皆さん、おはようございます。峯村です。よろしくお願いいたします。
私は、十年以上にわたり、ジャーナリストとしてワシントン、北京で最先端で取材をしてまいりました。そして、今はシンクタンクの方で米中関係を研究しております。こうした知見を基に、本日は、米中関係の現状、そして日本が取るべき戦略とは何かという辺りの私見を述べさせていただきたいと思っております。
まず、米中関係の簡単なおさらいで、今この一枚目の資料をちょっと見ていただければと思います。これは、特に対立を軸に、フォーカスに、ちょっとおさらいをしているものです。
どうしても、対中強硬のアメリカの政策というとトランプ政権、トランプ大統領というイメージがあるんですが、実は、これは元の起源をたどると、オバマ政権が二〇一一年に打ち出したアジア・リバランス政策にあるのではないかというふうに見ております。
この政策自体は、中国の台頭を念頭に、中東にそれまで偏重していたアメリカの戦略をアジア太平洋地域に移すというもので、安全保障と経済の両面からアジアへの関与を強めたものになります。その延長線上で、先端技術の流出を防ぐための規制が整備されてきました。
続いて、二〇一七年に発足したトランプ第一次政権では、関税を武器にした貿易戦争が始まり、中国の通信機器メーカーであるファーウェイへの制裁に象徴されるように、対立は技術覇権の争いへと発展してまいりました。そして、二〇二一年に始まったバイデン政権は、これを更に体系化して先端半導体の対中輸出規制を導入しました。そして、現在のトランプ第二次政権では、二〇二五年一月にアメリカ企業による中国での投資そのものを規制する制度を導入して、半導体、量子技術、AIの三分野でアメリカから中国への金の流れを止めるというところまで来た。
つまり、この四つの政権をまたいで対中規制というのを強化してきた。アメリカの総意であるというところが重要なポイントになります。
一方、こうしたアメリカの動きに呼応するように、中国も次々と対抗手段を打ち出してきました。
まず、二〇一四年に経済、技術、資源を全て国家の安全であるという形で統合した総合的国家安全観というものを提唱して以降、反スパイ法を始め、サイバーセキュリティー法、国家情報法などを制定し、外国人や外国企業の活動の制限を強めてきました。そして、二〇二四年末にはガリウム、ゲルマニウムなどの対米輸出を事実上禁じて、昨年五月にはレアアース全体の輸出管理の強化に乗り出しました。まさに、中国はサプライチェーンの支配力を武器としてアメリカに突きつけたというふうに言ってもいいと思います。
こうした米中デカップリングは十年以上にわたって続く構造的な流れであり、もはやこれは後戻りする可能性は極めて低いのであろうというふうに私は見ており、この認識が本日の議論の出発点でございます。
ところが、最近、この米中関係に変化が表れています。転機となったのが、昨年十月に韓国で開かれた米中首脳会談でございます。こちらで、中国側は、レアアースの規制を一年間猶予する、さらにはアメリカ産の大豆を中心とした農作物の購入を約束しました。
そしてさらに、トランプ大統領は、来月の中旬に中国を訪れ、習近平国家主席と会談する方向で調整をしています。今のところ、両国の関係者から聞いたところですが、予定どおりこの首脳会談は行われる方向で調整している。さらには、中国側から、アメリカの更なる農作物、さらにエネルギーなどの大量購入のほか、目下深刻化しているイラン問題などでの協力という形で、いわゆる合意をできないかというところで模索をしているというふうに聞いています。
じゃ、一方で、中国側は何を得たいのかとすると、まさに民族の悲願と中国が掲げている台湾統一に向けて、今後、今年最大で三回、米中首脳会談が予定されています。その中で少しずつアメリカ側から譲歩を引き出そうとしているのではないかというのが小生の見方でございます。
一方、こうした米中緩和の流れと反比例するかのごとく、中国は日本側への圧力を強めてまいります。
今年一月、中国政府は、日本に対する軍民両用品、いわゆるデュアルユースの輸出規制を発表しました。日本の軍事関連ユーザーや日本の軍事力向上に寄与する全ての用途への輸出を禁止するという内容です。さらに、二月には日本企業二十社を輸出規制リストに載せて、デュアルユースの輸出を全面禁止に乗り出しました。
中国側は、日本の再軍備化阻止というところを理由に挙げていますが、実態は経済を使った対日圧力にほかなりません。第三国経由の取引にも罰則が及ぶため、日本企業がサプライチェーンのどこかで中国産の材料に依存していれば、直接取引がなくても影響を受けかねない。私は、これはまさに対日経済戦争とも呼べるような強い措置であり、今後これは長期化するだろうというふうに見ています。
こうした中国による経済圧力が強まる中、私は改めてこの日米同盟、日米関係の重要性が増しているというふうに考えております。私のメンターの一人であるハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が生前、私によく言っていました。アジアにおける脅威が増す中、日米同盟をそのまま放置していれば更なる空洞化をしていくだろうということを常に警鐘を鳴らしていたことを思い出しています。まして、米中接近によって日米関係が流動化しつつある中、更なる同盟強化は不可欠であるというふうに考えております。その最良のツールとなるのが、まさに今日のテーマである、日米両国が昨年九月に締結した投資イニシアチブではないかというふうに私は考えております。
この投資イニシアチブについて、もう皆さん御存じの内容かと思いますが、二枚目の資料、こちらを御覧いただければと思います。
日本、これは他国との大きな違いで申し上げると、対米関税を引き下げたわけではなくて、戦略的投資イニシアチブという形で変えているというところがポイントになります。これは、EUや韓国のコミットには民間企業の対米投資が含まれているのに対し、日本の場合は政府系金融機関である国際協力銀行、JBIC、日本貿易保険、NEXIが前面に出た金融支援となっている点が特徴になっております。これによって、産業の空洞化のリスクを回避しつつ、日米の協議委員会が選定をした、日本企業にとって利益となるプロジェクトを進めることができるというスキームになります。
日本は、今年の二月、他国に先駆けて第一号案件を発表しております。この中には、例えば人工ダイヤモンドのプロジェクトが含まれています。この人工ダイヤモンドなんですが、これは半導体のウェハーの切り出しには必須のものですが、日本企業はほぼ全量を中国に依存しております。なので、アメリカでの生産に日本企業が関与することによって、中国による経済の武器化に対する具体的な備えになる一例だというふうに考えております。
そして、第二号案件として発表された中には、小型モジュール原子炉、SMRが含まれております。世界でも有数の技術を持ちながら、日本国内で建設するに当たっては、日本の自然条件に適した設計、開発や、福島第一原発事故以降の規制基準の明確化などの課題があります。だからこそ、制度が整っておる、そして市場もあるアメリカでの先行投資をすることで実績を積み、技術と人材を守る。アメリカでの建設の実績を積み上げることによって、これを新たな産業につなげることができる可能性があるというふうに私は見ております。
日米同盟はこれまで、日本がアメリカに防衛をしてもらっている、アメリカから見ると防衛をしている、いわゆる片務性というのが問題になっている。中でも、アメリカの政権内でも不満があるというところが長く続いてきました。だからこそ、日本が自分で立てる力、そして相手からも必要とされる力を同時に手にする、そういう意味では、この戦略的投資イニシアチブは切り札になるのではないかというふうに私は考えております。
まさにその成否を分けるのが、戦略的投資イニシアチブを着実に実行できるような体制をいかに設計できるかどうかというところに懸かっていると言っても過言ではありません。そういう意味では、委員の皆様方を始め、国会議員の皆様のリーダーシップが問われているのではないかというふうに思っております。
以上をもちまして、簡単ではありますが、私の意見陳述とさせていただきます。
御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
3
工藤彰三(自民)
ありがとうございました。
次に、澤田参考人にお願いいたします。
この発言のページ
4澤澤田純一般社団法人日本経済団体連合会副会長・産業競争力強化委員長
皆さん、おはようございます。
経団連の副会長、科学技術立国戦略特別委員長と、長いですが、産業競争力強化委員長、そしてアメリカ委員長を務めさせていただいております澤田でございます。
工藤委員長を始め、経済産業委員会の先生方におかれましては、日頃より経済界の考え方に御理解を賜りまして、誠にありがとうございます。本日もこのような意見陳述の機会を頂戴し、厚く御礼申し上げます。
今、我々は、将来世代に明るい未来を残せるか否か、この分岐点に立っているのではないかと考えております。経済界といたしましても、企業自らがマインドを変えまして、設備投資、研究開発投資、人…
この発言のページ
5
工藤彰三(自民)
ありがとうございました。
次に、峯村参考人にお願いいたします。
この発言のページ
- (上の発言)
6峯峯村健司一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所上席研究員/北海道大学公共政策大学院客員教授
皆さん、おはようございます。峯村です。よろしくお願いいたします。
私は、十年以上にわたり、ジャーナリストとしてワシントン、北京で最先端で取材をしてまいりました。そして、今はシンクタンクの方で米中関係を研究しております。こうした知見を基に、本日は、米中関係の現状、そして日本が取るべき戦略とは何かという辺りの私見を述べさせていただきたいと思っております。
まず、米中関係の簡単なおさらいで、今この一枚目の資料をちょっと見ていただければと思います。これは、特に対立を軸に、フォーカスに、ちょっとおさらいをしているものです。
どうしても、対中強硬のアメリカの政策というとトランプ政権、トランプ大統領というイメージがあるんですが、実は、これは元の起源をたどると、オバマ政権が二〇一一年に打ち出したアジア・リバランス政策にあるのではないかというふうに見ております。
この政策自体は、中国の台頭を念頭に、中東にそれまで偏重していたアメリカの戦略をアジア太平洋地域に移すというもので、安全保障と経済の両面からアジアへの関与を強めたものになります。その延長線上で、先端技術の流出を防ぐための規制が整備されてきました。
続いて、二〇一七年に発足したトランプ第一次政権では、関税を武器にした貿易戦争が始まり、中国の通信機器メーカーであるファーウェイへの制裁に象徴されるように、対立は技術覇権の争いへと発展してまいりました。そして、二〇二一年に始まったバイデン政権は、これを更に体系化して先端半導体の対中輸出規制を導入しました。そして、現在のトランプ第二次政権では、二〇二五年一月にアメリカ企業による中国での投資そのものを規制する制度を導入して、半導体、量子技術、AIの三分野でアメリカから中国への金の流れを止めるというところまで来た。
つまり、この四つの政権をまたいで対中規制というのを強化してきた。アメリカの総意であるというところが重要なポイントになります。
一方、こうしたアメリカの動きに呼応するように、中国も次々と対抗手段を打ち出してきました。
まず、二〇一四年に経済、技術、資源を全て国家の安全であるという形で統合した総合的国家安全観というものを提唱して以降、反スパイ法を始め、サイバーセキュリティー法、国家情報法などを制定し、外国人や外国企業の活動の制限を強めてきました。そして、二〇二四年末にはガリウム、ゲルマニウムなどの対米輸出を事実上禁じて、昨年五月にはレアアース全体の輸出管理の強化に乗り出しました。まさに、中国はサプライチェーンの支配力を武器としてアメリカに突きつけたというふうに言ってもいいと思います。
こうした米中デカップリングは十年以上にわたって続く構造的な流れであり、もはやこれは後戻りする可能性は極めて低いのであろうというふうに私は見ており、この認識が本日の議論の出発点でございます。
ところが、最近、この米中関係に変化が表れています。転機となったのが、昨年十月に韓国で開かれた米中首脳会談でございます。こちらで、中国側は、レアアースの規制を一年間猶予する、さらにはアメリカ産の大豆を中心とした農作物の購入を約束しました。
そしてさらに、トランプ大統領は、来月の中旬に中国を訪れ、習近平国家主席と会談する方向で調整をしています。今のところ、両国の関係者から聞いたところですが、予定どおりこの首脳会談は行われる方向で調整している。さらには、中国側から、アメリカの更なる農作物、さらにエネルギーなどの大量購入のほか、目下深刻化しているイラン問題などでの協力という形で、いわゆる合意をできないかというところで模索をしているというふうに聞いています。
じゃ、一方で、中国側は何を得たいのかとすると、まさに民族の悲願と中国が掲げている台湾統一に向けて、今後、今年最大で三回、米中首脳会談が予定されています。その中で少しずつアメリカ側から譲歩を引き出そうとしているのではないかというのが小生の見方でございます。
一方、こうした米中緩和の流れと反比例するかのごとく、中国は日本側への圧力を強めてまいります。
今年一月、中国政府は、日本に対する軍民両用品、いわゆるデュアルユースの輸出規制を発表しました。日本の軍事関連ユーザーや日本の軍事力向上に寄与する全ての用途への輸出を禁止するという内容です。さらに、二月には日本企業二十社を輸出規制リストに載せて、デュアルユースの輸出を全面禁止に乗り出しました。
中国側は、日本の再軍備化阻止というところを理由に挙げていますが、実態は経済を使った対日圧力にほかなりません。第三国経由の取引にも罰則が及ぶため、日本企業がサプライチェーンのどこかで中国産の材料に依存していれば、直接取引がなくても影響を受けかねない。私は、これはまさに対日経済戦争とも呼べるような強い措置であり、今後これは長期化するだろうというふうに見ています。
こうした中国による経済圧力が強まる中、私は改めてこの日米同盟、日米関係の重要性が増しているというふうに考えております。私のメンターの一人であるハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が生前、私によく言っていました。アジアにおける脅威が増す中、日米同盟をそのまま放置していれば更なる空洞化をしていくだろうということを常に警鐘を鳴らしていたことを思い出しています。まして、米中接近によって日米関係が流動化しつつある中、更なる同盟強化は不可欠であるというふうに考えております。その最良のツールとなるのが、まさに今日のテーマである、日米両国が昨年九月に締結した投資イニシアチブではないかというふうに私は考えております。
この投資イニシアチブについて、もう皆さん御存じの内容かと思いますが、二枚目の資料、こちらを御覧いただければと思います。
日本、これは他国との大きな違いで申し上げると、対米関税を引き下げたわけではなくて、戦略的投資イニシアチブという形で変えているというところがポイントになります。これは、EUや韓国のコミットには民間企業の対米投資が含まれているのに対し、日本の場合は政府系金融機関である国際協力銀行、JBIC、日本貿易保険、NEXIが前面に出た金融支援となっている点が特徴になっております。これによって、産業の空洞化のリスクを回避しつつ、日米の協議委員会が選定をした、日本企業にとって利益となるプロジェクトを進めることができるというスキームになります。
日本は、今年の二月、他国に先駆けて第一号案件を発表しております。この中には、例えば人工ダイヤモンドのプロジェクトが含まれています。この人工ダイヤモンドなんですが、これは半導体のウェハーの切り出しには必須のものですが、日本企業はほぼ全量を中国に依存しております。なので、アメリカでの生産に日本企業が関与することによって、中国による経済の武器化に対する具体的な備えになる一例だというふうに考えております。
そして、第二号案件として発表された中には、小型モジュール原子炉、SMRが含まれております。世界でも有数の技術を持ちながら、日本国内で建設するに当たっては、日本の自然条件に適した設計、開発や、福島第一原発事故以降の規制基準の明確化などの課題があります。だからこそ、制度が整っておる、そして市場もあるアメリカでの先行投資をすることで実績を積み、技術と人材を守る。アメリカでの建設の実績を積み上げることによって、これを新たな産業につなげることができる可能性があるというふうに私は見ております。
日米同盟はこれまで、日本がアメリカに防衛をしてもらっている、アメリカから見ると防衛をしている、いわゆる片務性というのが問題になっている。中でも、アメリカの政権内でも不満があるというところが長く続いてきました。だからこそ、日本が自分で立てる力、そして相手からも必要とされる力を同時に手にする、そういう意味では、この戦略的投資イニシアチブは切り札になるのではないかというふうに私は考えております。
まさにその成否を分けるのが、戦略的投資イニシアチブを着実に実行できるような体制をいかに設計できるかどうかというところに懸かっていると言っても過言ではありません。そういう意味では、委員の皆様方を始め、国会議員の皆様のリーダーシップが問われているのではないかというふうに思っております。
以上をもちまして、簡単ではありますが、私の意見陳述とさせていただきます。
御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
7
工藤彰三(自民)
ありがとうございました。
次に、濱口参考人にお願いいたします。
この発言のページ
8濱濱口伸明神戸大学経済経営研究所教授
神戸大学の濱口伸明と申します。本日はよろしくお願いいたします。
事前提出資料はございません。
私の専門は、空間経済学という分野です。個人や企業がそれぞれの利益を最大にするように場所を選択していくときに、国全体の経済活動の空間配置がどのように構成されていくのか、また、その結果が非効率性を示しているのであれば、それを改善するためにどのように政策が実施されるべきかというようなことを研究しております。また、私は、産業構造審議会地域経済産業分科会の分科会長、その下の工場立地法検討小委員会及び地域生活維持政策小委員会の委員長も務めております。こういった場を通じま…
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工藤彰三(自民)
ありがとうございました。
次に、宮澤参考人にお願いいたします。
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