塩川鉄也 (日本共産党)

2026年7月10日・第221回国会 衆議院 議院運営委員会 第34号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 160 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 177 発言)

私は、日本共産党を代表して、皇室典範改正案に反対の発言を行います。

第一に、天皇の制度の問題は憲法の条項と精神に基づいて広く国民的な議論をすべき問題であるにもかかわらず、本日、僅か三時間の質疑で採決を強行しようとしていることに強く抗議をするものです。

日本国憲法第一条は、天皇の地位は、主権の存する国民の総意に基づくとしていますが、高市政権が提出した皇室典範改正案は、国民の総意を得ているとは到底言えません。

どの世論調査でも、女性天皇を認めるべきという意見が多数です。にもかかわらず、法案が男系男子による皇位継承を不動の原則とし、旧宮家の一般国民である男子を皇族の養子に迎える案を進めようとしていることに、国民は疑問の声を上げています。

朝日新聞の社説は、立法府の総意でも国民の総意でもない、沸き起こる異論や批判を顧みない姿は極めて異常であるとし、読売新聞の社説は、数を頼んで一気呵成に成立を図るといった乱暴な行為は許されないと反対を掲げ、毎日、日経の全国紙や多くの地方紙、歴史学、憲法などの専門家からも批判の声が噴出しています。

国民の反対、懸念の声を無視して、国民の総意に背くものと言わねばなりません。

第二に、日本国憲法の下で、多様な性を持つ人々によって構成されている日本国民の統合の象徴である天皇を男性に限定する合理的理由はどこにもありません。女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神に照らして合理性を持つものです。

政府や自民党は我が国の歴史と伝統を強調しますが、戦前の大日本帝国憲法の「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」という天皇主権は否定され、根本的に転換しています。日本国憲法第二条は皇位を世襲のものとしていますが、戦前の皇男子孫継承は削除され、戦前とは大きく変わっています。

にもかかわらず、男系男子による皇位継承を不動の原則として固執する政府の姿勢は、かつての家制度の下で、男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なるものです。現在の日本社会における女性差別を助長するものと言わねばなりません。

第三に、政府は今回の法案は立法府の総意に基づくといいますが、全体会議に参加した衆参十三会派のうち五会派が反対しており、立法府の総意ではありません。

しかも、政府は、皇位継承の問題とは切り離した皇族数の確保策といいながら、養子の子の男子が皇位継承資格を持つとする規定を盛り込みました。国会と国民を愚弄するやり方であり、断じて許されません。

法案の旧宮家の男系男子を皇族の養子に迎える案は矛盾に満ちています。対象とする旧宮家は、八十年前、現典範に基づき自らの意思で皇籍を離れた人々であり、皇族の養子を禁止する現行の皇室典範の規定を覆してまで養子とすることは大きな矛盾です。

旧宮家だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人々を特別な身分である皇族にすることは、憲法十四条一項が否定した門地による差別に抵触します。旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたって養子候補とし、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるもので、憲法に反します。

しかも、旧宮家と今の天皇との共通の祖先は、約六百年前の室町時代まで遡ります。はるか遠い血筋の男系男子の養子の男子には天皇になる資格を与える一方で、今の天皇の子である女性皇族やその子は天皇になる資格を与えないものです。

こうした養子縁組案は、二〇〇五年の政府有識者会議の報告書で、国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難であると否定されています。

さらに、法案は、女性皇族が結婚後も皇室から離れられないことを原則としています。女性皇族は天皇になる資格がないのに、皇室の行事を担うのに必要な皇族数を確保するためだけに皇族として拘束される、まさに二級皇族のような扱いをするものと言わねばなりません。今回の法案の本質は、女性天皇、女系天皇の道を閉ざそうというものであり、到底容認できません。

日本共産党は、本案を撤回し、改めて有識者、憲法学者などの参考人の意見を聴取し、国民の声を聞く公聴会、広く国民的な議論を行い、国民の総意を形成する努力をすることこそ国会の責務であることを強調し、反対の発言を終わります。

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