酒井啓亘早稲田大学法学学術院教授

2025年2月19日・第217回国会 参議院 外交・安全保障に関する調査会 第2号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 14 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 90 発言)

ありがとうございます。

大変重要な質問であり、難しい質問だというふうに思っております。

国際法は、少し説明を補足させていただくと、大きく二層構造になっているというふうに言ってもいいんだと思うんですね。つまり、歴史的に言えば、伝統的に国家間での活動を規律してきた、その領土保全原則だとか、あるいは主権平等原則だとかといったような国家間、主権国家が従来遵守してきたものと、これに対してもう一つが、現代国際法において新たに国際社会の法益を中心として組み立ててきた、人権問題だとか環境問題だとか、あるいは人道法の問題だとかというような形での法規則というのがあると。で、日本が果たすべき役割というのは、もちろん両方の法規則を発展、それからそれを実施するというところに注力すべきというふうに思います。ただ、それはあくまでもバランスよく行われなければならないんだろうというふうに思いますね。

今回のロシア・ウクライナ戦争の一つの教訓というのは、まだ終わってないですけれども、教訓めいたものを申し上げれば、先ほどおっしゃったように、ロシア自身はその伝統的な国際法規則を破るつもりはないということは再三再四言っているわけです。これはほかの主権国家も同様だろうというふうに思うんですね。むしろ新たに展開している現代的な国際法規則というものをいかに発展させていくかというところが焦点だろうというふうに思います。

ただ、こういった新しい規則というのは、一直線に目的が達成できるように作られていくわけではなくて、紆余曲折、場合によっては後戻りしながら徐々に進んでいくものだろうというふうに思うわけです。今回の戦争で仮に後退すると、その新しい規則が仮に後退するものだとしても、行く行くは前進するように働きかけていくと。その意味で、日本が多数国間の枠組みにおいてロシアの行為を非難し続けるというのは決して無駄ではないというふうに考えています。

お答えになっているかどうか分かりませんけれども、そのとおり考えます。

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