氷見野良三日本銀行副総裁

2026年6月19日・第221回国会 衆議院 財務金融委員会 第12号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 4 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 159 発言)

日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について御説明申し上げる機会をいただき、御礼を申し上げます。

まず、最近の経済金融情勢について申し上げます。

我が国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きも見られますが、緩やかに回復しています。輸出や鉱工業生産は、基調としては横ばい圏内の動きを続けています。企業収益が高水準で推移する下で、設備投資は緩やかな増加傾向にあります。個人消費は、家計マインドに弱さが見られるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移しています。先行きについては、原油価格上昇が景気の下押し要因として作用するものの、高水準の企業収益などが経済を下支えすると見込まれるほか、政府による各種施策や原材料の代替調達なども進んでいるところです。このため、我が国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けると見ております。

物価面を見ると、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、足下では一%台半ばとなっているものの、先行きについては、原油価格上昇がエネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用することから、二%をはっきり上回る水準まで伸び率を高めていくと予想しております。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、二〇二六年度後半から二〇二七年度にかけて物価安定の目標とおおむね整合的な水準となると考えております。

こうした見通しをめぐるリスク要因としては様々なものがありますが、当面は、今後の中東情勢の展開が金融・為替市場や我が国の経済、物価に及ぼす影響を特に注視する必要があります。このほか、グローバルなAI関連需要の動向や今後の為替相場の変動が我が国の経済、物価に及ぼす影響にも留意が必要です。この間、我が国の金融システムは、全体として安定性を維持しています。内外の実体経済や国際金融市場が調整する状況を想定しても、我が国の金融機関が充実した資本基盤を備えていることを踏まえると、全体として相応の頑健性を有していると判断しています。

次に、金融政策運営について御説明申し上げます。

日本銀行は、今週の金融政策決定会合において、政策金利を引き上げて、一・〇%程度とすることを決定しました。先ほど申し上げたとおり、我が国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けると見られます。物価面では、原油高を起点とする価格上昇の動きが幅広い品目に波及したり、基調的な物価上昇率が二%の物価安定の目標を超えて上振れていくリスクがあると考えられます。こうしたことを踏まえ、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断いたしました。

先行きについては、基調的な物価上昇率が二%に近づいている中、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえますと、経済、物価、金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。その上で、調整のタイミングやペースについては、中東情勢の展開が我が国経済、物価に及ぼす影響を注視した上で、経済、物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針です。

なお、今週の金融政策決定会合では、国債市場の動向や機能度を点検し、日本銀行の今後の国債買入れの在り方についても検討いたしました。その結果、来年三月までは従来の減額計画を維持し、来年四月以降は月間二兆円程度の買入れを行うことを決定しました。

今後とも、日本銀行は、二%の物価安定の目標の下で、その持続的、安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営してまいります。

本日はどうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

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