成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

2025年5月8日・第217回国会 参議院 法務委員会 第7号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 31 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 101 発言)

現在の刑事訴訟法の基本的な考え方をお伝えしたいと思います。

現在の刑事訴訟法においては、その物ないしはデータを取得する段階で、強制的に取得するのであれば、事前に令状を得た上で行うというのが原則的な仕組みでございます。当該データはもちろん被疑事実に関連するものとして取得されるわけですけれども、同じデータが別の被疑事実に関わりを持つということも当然ございます。その場合に、他事件に利用するということを禁止する規定は刑事訴訟法にはございません。

一例を挙げますと、例えば業務上横領罪の被疑事実で商業帳簿を差し押さえたといたします。その商業帳簿について、当然、業務上横領罪の捜査のために使うわけですけれども、その過程で、そのお金が例えば贈賄に使われただとか、あるいはそのお金の帳簿を隠すことによって脱税になっているんではないかというような形で別の被疑事実との関連性を有するという事態は当然発生するわけですが、そのようなことがあった場合に、今申し上げた贈賄やあるいは脱税の事件としてその帳簿を使うことというのは禁止されておりません。

そのような考え方からいたしますと、今回、電磁的記録提供命令によって取得されるデータについても、ある被疑事実との関連性があるという形でデータを入手するわけですが、そのデータが別の被疑事実とも関連性を有するという形で使われ得ることはあり得るというふうに考えております。

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