細谷雄一慶應義塾大学法学部教授

2025年2月26日・第217回国会 参議院 外交・安全保障に関する調査会 第3号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 26 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 90 発言)

よろしいでしょうか。ありがとうございます。

なぜ今、自国中心主義が広がっているのか。これはもうポピュリズム、ナショナリズム、いろいろなものがございますけれども、やはり私の認識では、一九八〇年代以降の新自由主義とグローバル化によって、これらが多くの恩恵をもたらしながら社会に巨大なひずみや問題をもたらしていると。このグローバルな新しい情勢に基づく社会の様々な不平等、格差、ひずみ、問題というものに対して、それぞれのナショナルなガバメントというものが対応ができていない。本来だったら、国際的な課税もそうですが、本来であればプラットフォーマーに対して国際協力に基づいてやはり対応しなければいけないけれども、しかしながら、逆にそのことが、自国中心主義というものがより一層国際協力を難しくしていると。この矛盾というものが、悪循環というものが今の世界での困難を私は増幅させているんだろうと思います。

したがって、富が一部に偏在する極端な現在の新自由主義とグローバル化に基づくこの現状というものに対して、例えばアメリカのトランプ政権、あるいはアメリカのトランプ政権を生む大きな力となった有権者の人たちが社会の変革を求めているとしたら、この変革に対応できなければ、どれだけ国際協調を実現したとしても、これはかつての十九世紀のウィーン体制で王政貴族が中心となった秩序というものが二十世紀初頭に壊れたように、グローバルなエリートによってつくられた秩序というものもいずれ崩れていくんだろうと思います。

したがって、国際協調が重要ということと同様に、新自由主義やあるいはグローバル化が見落としてきた、取り残された人たち、まさにこの今日のテーマである包摂的な平和、取り残された人たちに対してどういうような恩恵をもたらすことができるか、それによって今我々が向き合っている問題というものを乗り越える何かヒントが得られるんだろうと思います。

前後のやりとり

22の発言を見る

30の発言を見る