする使用が許されることや、本規定に違反した場合の措置については、証拠の内容や行為の目的、態様など個別事情が考慮されることなどから、これにより、再審請求のための立証準備や支援活動等が不当に制約されるおそれはないことが委員会審議を通じて確認されました。
次に、再審開始決定に対する検察官の不服申立ての原則禁止について申し上げます。
再審開始決定に対する不服申立ては、確定判決による法的安定性の観点から重要な機能を果たすものです。もっとも、過去の再審無罪事件を見ると、検察官の不服申立てが結果的に再審手続を長期化させるだけに終わったものが存在することは否定できません。本法律案は、不服申立てを全面的に禁止するのではなく、原則禁止とし、十分な根拠がある場合に限って例外的に認めることで、法的安定性の要請と誤判からの迅速な救済という二つの要請を適切に調和させるものです。
再審開始決定に対する不服申立ての原則禁止については、実効性を欠くとの懸念も示されました。しかし、委員会審議を通じて、本法律案では、種々の実効性担保のための規定を設けており、十分な根拠を欠く場合には、通常、不服申立てが棄却されることなどから、十分に実効性が担保されていることが明らかになりました。
さらに、本法律案においては、再審開始決定に対する不服申立てがなされた場合には、再審請求手続の迅速化を図る観点から、申立ての受理日から一年以内に係属裁判所による決定がなされるように努めることともされています。
こうした点が、我々自由民主党内での三十二時間を超える激論や、今回の法務委員会での審議を通じて修正され、改善された一方で、全ての手続を法律の条文で縛ることは難しいとも考えられ、今回の法改正の立法趣旨が実現するかどうかは、本法律の成立後の検察や裁判所における運用に委ねられる面が残ってしまいます。
それでも、自由民主党内での議論や今国会での審議等を通じて、様々な論点について大変熱のこもった議論が行われ、幾つかの重要な点が修正され、改善されたことについては、私は、そのプロセス自体が、関係者が襟を正してこれからの運用をこれまで以上に適切なものへと向上させていくことにつながるのではないかという期待を持ちたいと考えています。そして、本法律案では、こうした我々の期待を五年ごとの見直しでしっかりと確認していくことも規定されております。
委員会においては、袴田巌さんの姉である袴田ひで子さんから、参考人としての意見陳述の中で、人間が作った法律を人間として改正していただきたいと、心の底から絞り出すような声での訴えがありました。
刑事司法だけでなく、それを現場で運用する検察や警察に対する国民からの信頼が問われているこの刑事訴訟法改正の議論では、かつて県警本部長もお務めになり、法務大臣政務官、法務副大臣も務めた平口法務大臣だからこそ、検察、警察の今後の在り方に対してリーダーシップを示すことができると確信します。
この法案が衆議院で可決された場合には、その先の参議院で、是非、冤罪被害者の心情に寄り添い、大臣御自身の言葉と強いリーダーシップを通じて、刑事司法に対する国民からの信頼の回復を果たしていただきたいと期待いたします。
これまで申し上げたとおり、本法律案については、委員会等において大変熱のこもった議論が重ねられ、そこで示された課題等を踏まえた修正案と併せて、幅広く支持され得るものとなりました。
なお、中道改革連合、チームみらい及び日本共産党共同提出の法律案については、考えを異にするものであり、反対いたします。
最後に、法務委員会で涙ながらに質問した我が党の先輩の言葉をかりれば、七十七年ぶりとなる本法律の改正案が一日も早く可決され、それが日本の刑事司法の信頼の回復のための転換点になり、大きな前進になることを期待しつつ、皆様の本法律案及び修正案への御賛同を心よりお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
14
森英介議長
井戸まさえ君。
〔井戸まさえ君登壇〕
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15
井戸まさえ(国民)
国民民主党・無所属クラブの井戸まさえです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました内閣提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、委員会修正も含め、反対の立場から討論を行います。(拍手)
再審法はただ改まればいいのではない、今まさに苦しんでいる人が救われて何ぼです。これは、福井女子中学生殺人事件で再審無罪となった前川彰司さんの言葉です。この言葉を基準に問うならば、本法律案は、残念ながら、今まさに苦しんでいる人を救うに足るものではありません。
今回の再審制度の見直しは、本来、過去への深い反省の上に始まったはずです。袴田巌さんは、逮捕から再…
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16
森英介議長
和田政宗君。
〔和田政宗君登壇〕
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