稲田朋美 (自由民主党)

2026年5月27日・第221回国会 衆議院 法務委員会 第14号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 60 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 289 発言)

ありがとうございます。

やはりこの附則の解釈についても、今回施行日が二段階になっていることもあって、実務家の皆さんからは様々懸念がございますので、そういうところはしっかり明確にしていただけるようにお願いをいたします。

あと、スクリーニングの規定も、結局は、法務省は、二回目の修正で、再審の請求が理由のないものであることが明らかであるということは、修正で削除をされたわけであります。これについては、法制審の第十三回において、それまで全く議論されていないのに突如出されて、結局、議員たちの意見を聞いて、そこは二回目の修正で削除をされたわけですけれども、何の立法事実もなく、誰も求めていない、明らかに改悪の規定だったわけですね。やはり私は、こういった経緯も、法制審が立法事実を踏まえない議論をしていたし、そして、それに基づく政府案であったということを指摘をしておきたいと思います。

さて、今回の改正の立法事実は、大臣もおっしゃっていただいたように、冤罪被害者の早期救済ということですが、それにとどまらず、失われた刑事司法の信頼を回復するということだと思います。

近時の再審無罪事件だけでなく、大阪地検特捜部の検事が証拠を改ざんし、同僚検事が犯人隠避をした村木事件、検察官の違法な取調べが認定されたプレサンス事件、検察官の不当な起訴が国賠訴訟で認定された大川原化工機事件など、検察組織に対する国民の信頼は失われていると思います。

袴田事件では、再審無罪判決において、みそタンクから発見された犯行時に着用していたとされる五点の衣類は捜査機関による捏造、五点の衣類と被告人を結びつける端切れも捜査機関の捏造とし、検察官についても、検察、警察が一体となって捜査をして調書を作った、捏造も知っていたと推測もしているわけです。

福井事件の再審無罪判決については、先ほど述べましたように、激しく検察批判を行い、刑事司法の信頼を揺らがす深刻な事態、そしてまた、公益の代表者としてあるまじき不正な所為とまで言っております。

十人の犯人を逃がすとも一人の無辜を罰するなかれ。これは刑事司法の鉄則なんです。日本の刑事司法の有罪率は九九・九%、日本において十人の犯人は逃がしなどしていませんよ。むしろ、袴田、福井、日野町事件を見ると、検察は、一旦起訴をすれば証拠を隠してでも有罪にしなければならない、再審請求されれば、被告人の利益より確定判決の利益にと、何が何でも確定判決を維持するといった、九九・九%の無謬性にとらわれているのではないでしょうか。

ここまで重大な冤罪事件による人権侵害が白日の下にさらされ、既に迅速な裁判、公開の裁判を受ける権利を侵害し、憲法の刑事司法の手続保障を空洞化させ、しかもその原因が捜査機関による証拠の捏造、検察の証拠の不開示、さらには、再審開始決定に対する機械的な検察官抗告にあることが明らかな状況において、冤罪被害者の救済との対比で法的安定性を語ることは許されないと思いますよ。

さらに、今回、法制審の議論について、この議事録を通読することによって感じたことは、国民の意識と余りにもかけ離れているんですよ。国民不在の議論だったということです。なぜ学者の委員の中に抗告を禁止すべきと言う人が一人もいなかったんですか。これは、再審を研究している学者がこぞって抗告禁止を主張していることとの整合性が取れません。

また、冤罪を生じさせた当事者組織にいる現職検察、警察官僚の委員が相当数いて、議決権を持っていたんですよ。なぜ、被告人席に座っているともいうべき検察エリートの集団である刑事局主導で議論が進められ、立法事実も冤罪被害者も置き去りにされたのか。多くの研究者、元裁判官、さらには現職の裁判官まで、法制審案に反対の意見表明があったということをどう捉えているのか。私は、今回の法制審のメンバー、議論の在り方に正当性があったのかもしっかり検証して、今後に生かすべきだと思います。

大臣に最後に伺います。

失われた日本の刑事司法の信頼回復のために何をするのか、法務省に問われているのはこの一点です。決意をお聞かせください。

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